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吉田秀和「LP300選」(「名曲三〇〇選」)講読・鑑賞支援(No.41〜60)

※記事内に貼っている演奏類は、楽団公式動画、著作権切れの録音、著名CDレーベルの公式アップロードなどに限っています。

※一連の「『LP300選』関連記事」を、マガジン(書棚的なもの)にまとめました。以下にリンクを貼っておきます。
トップに固定した記事に、全体的な前置き、凡例的なことを書いていますので、できれば、そちら[を先に/も後で]ご覧ください。


No. 41- 60

(モンテヴェルディ 〜 パーセル)

今回の範囲は私のよく知らない作品ばかりなのに加え、前回までと違い、MMやHMSのような明確な参考資料もありません。なので、「これは違う(別の曲)」というような動画を選んでいる可能性も増しているものと思います。
(しかも、今回の記事は割と勢いで書いたところがあります。)(^_^;)
お気づきの点があったら、コメント欄などでお教えいただければというところです。


41 モンテヴェルディ(Claudio Monteverdi) 劇的マドリガル「忠実な羊飼いのテクストによるマドリガル」(Madrigals On Texts From "Il Pastor Fido")

動画の後半は同テクストによるマレンツィオの作品。

(念のため。別ソースによる同演奏。)https://archive.org/details/lp_madrigals-on-texts-from-il-pastor-fido_golden-age-singers-claudio-monteverdi-luca

この録音は「LP300選」が参照した演奏そのもののようです(巻末リストの型番記載では「Westminster ML 5220」)。Golden Age Singers の1954年の録音。

42 モンテヴェルディ 劇的マドリガル「つれない女」"Il Ballo delle Ingrate"[恩知らずの女たちのバッロ](情け知らずの女たちのバッロ)

上は1964年の録音とのこと。

ほかに2つ。


それぞれにひどく感じが違うので、ひょっとしたら「正しくない」動画を混ぜているかも……。

* * * * *

巻末リストの推薦盤としては「London Ch. players, Ambrosian Singers, デラーの独唱・指揮 米国盤 Bach Guild 567(廃)」。


43 モンテヴェルディ 《マドリガル集》
"Madrigali"

全部で9巻あります。

クラシック曲の廉価盤CDレーベルとして著名な Brilliant Classics が上げている、長尺のまとめ動画を。
Vol.1 が1巻〜8巻途中まで。Vol.2 は 第8巻の続きと9巻、以降は他の曲です。

Vol.1

Vol.2

(動画のコメント欄に曲ごとのトラックリストが貼られており、そこから個別の曲の頭に飛ぶことができます。)

ただ、この項は元々 Golden Age Singers の次のレコードを念頭においての「ざっくりなチョイス」だったような感じを受けます(巻末リストの型番記載では「米国盤 Westminster 18765」)。
(文庫本のタイトルが「LP300選」なのだから、それで別におかしくはないわけです。笑)

https://archive.org/details/lp_the-golden-age-singers_golden-age-singers


44 モンテヴェルディ 《二重唱の歌曲》

これも Schwarzkopf と Seefried によるレコードを念頭においてのチョイスのような気がします。

恐らくですが、次の録音ではないかと。

プレイリストの形式になっています。
最初の13曲がドヴォルザークの「モラヴィア二重唱曲集」op.32より、次の4曲がモンテヴェルディ、残りの4曲がカリッシミ。1956年の録音のようです。


巻末リストの記述では「シュヴァルツコプフ,ゼーフリート 米国盤 Angel 35290(廃)」


他に動画が一曲分あったので、そちらも。


(参考)
巻末リストで言及のある

オルフェオ

MMとHMSの両方で本曲を扱っていることを申し添えます。
音楽史 : グレゴリオ聖歌からバッハまで  ……  p156。
耳による音楽史 第4-6 …… p310。



ポッペアの戴冠
(以下の4つの動画は埋め込み不可のため、URLの形で貼っておきます。)

(Part 1)
https://www.youtube.com/watch?v=NuGVdO0DurA

(Part 2)
https://www.youtube.com/watch?v=zUe8xZ8WozA

もう一つ。

(Part 1)
https://www.youtube.com/watch?v=5Rj2GnhGr9A

(Part 2)
https://www.youtube.com/watch?v=puzFbU812h4


45 カベソン(Antonio de Cabezón)他 《スペイン,ポルトガルの音楽》

これも Power Biggs による次のレコード(1957年)を念頭においての「ざっくりなチョイス」という感じを受けます(巻末リストの型番記載では「米国盤 Columbia KL 5167」)。

