黒澤明監督 『赤ひげ』 : 黒澤明のヒューマニズムと過剰性
映画評:黒澤明監督『赤ひげ』(1965年)
山本周五郎の時代小説『赤ひげ診療譚』を原作とした作品。舞台は、江戸後期の享保の改革で徳川幕府が設立した「小石川養生所」。往年のTV時代劇『大岡越前』などにも登場した、実在した公立福祉施設だ。
山本周五郎と言えば、「昭和」の人気作家として、かつては司馬遼太郎と並び立つほどの存在であったが、最近はあまり読まれていないのではないだろうか。
というのも、本作を見ても分かるとおり、山本周五郎は「庶民の人情噺」を書いた人(後継者として、宮部