#32 デザイン学習者とデザイナーのQ&A①デザインの作業スピードを上げるには?
デザインを独学で学んでいる方や、デザイナーとしてスキルアップしたい方は、デザイナーと話す機会があったらぜひ聞いてみたい質問がたくさんあるかもしれません。今回の観察日記は、デザイナー夫がニューヨークからオンラインで開催している「デザインの出前授業」の中で繰り広げられるQ&Aの中から、「よくある質問」をひとつレポートします。(Zoomによる講座に、「回線・音声チェック係」として毎回こっそり参加している私【デザイナーの妻】による観察結果です。)
いちばん盛り上がる、Q&Aタイム
「デザインの出前授業」では、講座の最後に質疑応答の時間があります。講座の内容に関する質問でも全く別の質問でも大歓迎です。質問ではなく講座の感想をコメントしていただいてもデザイナー夫は喜びます。
本講座は土曜日の朝9時に始まり、終了するのはお昼の12時過ぎです。3時間の講座を終えて皆さんお疲れであろうと察するのですが、長くとどまって質問やディスカッションをしてくださる方が多いです。ニューヨークは金曜夜という時間帯なこともあり、デザイナー夫はこの時間をゆっくり楽しんでいます。
Q&Aタイムによく出てくる話題:
・学習にまつわる質問
・仕事に関係する悩み
・ある特定の商品のデザインについてデザイナー夫の意見を知りたいとのコメント
・同業のグラフィックデザイナーから出る「デザイナーの仕事あるある」の話
・講座に使われたプレゼン資料のフォントに関するマニアックな質問
などなど、多岐にわたります。最後の2つが話題の場合、デザイナー夫はもう「キャッキャ、キャッキャ」と楽しそうにしています。
今回は、デザイン学習者とデザインの仕事に新しい方から聞かれることの多い、ひとつの質問を取り上げます。
質問①デザインの作業スピードを上げるにはどうしたら良いですか?
デザイナー夫はよく学習者に「デザインのレベルを上げたかったら、まずはとにかくスピードを上げることが大事!」と教えています。それで「じゃあどうすればスピードは上がりますか?」という質問が出ます。
すでにデザインの仕事をされている方からも同じ質問を聞かれることがあります。それは「たくさんのプロジェクトをこなさなければいけない」とか、「クライアントからの要望通りにデザインするが、お勧めしたい別のデザインもあり、両方作るために作業スピードを上げたい!」という理由が多いように思います。
デザイナー夫の答え
デザイナー夫の提案はズバリ、「デザインの作業スピードを上げるには、ショートカット機能を習得せよ!」です。ここでいうショートカット機能とは、Adobe Illustratorを使ってデザインの作業する場合の話です。
デザイナー夫は、21年のデザイナー人生でショートカット機能をフルに使いこなすようになりました。デザイン制作をしている時にマウスをクリックする音はあまり聞こえません。聞こえてくるのは、キーボードをたたく「バチンバチン、バチンバチン」という音です。これについては、観察日記#2で詳しく解説していますので下に再掲載します。良かったらご覧ください。ここでは、この観察日記#2から2つの点を要約します。
ポイント1:Adobe Illustrator のショートカット機能には、 ⌘ + f / ⌘ + d / ⌘ + y / ⌘ + : / ⌘ + 5 / v / a / s / r … たくさんあります。デザイナー夫は、「Adobe Illustrator ではマウスも使えるけど、自分は普通の人の半分くらいしかマウスを使わない」と言います。キーボードで打ち込む方がマウスを動かすより何十倍も早いのだそうです。
ポイント2:キーボードを使った数字の打ち込みについて。文字や図の位置を微調整するのに、マウスで矢印を押していく代わりに、テンキーを使って数字を打ち込みます。それが "0.5" というような数字ではなく、打ち込んでいる数字はどうやら、 "0.03125" みたいな長い数字!これは『cmではなく、 inch(インチ) で入力しているため、1インチの8分の1は "0.125" / 16分の1は "0.0625" / 32分の1 は "0.03125" と入力している 』とのこと。「バチンバチン!」の音の正体はこれだったわけです。
デザイナー夫がロゴの制作などの作業をしている姿は、両手を使ってキーボードを操作するので、それが【デザイナーの妻】には「ピアノを弾いている」ように見えます。まるでピアニストです。先日のデザイン講座では、上記の2点について説明した後、デザイナー夫はその「ピアノを弾いているように見えるキーボード操作」を実演することにしました。
今回は実演付きで回答
「少々お待ちくださいね」と言って、デザイナー夫は急いでiPadをつなぎ、自分の手元が映るようにZoomのカメラを設定しなおしました。そして、実際にAdobe Illustratorでアイコンを作成し始め、「Adobe Illustratorの作業画面」と「ショートカット機能で作業する手元」の両方を、参加者が見れるようにしました。
両手がキーボードの上で動いており、パチンパチンという音が聞こえてくるので、マウスをほとんど使っていないのがわかりました。もちろんマウスも使います🖱が、ものすごいスピードでAdobe Illustratorn画面上にアイコンが作成されていくのを見て、参加者の方は驚いて、「目が点」になっているかのようでした(・ω・)
参加者の方は圧倒されるような表情をされ、「これは自分には無理…?!」という空気が流れましたが、デザイナー夫は「集中して徹底練習したら、1週間くらいで使いこなせるようになりますよ!」と励ましていました。できます、できます!練習したら誰でもできるようになります!
参考に、Adobe Illustratorのショートカット機能の早見表は、こちらからダウンロードできます。
今回は「デザインのスピードをあげるには?」という質問を取り上げました。質疑応答の時間は、参加者の方のニーズに個人的に対応できるチャンスであり、デザイナー夫が講座の内容をブラッシュアップしていくための「講師へのフィードバック」にもなりますので、デザイナー夫はこの時間をとても大切にしており、また楽しみにもしています。
質疑応答タイムが盛り上がれば盛り上がるほど、ニューヨークは夜が更けていき、夜中の12時になることもあります。朝型人間の【デザイナーの妻】は、楽しそうなやり取りを最後まで見ていたい気持ちと激しい眠気との闘いにひとり静かに耐えつつ、Zoom画面を楽しく見守っています💛
デザイナー観察日記#32、読んでくださってありがとうございました!
記事の中で使わせていただいてるイラストは、なのなのなさんのイラストです。