トラックリストは恐らく次のページで見られるものと同じだろうと思います。

巻末リストに《他にカベソン作品集としてオルティス神父のオルガン演奏によるものがある C-OS 2457(廃)。メルジオフスキーのオルガンによるもの ドイツ盤 EMI 065-99678。》とのただし書きあり。



46 バード(William Byrd)"Great Service"
(大礼拝音楽/グレート・サーヴィス)

「レクチャーコンサート」という感じ。全曲演奏しているかは未確認です。レクチャー開始が動画の3分あたりから。

(なお、推奨盤として挙がっているのはWilliam Byrd , The Chamber Chorus Of Washington, Paul Callaway – The Great Service 米国盤 Vanguard VRS 453(廃)

William Byrd, The Choir Of King's College, Cambridge, David Willcocks – Mass For 5 Voices / Magnificat And Nunc Dimittis From The Great Service / Ave Verum Corpus、Argo ZRG 5226
……かと。)


47 ダウランド(John Dowland)「四声のためのアリア」

話の都合から、巻末リストの表記をまず正確に書き取っておきます。

47 ダウランド『四声のためのアリア』(第1巻)
 Golden Age Singers の演奏で,フィールド,ハイドが主導 米国盤 Period 727 (廃)

わざわざこのような引用をするのは、どうもこの記述にちぐはぐなところがあるように(私には)思われるからです。

さて、1597年に出版されたダウランドの歌曲集、これの正式なタイトルが "The First Booke of Songes or Ayres of fowre partes with Tableture for the Lute"。参考盤を型番で検索すると、実際にこの曲集をそのまま演奏したものが見つかります(Period Records SPL 727)。ただし、演奏は(これまでにも何度か出てきた)Safford Cape 指揮の Pro Musica Antiqua, Brussels で、Golden Age Singers は関係ない盤です。
恐らく次のプレイリストと同じ録音と思われます。

(曲の並び順が一見バラバラに見えますが、SPL 727 と同じ順番です。)


一方、 Golden Age Singers には『Ayres for Four Voices vol.1』というアルバムがあります。以下の録音です(Directed by Margaret Field-Hyde とあり、リストの記述に沿っているようです)。

https://archive.org/details/lp_ayres-for-four-voices_john-dowland-golden-age-singers-julian-bre_0

ただし、こちらのアルバムは、上に書いた1597年の歌集をそのまま録音しているわけではなく、曲目が異なります。重なる曲がちらほら、ぐらいの感じ。

というわけで、何か話がゴッチャになっている気がするのですが。
とにかく両方のアルバムを貼れたので、「ノルマは達成」と考えることにします。

なお、YouTube には Golden Age Singers の1962年のレコードによる動画も見つかります。
一曲目が有名で私も好きな "Awake, Sweet Love"。


(念のため。別ソースによる同演奏。)https://archive.org/details/lp_ayres-for-four-voices_john-dowland-golden-age-singers-julian-bre


(参考)
巻末リストのこの箇所に出てくる追加コメント(46〜47に対応)を、念のため書き写しておきます。

英国のヴァージナリストの作品のおもしろいレコードとして、グレン・グールドの《ヴァージナル曲集》(SOCO 3 or CS-18AC 959)をあげておきたい。これはピアノの演奏だけれどもグールド一流のおもしろ味をふんだんに味わうことができる。
最近いくつもいいものが出ているが、その中から次の3種を推薦しておく。《W・バードとその時代の作品集》ロンドン古楽グループ R-RCL 8009〜10。《ダウランド作品集》デラー,コンソート・オブ・シックス V-VIC 2284〜6。《Great Service》デラー・コンソートの演奏 英国盤 Harmonia Mundi HM 213。


48 カリッシミ(Giacomo Carissimi)「イェフテ」"Jephte"

* * * * *

巻末リストの記述を念のために書き写しておきますと。

ヴォルテルス指揮北ドイツ合唱団 Singkreis の演奏 Archiv LAM 14(廃)。裏はモンテヴェルディの『アリアンナ』よりの悲歌その他が入っている。他にミラノ・アンジェリクムによるレコード(ドイツ盤 Mixtur Schallplatten Berlin An 6107 or イタリア盤 Angelicum=キング直輸入 STA-8967)がある。
新しいレコードですばらしいものが出た。コルボ指揮リスボン・グルベンキアン o. ほか R-REL 8005。

49 コレッリ(Arcangelo Corelli)「クリスマス協奏曲」《合奏協奏曲 op.6 No.8》"Concerto grosso, op.6 No.8"

もう一つ


ここの巻末リストで、「教会ソナタ」op.3、「室内ソナタ」op.4 を納めた盤への言及があります(演奏が良くないのか、推薦には至っていません)。
また、次のような推薦があります。

