「翔んで埼玉」から考察する、自虐マーケティングの極意
自虐的なマーケティング手法が広がっている。しかしその傍らには常に「炎上リスク」が存在している。自虐マーケティングの炎上回避のカギとは?
自虐マーケティングとは
自社の商品を自虐するマーケティングとは、自分たちのダメな部分をさらけ出し、弱みを強みに変える手法だ。
今回、自虐マーケティングについて解説するにあたって、近年公開され話題となった、映画「翔んで埼玉」を題材に取り挙げる。
映画「翔んで埼玉」を観た人はご存知の通り、とにかく埼玉県民をバカにし侮辱している内容になっている。映画内では「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ」といった具合だ。
にもかかわらず、興行収入37億円を記録した。
ではなぜ、この作品が好意的かつ埼玉県民にも受容されたのか?
この問いの答えとして、2つの側面からかんがえることができる。
①利点訴求型
一見自虐に見えて、商品の利点や魅力がアピールされている。
②応援要請型
自虐することにより、同情をあつめ応援してもらう狙い。
映画制作者は約半年かけて、埼玉県の入念な取材を実施。県民の知る人ぞ知るような細かいネタを集めた。
その甲斐もあって、①と②が観客に伝わったこその成功であったといえる。
自虐マーケティングは自社製品の分析だけではなく、第三者視点がカギである。
自虐マーケティングのつくり方
自社製品の特徴を分析
強み、弱み、環境などのSWOT分析の徹底
↓
社会情勢をチェック
①消費者に受け入れられるか?
②市場の受け入れられるか?
③どんな効果を狙うのか?
(客数?知名度?売上?など)
炎上を避けるには企業側が訴求したいことを一方的に押し付けるのではなくモラルを持ち合わせた企業体であることを示さなくてはならない。
常に変動性のある社会情勢の見極めこそが、自虐マーケティングの成功を左右するといっても過言ではない。
自分たちの商品について自虐し、弱みの転換として前向きに捉えれば、消費者も面白がり拡散する可能性は高くなる。認知度に対して、販売につなげるのが難しいのがこのマーケティングの特徴の一つでもある。
今後も、観光業からエンターテインメント分野までSNS時代の新宣伝手法として、自虐マーケティングは注目されるであろう。
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