天皇陛下の開会宣言にも、着席したままの菅首相を擁護してみる。
端的に言って、起立しなければならないことに気づかなかったのでしょう。
なにしろVIPですから、予行演習なんかしてないでしょうし、VIP席で、他の人々から切り離されているので、周りが起立するので、自然に気づくということもなかった。
また、すこし離れたところにいた大会関係者が「あっ、まずい! 菅首相と小池都知事が座ったままだ」と気づいても、すでに横で天皇陛下が開会宣言を始めているんだから、声をかけるわけにもいかない。
まあ、菅首相は「挨拶する人が立ったんだ」くらいの感覚だったのでしょう。自分の番ではないから、立つ必要はないと、いつものようにどっしり構えてた。なにしろ総理大臣ですからね、普段ならそれで済む。
もちろん、非常識と言うか、ボケてると言うか、呆れるばかりなんですが、この人はもともと、自分より弱い立場の人に厳しく当たるのは得意でも、同等以上の人がいる場での、常識的かつ円滑無難な立ち回りのできる人ではない。だから、台本がないと、まともに人前で挨拶することも出来ない「大根」なんだから、空気を読んで、臨機応変に対応することなんて、できるわけもない。
そんなわけで、いつもの式典のつもりで、ボーッと座ってたんでしょう。
で、小池都知事もそれにつられて座ってだんだけど、すぐに気づいて「これはまずい」と、菅首相に合図をして、あわてて、しかし、スーッと立ったつもりなんでしょうが、場所が悪すぎた。そりゃ、カメラが向いてますよ。天皇陛下の横なんだから。
で、きっと小池さんは内心で「菅のために、私もつられて、恥をかいちゃったじゃない」と腹を立てていることでしょう。
一方、菅首相の方は、あとで周りの者に「なんで、先に段取りを説明しておかないんだ!」とか「合図をしないんだ!」とか、八つ当たりしてるんじゃないかな。
それにしても、外国の皆さんは、あの映像を見て「日本の首相は、老人のようだが、すこしボケているのかもしれないな」と思ったことでしょう。
無論、今回のことだけじゃなく、他の挨拶なんか見ても、ぜんぜんパッとしないから、そう思われても不思議じゃない。かつては「鉄壁のガースー」なんて呼ばれたこともある人だなんて、想像もできないでしょうね。
ともあれ、菅義偉首相に「悪気」はなかった、とだけは擁護しておきましょう。
しかしまた、入学式や卒業式で「君が代」を歌わなかった教職員が、それだけで馘首になることを思えば、天皇陛下の開会宣言の時に、その真横に居ながら、起立もしなかったような奴は、やっぱり馘首が相当処分なんだろうなあ。
いくら本音では、天皇陛下を尊敬していないと言っても、やはりそこは、礼儀の問題なんだから。
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【追記】(2021.7.27)
おおむね、私の推測が当たりましたね。天皇陛下によるオリンピック開会宣言の際に、菅義偉首相が起立をしなかったのは、主催者側が「起立・着席」のアナウンスをしなかったからで、首相は何も悪くありませんという、首相の失態の正当化がなされたようです。
すでにボロボロである運営委員会としては、どうせ謝るだけなら無料だし、無料で菅首相の顔を立てられるのなら安いものだ、ってことでしょう。
しかしながら、そもそも、言われなくても立てよ、子供じゃあるまいし、って話なんですが。
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天皇陛下宣言中の菅首相ら不起立問題で組織委が謝罪
(『日刊スポーツ』7/27(火) 13:34)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c3bfeb6ae2a0383ebf04f45b5b6b2b5515a23198
23日に行われた東京オリンピック(五輪)の開会式で、大会名誉総裁を務める天皇陛下が開会宣言を述べられた際、隣に座っていた菅義偉首相や小池百合子都知事らが当初着席したままだった件について、東京五輪・パラリンピック組織委員会は27日、起立を促すアナウンスができないミスがあったと明らかにした。
組織委の高谷正哲スポークスパーソンによると、この件について内部で確認したところ「台本では、天皇陛下の開会のご宣言の際に『皆さん、ご起立ください』というアナウンスを予定していた」という。
しかし、その前にあった国際オリンピック委員会(IOC)トーマス・バッハ会長のスピーチの最後に、バッハ会長が「開会宣言をお願いします」と発言したことで「そのままの流れで開会宣言に入ってしまい、アナウンスするタイミングがなくなってしまった」と高谷氏は説明した。
陛下が起立して宣言を始められた時、まだ首相も都知事も着席したまま。状況に気づいたとみられる小池氏がまず立ち上がり、菅氏も促されるようにして立っていた。その様子がNHKの生中継に映ったことで物議を醸していた。
組織委は、至った経緯を説明した上で「関係者に混乱を生じさせてしまい、申し訳ないと考えております」と謝罪した。【木下淳】』
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