「アルベルティ『二つのトランペットのためのソナタ』、ボノンチーニ『六つの独奏楽器のためのシンフォニア 第8番』、ジャッキーニ『ソナタ 第5番』、トレッリ『シンフォニア ハ長調』『二つのトランペットのためのシンフォニア』『シンフォニア イ長調』以上イタリア・バロック4人の作曲家の作品を含む《Brass in hi-fi (from the eighteenth century)》 米国盤 Westminster XWN 18664 Leclair Ensemble Society この盤は録音もいいし、バロック器楽といえばとかく弦楽器の曲が多く知られているので、この盤の一聴はたのしい(廃)。」



50 ヴィヴァルディ(Antonio Vivaldi)「 調和の霊感」"L'estro armonico" op.3

Brilliant Classics が上げている全曲まとめの動画を。

(曲の並びが変なのですが、コメント欄にインデックス=トラックリストを書いてくれた人がいるので、個別の曲に飛ぶのも容易です。)


※本文では大分けなされている「四季」ですが、それを含む「和声と創意の試み」"Il cimento dell'armonia e dell'inventione" op.8を、やはり Brilliant Classics のまとめ動画で貼っておきます。動画の概要欄にトラックリストがあるのはいつものとおりです。



51 フレスコバルディ(Girolamo Frescobaldi)「音楽の花束」"Fiori Musicali"[音楽の精華]

全曲となると、それなりに長いようですが、巻末リストでの推薦は(型番 "米国盤 Decca Archiv 3054" から判断するに、恐らく)次の抜粋盤です。Eduard Müller によるオルガン。他に、Fritz Neumeyer の演奏によるハープシコード曲も収録。

https://archive.org/details/lp_fiori-musicali-etc-toccate-dintavolatura_girolamo-frescobaldi-eduard-mller-fritz-ne

(1960年のリリースという登録になっていますが、レコードには1955〜56年の録音と記載されています。)

Brilliant Classics に次のような動画があり、"Fiori Musicali" の曲がいろいろ入っているようです。ただ、私は全く詳しくないので、関連曲がすべて入っているのかどうかなどはよく分かりません。


※なお、巻末リストで長文のつけたしがあるので、以下に写しておきます。

ガストン・リテーズのオルガン独奏による抜萃盤 Tr-PA 1099(廃)がある。編曲ものにおもしろいのがある。『トッカータ,カンツォーネ第2集』『音楽の花束』から4楽章を抜萃して Quatro Pezzi と題したもの。イタリアの現代作曲家ゲディーユの編曲が巧妙な上に、プレヴィターリ指揮サンタ・チェチーリア音楽院 o. の管の演奏がオルガンの響きを実によく捉え再現して、魅了する。米国盤 London CS 6112(廃)。全曲盤が2種あるのであげておく。アントニーニ(org),デュラン指揮アヴィニヨン声楽アンサンブル C-OX 1043〜4。タリアヴィーニ(org),コルベッタ指揮ベルガモ・インマコラータ合唱団 R-ERX 7143〜51。


52 スヴェーリンク(Jan Pieterszoon Sweelinck)他《オルガン音楽》

本文の記述には「Power Biggs: The Art of the Organ」のレコード決め打ちで語っているようなところもあります。
このレコードは1955年の発売らしいので、著作権は既に切れていると思うのですが、無料の動画等はさしあたり見つけられませんでした。

ここの巻末リストの記載を書き写しておきますと

パワー・ビッグズ演奏 米国盤 Columbia KSL 219 2枚もの(廃)。
スヴェーリンク『トッカータ』『変奏曲』2曲,『パレット・デル・グランドゥーカ』のほか、パーセル,パッヒェルベル,ブクステフーデ,バッハ等の作品があり、フレスコバルディをのぞき当代のオルガン音楽を知るにたいへん便利。
レオンハルトのオルガン独奏によるスヴェーリンク《オルガン曲集》 Te-ULS 3144 or ULX 3099 がある。
参考盤
ブクステフーデ『オルガン曲集』
ハンス・ハインツ独奏 Archiv LAM 33(廃)。ドイツ盤 Archiv 2533032(廃)。
フランスのオルガニストのアランの独奏による全曲盤がある R-ERX 7080-91。

あと、Brilliant Classics が "Sweelinck: Complete Harpsichord and Organ Music" という、とんでもなく長尺の動画を上げています(概要欄にトラックリストあり)。



