2019年6月 詩「シャイン・スーサイド・スイートハート」「仮想死体」

詠題：腹筋

シャイン・スーサイド・スイートハート　　森田 玲花

新陳代謝な刹那、ハートを上手に書こうとしても左側だけがどうしても歪んでしまうことに気づいちゃった。叩けばラの音しか鳴らなそうな鎖骨と肋骨にぬるりと絡みつく夕日みたいな肉のシナプスの先、そこは絶対的な恋の骸が仲良くみんなで手を繋いでわたしを呼ぶ。ステータス変更の通知で結婚しましただなんて、一生許されると思うなよ。些細なまばたきした影だって、忘れてやるもんか。軸足よーいドンで第３コーナーを曲がったら、吐瀉物まみれで踊ってる「愛してる」を全力で飲み込んで、あなたの心臓に生まれ変わるね。

仮想死体　　ねむみ えり

寝転がるたびに、私を思い出すよう呪いをかけた
ごめんね、眠る君の血管は青

守らなくていいよ、どうせ死なないし
目が合うとすぐ、困った顔をするね

隠し持った小さな凶器を
君のお腹に突き刺す妄想ばかりしてる

握られた足首だけが知る
私の溢れる秘密よ

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