
最低300円程度でイギリス内を移動する方法って何? 円安イギリス旅#4
※この記事を読むときは、出てくる金額は全て2倍で円換算して、円安大時代を嘆きながら読んでください。
前回の記事
おはようございます。相変わらず円安の2023年9月のロンドンです。
本日ですが、日帰りでイングランド北部のとある都市に行きます。
リーズです!
サッカー好きはLeeds United、音楽(ロック)好きならThe Whoが真っ先に連想されると思います。もしくは、佳子様がリーズ大学に留学されていたので、それで名前を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
「ニックやん・・・」と思ったあなたは、Heartstopper Season 3完走組です。
ただ、観光地ではなく、地球の歩き方でも2ページ程度しか割かれていないので、英国外での知名度は低いと思います。
学生時代、ここリーズにあるリーズ大学に1年間留学していました。noteの初投稿で、過去のブログ遍歴として留学中に鬱防止のためにブログをつけていたがサービス終了でデータが全部消えたと書いた気がします。
社会人になって学生時代の思い出が美化されたことが大きいですが、日々働く中でリーズの風景を思い出しては懐かしむことが多くなり、お金を貯めてもう一度あの空間を体験したいと常々思っていました。こんな円安の時期に行くことは想定していませんでしたが、今回は満を辞してリーズに行きます!

ロンドンからリーズは300キロほどです。電車だと最短2時間半、片道£50.00以上はします。(約2倍で円換算してくださいね!)
私のように金はないが時間はある華麗なOLは電車なんて乗れませんので、今回は英国が誇る格安バス・Megabusで4時間かけて行きます。
このMegabusがかなりの優れもので、電車だと往復£100.00でですが、Megabusだと往復で£25.22で済みました。往復だと電車の1/4で済みます。内訳は以下の通りです。
チケット代 £23.22
予約手数料 £2.00
合計 £25.22
ただ、これで驚くなかれ。留学中に同じ区間のバスを自由席で予約した際は片道£1.5で予約できました。2倍で円換算しても300円です。3か月前に予約をしたので安かったのかもしれません。
【その証拠】

すべての値段が絶望的なこの国で、唯一安いと思えるのが長距離バスです。
前日はお金をケチってロンドンをすべて徒歩で移動しましたが、ホステルからバスターミナルまでは約5キロと遠く、かつバスの出発時刻が朝8:00と早いため、大人しく地下鉄移動にしました。ホステルの最寄り駅・King's Cross駅からバスターミナルの最寄り駅・Victoria駅までは直通の電車があり、10分程度で着きます。
地下鉄運賃(King’s Cross→Victoria)£2.70 (530円)
5キロ程度の距離を移動するには£2.7かかるのに、300キロ離れたリーズには£1.5で行ける国、それがイギリスです。
Victoria Coach Stationで長距離バス(Coach)に乗ろう
イギリス英語では長距離バスのことをCoachといい、バスターミナルの名前もVictoria Coach Stationです。Victoria駅から徒歩5分もない距離にあります。ロンドンから出る長距離バスは大体ここに集約されており、イギリス全土をはじめ、パリやアムステルダムなどへの直通バスも出ています。島国ということを忘れてしまうくらい、大陸との距離が近いイギリスです。
19世紀、大英帝国の最盛期に君臨した女王・ビクトリアの名前を冠した神々しい名前のターミナルですが、割と汚めで、中でもトイレは筆舌しがたい地獄の有様でした。大規模ターミナルだけありトイレ自体の数は15はあったものの、壊れている、色々(何かは伏せます!)吹き出している云々で使えるものがまるでないのです。後ろにいた人も、ドアを開けては顔をしかめていたので、手分けして「かろうじて使えそうなトイレ」を大捜索し、見つけたトイレを順番に使いました。このターミナルが各バス会社からどれだけのマージンを得ているかは知りませんが、£1.50なんて破格のチケットを売る前に、もっとお金をぶん取ってトイレを改修してほしいものです。

定刻より少し前になると、バスの運転手が「○○のバスに乗る人!!!」と、オペラ歌手さながらの通る声で叫び始めます。イギリスのどこぞの地域の訛りかつやたら響くので、自分のバスのことか聞き取りにくいですが、声のする方へ進み、運転手に事前にメールで受領した予約番号を見せました。「OKです、乗りな〜」と軽いノリで乗車を許可され、そのままバスに乗りました。バスは定刻通りに出発。ここから4時間のバス旅です。
車内では、ホステルの朝食でくすねたビスケットとキッチンで汲んだ水道水で空腹を紛らわしつつ、ひたすら窓の外を見るか、微かに聞こえる運転手2人の会話を聞いていました。人生しんどい時こそキリスト教の教えがあると精神を保てるよね、とPodcastでも収録しているのかと思うような議論をしていました。
12時半ごろにリーズに着きました!
バスターミナルのトイレに行ったのですが、またもや「使えるトイレを探せ!in Leeds」状態でした。マジでトイレを何とかしてくれ!!!!