上に見たように、参考盤としてブクステフーデの「オルガン曲集」も挙がっています。

さて、Brilliant Classics から、なかなか興味深い企画モノのアルバムがアップロードされていたので、ここではそれを。
本文でも触れられている「彼の主宰した音楽会をきくため、J・S・バッハが、わざわざ、やってきた」というエピソードにちなんだ録音のようです。動画前半がブクステフーデ、後半がJ.S.バッハのオルガン曲です(概要欄にトラックリストあり)。



53 リュリ(Jean-Baptiste Lully)「怒りの日」 "Dies Irae"

(動画後半は《Te deum》。これも巻末リストで言及のある曲。)


54 ラランド(Michel-Richard de Lalande)(ドラランド Delalande)「主を怖れる者に祝福あれ」"Beatus Vir Qui Timet Dominum"

プレイリストの形になっています。これは巻末リストに載っているもの(米国盤 Westminster XWN 18537)と同じ録音ではないかと思います。
リスト中の10曲目までが "Beatus Vir" で、以下は別の曲("Usquequo Domine")だと思います。

この盤のデータはせっかく調べたので書いておきますと(ちょっと長いですが)
Michel Richard De Lalande
«Deux Grands Motets Pour Soli, Chœurs Et Orchestre (Beatus Vir / Usquequo Domine)»
Ensemble Vocal Philippe Caillard
Ensemble Instrumental J. M. Leclair
Direction: Louis Frémaux
1955年のレコードらしいです。

なおまた、モテット『天の元后』『深き淵より』を入れた次のレコードの推薦があります。
「カイヤ指揮パイヤール室内 o. カイヤ合唱団ほか R-ERA1043」

55 クープラン(François Couperin) 《Oeuvres Complètes》(クラヴサンの作品全集)

これも Ruggero Gerlin のレコードを念頭においたチョイスなのでしょう(本文ではスペルが少々間違っているようです)。
なんだかヤケクソ気味な選択(?)にも見えますが。

下のものが、これまた Brilliant Classics の、なんだかすごい動画。
「クープラン一族 Vol.1」(ストレートに訳せば「クープラン王朝」。)

一口に「クープラン」と言っても、作曲家一族なので「いろいろな」クープランがいるということのよう。

さて、この動画は、概要欄を見ると作曲者を「フランソワ・クープラン」としていますが。実際、そうなのか? 正直、私にはよく分からないところがあります。

ただ、作品リストなんかと見比べるに、どうやらそれっぽいか、ということで、とにかくえいやで貼っておきます。

(コメント欄のトップにトラックリストがあり、個々の曲に直接飛べます。)

56 クープラン「リュリ讃」"Apothéose de Lully"


(参考)
本文と巻末リストで言及のある「教区のためのミサ」


57 ラモー(Jean-Philippe Rameau)「クラヴサンの組曲」(Complète)

巻末リストには「Complète(全集)」とありますが、本文だと「特に、第二曲集が好きだ。」とあります。
なので、とりあえずそれだけ取り上げます。

全9曲の「組曲第2番 ホ短調 RCT 2」"RCT 2 – Pièces de clavecin (1724) – Suite in E minor" で良いのでしょうか。

もう一つ、とても古典的な演奏ですが。

吉田秀和は1954年、ニューヨークでランドフスカの演奏を聴いたそうです(66a バッハ「半音階的幻想曲とフーガ」のところに出てくる思い出話)。ただ、老境のランドフスカは既に「思いのままにひく力をうしなって」いたそうです。


58 ラモー 《Operatic Excerpts》(歌劇の抜粋集)

本文に「ブーランジェ(Nadia Boulanger)の指揮による」云々と書いてあるのは次の盤のことだと思います。巻末リストの型番記載「米国盤 Decca Archiv 9683」。「純粋をもって、何よりも尊しとなす人には、気に入らないかもしれない」との断り書きも。

https://archive.org/details/lp_operatic-excerpts_jean-philippe-rameau-nadia-boulanger-vocal

これは1953年の録音らしいです。

巻末リストには「最近では(中略)全曲盤がある」として、『イッポリトとアリシー』『カストールとポリュックス』『はなやかなインド』各レコードの紹介もあります。


59 スカルラッティ(Domenico Scarlatti) 《ソナタ集》"Sonate"

(コメント欄のトップにトラックリストがあり、個々の曲に直接飛べます。)

MMで本曲を扱っていることを申し添えます(K11 / L352)。
音楽史 : グレゴリオ聖歌からバッハまで  ……  p219。


60 パーセル(Henry Purcell) 歌劇「ディドーとエネアス」(Opera "Dido and Aeneas")[ダイドーとイニーアス]



(参考)
巻末リストで《Homage to Henry Purcell》というアンソロジー盤が推薦されています。米国盤 Bach Guild 570-71(廃)。

また、歌劇「妖精の女王」についても言及。



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