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帝国ホテルとポテサラ1gの美学


ひょんなことから帝国ホテルに行きました。
皇居にも銀座にも近くて、東京の中でもかなり東京っぽい場所でしょう。

スイーツやパン、お惣菜が売っているエリアを徘徊してたんですけれども、まあ商品の扱いが凄いんですね。たかだか3、4粒のチョコがトロフィーみたいな器に乗っていて、(旧)ジャニーズライブかと思いました。

結局、パン×2、ケーキ2、あとはハンバーグとポテトサラダを購入。できるだけクラシカルなものが良かった。特にポテトサラダは、クラシルさんのYoutube動画を見て以来ずっと食べようと決めてたんです。



いやあ、帝国ホテル第14代東京料理長・杉本雄シェフの実直な話しぶりが好きですね。


さて、そんな憧れのポテトサラダを買おうとした時のこと。
「すみませ…」と手を挙げるコンマ数秒前に女性の店員さんが近づいてきました。さすがの洞察力。しゅっとした黒ぶち眼鏡で、ショーケースを開ける手つきはまるで高級時計を扱うかのようです。

「ポテトサラダ200gください」
僕がそう言うと、店員さんはバットに入ったサラダをサーティワンよろしく滑らかにすくい取ります。タン、タン、とざっくり2撃。まさかこれでぴったりになっちゃうの!?と疑っていたら……

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241グラム。
あら、意外とオーバーしていました。
しかし店員さんは慌てることなく、シュッとポテトサラダの頭を削り落としてもう一度秤の上へ。
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199gグラム。

すげえ。
さすが熟練の技。たぶんポテトサラダ本人も何されたかわからないくらいの鮮やかな手さばきでした。
――しかし、本当に驚いたのはここからです。なんと店員さんは、妥協することなく1gのポテトを足そうとしたのです。すさまじいホスピタリティ。

心の中では(いやもういいよ!)とちっちゃいさまぁ~ず三村さんが軽く暴れだしましたが、そんな僕にはおかまいなしに店員さんはポテトサラダを再々度、秤の上へ。
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216g。

(だいぶ超えちゃったよ!)
イマジナリー三村さんが口をふさがれながら全身をばたつかせます。さっきの199gはまぐれだったのかよ、と。1g足すのも大変なのに、16g減らすのはもっと難しそうだと心配していると……。

「こちらでよろしいですか?」
と店員さんからまさかの計量完了宣告が発せられたのです。

僕の心の野次はもはや三村さんどころではなく、立憲民主党レベルに。

\どういう基準なんだー!/
\儲かればそれでいいのか―!/
\悪しき帝国の歴史をぶりかえすなー!/

まあ、店員さんの笑顔が素敵すぎて一切怒ってないんですけどね。注文重量を下回るのはダメとか、そういうマニュアルなんでしょう、たぶん。



あらためて、我が家にやってきた216gのポテサラがこちらです。
”ミモザが咲いた”と言われるこの仕上がり、いかがでしょう。

肝心の味はというと、びっくりするくらい想像通りのポテトサラダでした。その辺を歩いてるポテトサラダより、よっぽどポテトサラダっぽいというか。「うわー、いらん香辛料足したな!」とかもなければ、「一流ホテル唯一無二の個性」でもない。ミラクルひかるさんにモノマネさせたみたいに、ポテトサラダ感が誇張されたポテトサラダでございました。


ただぶっちゃけた話、ききポテトサラダをやったら当てられる自信はありません。僕みたいな庶民は、帝国ホテルと言われたらなんでも1.5倍増くらいで美味しく感じてしまうのでしょう。

しかし、なぜこんなポジティブイメージがあるのか。
帝国、と聞いて思いつくのは「大日本帝国」「帝国華撃団」「ゆらゆら帝国」「きのこ帝国」「FF6の敵」「パワプロの敵(ちょっと違うけど」くらいなんですけれども、圧倒的な信頼感があります。

眼鏡の店員さんが1gのポテトを足そうとしたのを”さすがの徹底ぶり!"とかなんとか言って評価したくなるのも、ブランドイメージの賜物。
やっぱり日頃の行いって大事だなって思いました。


(おまけ)1600円のハンバーグ軍曹近影


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