A.Leeds Bus Station:ここからスタートします
B.Leeds City Council:
C.Laidlaw Library (University of Leeds)
D.Brotherton Library (University of Leeds)
E.Morrisons:バカ安いスーパー
F.Leeds Corn Exchange:雑貨を買いに行きます
G.Kirkgate Market
リーズには5つの大学があり、特にリーズ大学はイギリス1のマンモス校なので、リーズの町は学生でにぎわっています。観光地というより学園都市の性格が強いです。大学~繁華街は徒歩20分程度なので、大学近辺に住んでいれば一切公共交通機関に頼らず生きていけます。私が現在住んでいる京都も、同志社や京大の学生なら大学、バイト、飲み会、買い物と生活のすべての移動が自転車1つで完結しますが、リーズも同じようにコンパクトな都市です。なので今回もすべて徒歩でリーズを散策します。
B. Leeds City Council
フクロウだらけの街



大学へと向かう途中にCity Council (市議会)の議場の前を通りました。この付近でやたら目にするのがフクロウです。フクロウはリーズのシンボル的な存在で、フクロウを一切見ることなくリーズに住めというのは、大阪でミャクミャクを、熊本でくまモンを見ずに暮らせと同義です。

なぜフクロウかというと、リーズの有力貴族の紋章にフクロウが描かれていたからとのこと。紋章は獅子やドラゴンなど雄々しい動物が描かれることが多いのに、あえてフクロウなのがかわいいですね。王冠をかぶっているのもさらにかわいいです。
University of Leeds

雨降るけどすぐ止むしまた降るような、情緒不安定な空模様がイギリスらしいですね
イギリスの名門大学といえば有名なオックスフォード大学、ケンブリッジ大学ですが、これら元々上流階級かつイギリス国教会(イギリスオリジナルのキリスト教の一派)の信者にのみに開かれた学校でした。19世紀以降は、両校の排他性に対抗した大学を設立する運動がイングランド北部で盛んになります。この一環で作られた科学系の学校2つが合併してできたのがリーズ大学です。元は理系の学校ですが、現在は美術、メディア、経済学、社会学、政治学、歴史学なども含む総合大学です。留学生の受け入れにも積極的で、日本にも提携校が多くあります。
私の出身大学もリーズ大学の提携校で、交換留学で1年間リーズ大学で歴史の勉強をしたことがあります。取った授業はローマ史、19世紀のイングランド社会史、20世紀の英国大衆文化史、20世紀の外交史と並べれば立派なのですが、私は大学受験は日本史選択で世界史についてはまるで知識がない中(アホ)、興味本位で履修登録をしたせいで、いずれの授業も地獄を見ました。
当時の苦難の日々を綴ったブログはサービス終了でデータがインターネットの藻屑となり消えたので、誰も興味がないことは承知で、当時のことを書き起こしながら大学の施設をめぐります。
C. Laidlaw Library

リーズ生活の大半を過ごした大学の図書館です。スタッフさんと目があったので内装の写真は撮れずです。
授業にもよりますが、私が取っていた授業では週初に教授から「レクチャー」を受け、後日「セミナー/チュートリアル」で、学生10名程度と教授でレクチャーの内容を議論するのが基本でした。生粋の日本史選択ジャパニーズにとって、急に「ムッソリーニは日和見主義者だったといわれていますが、あなたは賛同しますか」だの言われてもムッソリーニが誰なのかすら分からない体たらくなので、ウィキペディアと世界史の窓(インターネット上の最高神)でまず何の話をしているのかを理解して、そこからようやく文献を読んで悶々と考える日々を過ごしていました。
ハロウィンの今日も、留学中は文献に出てきた逆さ吊りにされたムッソリーニの遺体の写真をこの図書館で眺めていました。
歴史は好きですし、先生の話を聞くだけのレクチャーは面白かったのですが、自分が好きな歴史は後世の人が簡潔に構成立てて整理した歴史だったのだと気づいた1年でした。歴史を研究するというのは「歴史家はあれこれ言うけど、結局実際は何が起こったの?」といつタイムマシーンに乗るかイタコで死者を憑依するかしないと確実にわからない問いに対し、残っている証拠から推測して「こうなんじゃないでしょうか・・」とビビり倒しながら述べることなので、果てしない過去との対話(カッコつけんな)を四六時中続けるのは相当な精神力を要しました。歴史家とあらゆる分野の研究者の皆様は本当にすごいです。
この留学以降は「歴史というか大河ドラマみたいな歴史創作が好きです!」と謙遜するようになりました。


D. Parkinson Building/Brotherton Library

図書館と繋がっている建物
もう一つのリーズ大学の図書館に行きます。リーズ大学は280万冊と異次元の蔵書数を誇るため、図書館が複数あるのです。
図書館に入るにはこのParkinson buildingを経由します。この大学で何かしらの待ち合わせを行うのは大抵この建物の前です。
私も渡英当初に留学生向けキャンパスツアーに参加するためにここでガイドさんを待っていたのですが、同じ留学生の欧米人に「日本人ってこんな感じの目でしょ?」と唐突に目を吊り上げるカス差別行為をされた思い出があります。地獄に堕ちちゃえー!!!

