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「思想・哲学」関連書のレビュー

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「思想」「哲学」関連のレビューを紹介します。
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#読書・書評

フィリップ・K・ディックの 〈信仰と懐疑〉 : マーク・ハースト編 『ザ・ベスト・オ…

書評:マーク・ハースト編『ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック〈3〉』(サンリオSF文庫) …

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晴佐久昌英 『福音宣言』 : 権威主義者の保証する 〈愛〉

書評:晴佐久昌英『福音宣言』(オリエンス宗教研究所) ヤグザや半グレ、タチの悪いヤンキー…

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にゃるら 『僕は にゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』 : やっぱり、…

書評:にゃるら『僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~』(角川書店) そん…

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小川楽喜 『標本作家』 : 〈夢〉の小説 への憧憬

書評:小川楽喜『標本作家』(早川書房) SF版「小説家小説」である。 普通の「小説家小説」…

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『柄谷行人対話篇 1 1970-83』 : 優等生では ダメである。

書評:柄谷行人『柄谷行人対話篇1 1970-83』(講談社文芸文庫) 現時点で既刊2巻までの講談…

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鈴木大介 『ネット右翼になった父』 : 「客観中立」という 初歩的な幻想

書評:鈴木大介『ネット右翼になった父』(講談社現代新書) 亡父が、最晩年には「ネット右翼…

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石黒達昌 『冬至草』 : 零れ落ちたものへの想い

書評:石黒達昌『冬至草』(早川書房) 石黒達昌は、好きな作家の一人だ。 作家業からは実質的に引退しているみたいで、残された作品も多いとは言えないから、手に入った本から順に、少しづつ読んでいければいいと思っている。 石黒達昌の名を知ったのは、けっこう昔だ。 「Wikipedia」によると、石黒の小説家歴の前半は、おおよそ次のようになる。 つまり、石黒は、最初は「純文学」の方でデビューした、純文学界における「異色の新人作家」であった。 医師であり研究職でもあるという経歴ど

諸星大二郎 『孔子暗黒伝』 : 異形なる世界へのロマン

書評:諸星大二郎『孔子暗黒伝』(集英社) 本作『孔子暗黒伝』は、諸星大二郎の初期傑作とし…

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沼田和也 『牧師、 閉鎖病棟に入る。』 : 承認欲求と 自己劇化の罠

書評:沼田和也『牧師、閉鎖病棟に入る。』(実業之日本社) 著者の沼田和也氏については、ず…

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樋口毅宏 『タモリ論』 : 信仰を欲する、無神論者の屈折

書評:樋口毅宏『タモリ論』(新潮新書) タモリには興味がない。そんな私が本書を読んだのは…

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大塚康生 『作画汗まみれ』 : 〈職人〉という イデオロギー

書評:大塚康生『作画汗まみれ 改訂最新版』(文春ジブリ文庫) いささか、大塚康生という人…

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笠井潔・ 絓秀実 『対論 1968』 : 笠井潔における 「道具としての他者」

書評:笠井潔・絓秀実『対論 1968』(集英社新書) 本書は、「1968年」を頂点とした「民衆蜂…

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樋口毅宏 『民宿雪国』: 「知られざる傑作」の、 モラルと批評性

 書評:樋口毅宏『民宿雪国』(祥伝社文庫) 本当に素晴らしい小説を教えてもらったと喜んで…

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『今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く』 : 自分の頭で考えろ

書評:梅田孝太『ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜く』(講談社現代新書) 講談社現代新書の「今を生きる思想」シリーズの第一弾として、ハンナ・アーレントの紹介書とともに、昨年(2022年)9月に刊行された一書である。 このシリーズは、これまでに、ミッシェル・フーコー、宇沢弘文、エーリッヒ・フロムなどが刊行されており、おおよそ月に1冊くらいの刊行ペース。無論、著者である日本人学者は別々で、扱われている思想家の専門的研究者である。 この「今を生きる」シリーズがどうい