眠い森林

ねむみえりと森田玲花による詩歌ユニット

眠い森林

ねむみえりと森田玲花による詩歌ユニット

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2021年9月 詩「存在生命意義線」「消失」

詠題:「火」 存在生命意義線  森田玲花 爪先に灯るような劣情から髪全体にこびりつく情念まで、全部まとめて飲み込んでみせてよ。どこにも行けない形状記憶のカッターで、地平線に一本の血潮の線を引く。バンクシーのように誰にも知られない天才になりたかったあの頃を、順番にエスカレーターで荷運びしたら、重量オーバーになって秋が来た。欲しいと願うなら差し出しなさいとどこかの神が言うほど、両手に差出せる言葉は残っているのか。天井いっぱいに詰めたテトリスのまま、百円自販機並みに安っぽい

    • 2021年8月 詩「傍観者」「登場人物Aの証言」

      詠題:「演劇」 傍観者 森田玲花 私と私が手を取り合うとき、 指先では一種の諦めが通過し 知らない名前を交換こしあう もういいよ の繰り返し 秘密をまとえば絶世の美女 駅構内ではネズミが轢かれた それを片目に私はキスした 見て見ぬ振りする姿を見かねて 私は私に罰を下した 乗っ取るのか 乗っ取られるのか 私が私か 私が私か 全部フラペチーノにしたら 灰皿がわりにありったけの笑いを 登場人物Aの証言 ねむみえり 私が誰かであったとき、あなたも誰かであったのでし

      • 2021年7月 詩「寧日」「パラレルワールド」

        詠題:「祈り」 寧日 森田玲花 燃える青さを忘れるなかれ 今宵の星はワット数が足りぬ (欲情 あまりにも 世界は 不安定 舐めとって ぐちゃぐちゃに そのままに ずるいだけ の ささくれ じくじく じわじわ コンマ数秒 の 目線 ピューリタン 目隠し いけない すがって 壊して) サイヤクせよ サイアクは誰 無血革命だって紅色 (美しさ は 嘘 まみれて ほどこして ほどいて 一斉レーザー だってどうしようも なく 矛盾だらけ で あえない あいたい あわない 

        • 2021年6月 詩「スルー&ペースト」「ビーストモード」

          詠題:車 スルー&ペースト 森田玲花 容量いっぱいのピーナッツがあるとして、 解決法は捨てるか飲むか、吐き出すか どうあがいてもモンブランになれないのです だから、すべてが晴れるまでは せめてノーブレーキで生きるしかない 何回考え直してみても 人間にはなれない女でした。 誰もいない噴水の隅で 指輪を鳴らしてだらしない蜜事 バレる前にストゼロ含んで、 高速代に換金してよ 消費されるくらいなら 私は消費する側になるわ。 見えないところに愛がある 正しいか、よりも

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        • 2021年
          0本
        • 2020年
          3本

        記事

          2021年5月 詩「みんな私のことがすき」「beg」

          詠題「許し」 みんな私のことが好き 森田玲花 グレーとブルーが入り混じる 十六時の空は窮屈で 膝を抱えて両手をあわせて 埋まらないマス目に祈りを捧ぐ 共感しましょう 海の淵まで 願わくばひとりぼっちでも かみさまになって地球をつつみ 誰一人欠けないように 涙の真綿で 愛してるなんて言い訳が もういいかい、に変わる頃 私の言葉は切り刻まれて どこにも行けない もうさよならだ beg ねむみえり ごめんね、と声をかけると セーラー服の彼女は首を傾げた 随分遠くまで

          2021年5月 詩「みんな私のことがすき」「beg」

          2020年5月 詩「累卵」「ないものねだり」

          詠題:ガチャガチャ 累卵 森田玲花 選ばれなかったXYZ 札束ごときに殺されて 上から目線の言付けに 相番振りわけ袋詰め 待っているから、でておいで ワーストエンドサークルで わたしは赤い血が出ない ないものねだり ねむみえり 何度回しても落ちてくるのは いらない私の片腕でした 積み上げた銀のコインは 音を立てて崩れてしまったし あの子の正体も分からないまま 部屋に充満する腐臭 手を伸ばしてもそこにあるのは あの日の私の片腕でした ----------

          2020年5月 詩「累卵」「ないものねだり」

          2020年4月 詩「恋愛代数」「過食」

          詠題:日替わり弁当 恋愛代数 森田玲花 土曜の真夜中、新宿には毎週流星群が降っていることを私しか知らない。区役所通りのコンビニで言い訳のためのビールを買って散歩をすると、横を歩く男女の固く結ばれた手のひらが発光し、淡くまたたいて空へと還っていく。あっちは真っ赤に、こっちは緑に。気づけば彼ら彼女らは一晩過ごすための宿泊施設で愛を囁くために消えていき、それがそのまま天の川になる。恋人たちの歌は鳴り止まないけど、本物かどうかなんて私にはもちろんわからなくて、ぽっかりと空いて

          2020年4月 詩「恋愛代数」「過食」

          2020年3月 詩「エチュード・アルゴリズム」「生存戦略」

          詠題:なし(各自自由) エチュード・アルゴリズム 森田玲花 正しい響きで発声しなさい へばりついた悲しみは タールで溶いても流せずに キリンの瞳を夢見てる 春のまたたきをなぞるだけ 遠くで聴こえる分裂が 凍結している背中だろう 生存戦略 ねむみえり 届かない声でできた沈殿物 混ぜるな危険 希死念慮が発生します 狂ってしまわないように 適切に瀉血している 秒針に乗って遠ざかる心臓は タイムトラベルで取り戻しました 生活を引き延ばしている 今、呼吸をするには