これはほんの一角で、奥と地下にも巨大な空間が広がっています。



これは福沢諭吉全集です。
さっきのLaidlawにこもることの方が多かったですが、授業に出てくる内容の本はBrothertonにあるので、2日に1日は訪問していた気がします。何の本を読んでいたのかはほとんど思い出せませんが、唯一、10メートルほど離れた場所で急にスタッフの妊婦さんが破水し、他の女性たちが瞬時に駆けつけてケアしてあげていた記憶があります。女性の連帯感に感動したんだと思います。
しばし図書館で当時に思いを馳せていましたが、誇張なく、朝から晩まで、人生で一番勉強していたのは留学中だった気がします。社会人になって「定時以降は何もしなくてもいいし、万一残業しても金が発生する」ことにいたく感動したほどです。思えば無給で精神の限界まで頑張るという経験を社会人になってからしていないので、余計にリーズの思い出が神格化されていたのかもしれません。

少人数でディスカッションを行う「セミナー」の教室がこの建物内にあり、毎度的外れなことを言っては先生に「はあ?」みたいな顔をされて落ち込んでいました。青春だねー!泣
E.Morrisons
大学から繁華街へと戻ってきました。お腹が空いたのでスーパーで惣菜を買います。行くのは家計に優しいスーパーMorrisonsです。


イギリスの軽食は大体パイ生地で何かを包んだものです。これはステーキスライスという牛肉のパイ生地包みです。
ステーキスライスが£1.50、野菜を取るために買ったスムージーが£2.60、計£4.10でした。410円なら安いのに・・・。
昼食代:£4.10(770円)



F. Cornwall Exchange


イギリスには過去に穀物を取引していたCorn Exchangeもいう(コーンという名前ですがとうもろこし以外も取り扱います)建物が多く残っており、リーズのCorn Exchangeでは個人経営の雑貨屋さんがたくさんテナントとして入っています。地震や台風がない国はこうして昔の建物を再利用できるから羨ましいです。
お土産でイギリス産、できればリーズ産の雑貨が欲しいと思い、雑貨屋さんを散策することにしました。結果購入したのがこの子です。

SCRAPLETSというリーズの大工さんがコロナ中に余った資材で作った木製の人形です。一つ一つ手作りかつ、この子以外にも色々な見た目の子がいて、それぞれに名前と紹介文がタグで付いています。この子はリーズ在住のルーカス・ラディベベ(38)といい、化石の発掘とスロークッカーで料理を作ることが好きらしいです。なんだそれ。
ルーカス・ラディベベ代:£10.00 (¥1,880)
G. Kirkgate Market


最後に立ち寄ったのがKirkgate Marketです。タイムスリップしたかのような、レトロな内装、店構えで魚屋、肉屋、花屋、お菓子屋などが軒を連ねています。何も買わずとも歩いているだけでワクワクするので、最後にマーケットをぐるりと回りました。ただメチャメチャ魚くさかったです。
ロンドンに帰ろう
いかんせん復路も4時間かかるので、リーズの滞在期間は正午から16時までのわずか4時間ほどでした。大事な思い出が詰まりすぎている街なので、若干センチメンタルになっていましたが、バスターミナルで再度トイレの地獄を味わい、一気に現実世界に引き戻されました。日本は世界にtotoのトイレを輸出しまくれ。
そうこうしているうちにバスの出発時刻となり、また今朝のように運転手さんがバスの行き先を叫び始めたので、それに導かれてバスに乗り、ロンドンへの帰路に着きました。寝たいのは山々でしたが、何か盗まれるのが怖いので、目を覚ますためにずっと辛坊治郎のpodcastを聞いていました。ありがとう辛坊治郎。

ロンドンには21時前に着きました。流石に夜道は危ないので、ホステルの最寄りまで地下鉄で帰ります。
地下鉄運賃(Victoria→King’s Cross)£2.70 (¥530)

ホステルに着いたのが21:30ごろです。流石にお腹が空いたので、前日買った材料で再度よくわからん焼きそばもどきを作りました。
手短にご飯を済ませてお風呂に入り、泥のように眠りました。日帰りで計8時間バスに乗り続けるのは流石に疲れました。
さて、イギリス滞在3日目は以上です!私の思い出を辿る旅だったので、読まれる方は何やねんという感じだったでしょうがご容赦ください。インターネットの藻屑となった留学時の私のブログにかわり、このnoteは千夜に八千代を残ってくれますように。
次の日は再びロンドンを徘徊します。
また次回も読んでくださると嬉しいです!
寧々