2019年7月 詩「わたしとの約束」「夏の夜更けデッサン」

詠題：未明

わたしとの約束　　森田 玲花

ずる剥けた朝日たちが
空っぽの扁桃腺の奥で
秒針と右回りに進んでる
じっとりぬめるセレクト発車

ずるいって言っちゃえばよかったのに
新宿出勤がもうやめられない

深爪の小指が半月をひと突きする
やさしくないなら今日は来ないよ

夏の夜更けデッサン　　ねむみ えり

台風の進路を告げるニュースが垂れ流されている
誰かが生きている音で僕の輪郭を確認する

あの子は悲しみを落としている
（明日にはきっとこの世にはない言葉たち）

青い薬がもたらす永いまどろみは平和
何もかも忘れてしまうけれど

曖昧にしている境界線を
引けないからまだ、眠れない

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