          2020年3月 詩「エチュード・アルゴリズム」「生存戦略」

          2020年2月 詩「カンフル計画」「分離された足元と耳鳴り」

          詠題:温暖化 カンフル計画 森田玲花 眠気は背骨からやってきて 曇天に恋して綻んでいく 結論だけが道じゃないのに 抱きしめることしか今日はできない 咲き乱れて、吸って吐く ショートカットで世界を征服 五時の鐘が鳴らないせい マーガレットが舌を剥く 分離された足元と耳鳴り ねむみえり 世界は大渋滞 ゆらゆらと動く水面には 死んでいったものたちの影 何処へもたどりつけない僕たちに 溶け続けている悲しみが染み込んでる 血まみれの秒針が進んでいるのは ただ思いつき

          2020年2月 詩「カンフル計画」「分離された足元と耳鳴り」

          2020年1月 詩「脱却」「ちぎる」

          詠題:こたつ 脱却 森田玲花 帰りたくない翌日は 噛み砕いた言葉がつっかえて カフェインの雨に打たれてる 惰性に燻され逆剥けた 地球に半分埋まって溢れる前、 指先から二度と愛が紡げない さようならなんて言ってたまるか ちぎる ねむみえり ここはぬるま湯 落ちていく体温を感じても どこへも行けないことは 暗黙の了解だね やがて息絶えていく私たちだから 言葉を使うことはやめよう どこへも着地できなかった会話の 弔いだけはおこなおう 生まれる前に出した契約書は全部

          2020年1月 詩「脱却」「ちぎる」

          2020年 迎春特別号02 詩「漂着しない鍵たち」

          詠題: #404美術館 漂着しない鍵たち ねむみえり ここは宇宙でした 何もかもを生んで殺した 愛はすべてを許してくれるはずだったのにね 裏切ったのならごめんなさい でも確かにここでは 誰かの信号が点滅していました もう一度、生き返るまで、何度も呼んで ------------------ 2019年3月から開始した「眠い森林」。 活動2年目のとなる2020年は、毎月のnote更新の他にも様々な活動を行う予定です。 これからもどうぞよろしくお願いいたします。

          2020年 迎春特別号02 詩「漂着しない鍵たち」

          2020年 迎春特別号01 詩「会えないあなたへ」

          詠題: #404美術館 会えないあなたへ 森田玲花 まばたきの音が告白だと気付いたのは 本当の名前を知らないことと地続きだから 見せつけるための交換会、 気付いて世界に証明して刻んでよ シーツの密度が冷たくなったら 両手をひらいて突き落としてね ------------------ 2019年3月から開始した「眠い森林」。 活動2年目のとなる2020年は、毎月のnote更新の他にも様々な活動を行う予定です。 これからもどうぞよろしくお願いいたします。 #404

          2020年 迎春特別号01 詩「会えないあなたへ」

          2019年12月 詩「売り切り」「幻影」

          詠題:タピオカランド 売り切り 森田玲花 振り返らない背中は 甘くなった夜空のオリオン座越しに 境界線がぼやけてとろける 愛で太った夏の夢 あと一口が飲み込めない 忘れたことさえ忘れちゃうなら 心拍数、全部捧げようね 幻影 ねむみえり あの国が幻であったように 君も僕も幻である 僕たちが消費していた青春は どこかから運ばれてきた舶来品の一部 それは了承済みであったね 重なった夢のゴミの上で泣かないで いつかきっと忘れるだろうし それでも世界は歪まない

          2019年12月 詩「売り切り」「幻影」

          2019年11月 詩「計画性偶発的理論」「点描画」

          詠題:夢中 計画的偶発性理論    森田玲花 二重に泳ぐ月を見てよ 食べた眠気は消化できず わたしたちはみんな 奇数になってしまったよ 分かり合えない煙たさ 全部舐めとってあっち向いてよ 痛いだなんて言わないで ここが明日かそっと教えて 点描画    ねむみえり 幸福という甘味を ただ頬張るだけの 生活は幻だろうか 振り返れば刺される 過ぎ去りし私の影だ 手をつないで一緒に 鏡の世界を抜けよう 希死概念吹っ飛ばして 宇宙まで行けたのなら それを希望と言おう

          2019年11月 詩「計画性偶発的理論」「点描画」

          2019年10月 詩「エンドロール」「消滅」

          詠題:宙 エンドロール  森田 玲花 正義の刃は抜けなかった。が 終わりのはずなのに 今日も世界中で言葉が燃える (慈しみを持って月を半分に割りなさい  与えなければ、両手を差し出せないわ) あなたの声と私の声が 同じなはず、ないのにね ちゃんと息継ぎできることを ていねいに、ていねいに祈っているよ 消滅  ねむみ えり ふわり飛んで 君を捨てた さよなら、可愛い人 ちぎれた指は、燃えるゴミだよ あまりにまばゆい星は すぐに死んでしまうんだね さよなら

          2019年10月 詩「エンドロール」「消滅」

          2019年9月 詩「切り裂きアイデンティティ」「肉片と情緒」

          詠題:本 切り裂きアイデンティティ  森田 玲花 近頃、定義が曖昧だ 明日がどっちかわかんない 招待状と目指すは黒猫 言葉を使って生きねばいけない なる早税を支払ってくれ いいから黙ってジャンプでララバイ とか考えているうちに爪が欠ける 肉片と情緒  ねむみ えり 人の生活を覗きたい 因数分解してみたい いかに生きてきたんですか いかに死んでいくんですか 冠婚葬祭何も間に合わなくて 暗い部屋に夕陽が差し込む あの子が恋を覚えたから私、 紙で指を切りました

          2019年9月 詩「切り裂きアイデンティティ」「肉片と情緒」