ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 『アンリエットの巴里祭』 : 潮目の変わる場所で
映画評:ジュリアン・デュヴィヴィエ監督『アンリエットの巴里祭』(1952年・フランス映画)
非常に興味ぶかい作品だ。だが、この作品の「興味ぶかさ」に気づいた映画評論家というのは、案外いないようだ。たぶん、作品そのものしか見ていないからだろう。
ましてや、一般の映画ファンで、本作の「含意」を考えた者など「いない」と断じても、大筋で間違いではあるまい。
本作が「軽く」扱われてしまうのは、この作品自体は、深刻なテーマを扱っているわけでもなければ、何か「新しいこと」をやっているわ