
ヒプマイ劇場版がめっちゃ楽しかった!!!【インタラクティブ映画の利点と気になった点の考察】
アニメの話、するぞ!!!
ヒプノシスマイク劇場版を観てきました。
自分はヒプマイはアニメだけ見てたぐらいのニワカでキャラへの思い入れとかもそんなになかったんですが、かな〜り楽しめました。まあ、ストーリーはキャラクターと関係性のわかる掛け合いがいくらかある程度で、ラップバトルシーンと投票要素がメインだったし。
本作は「インタラクティブ映画」となっており、観客の投票結果で展開や結末が変わります。
この形式がヒプマイにすっごくハマっていました。形式とそれによるよかったこと、気になったことを考えてみます。
(当記事内ではインタラクティブ形式への感想を中心に書きます。内容に関する感想はクール毎のアニメ感想まとめ記事の方に書きます。)
ヒプノシスマイクとは
一応ざっくり説明します。
人の精神に作用する「ヒプノシスマイク」というマイクが存在する世界観でのお話。
争い事はラップバトルで決着をつけます。(遊戯王のデュエルみたいなもん。)
メインの登場人物は男3人ずつでチームになっており、チームは「イケブクロ・ディビジョン」など、特定の区画を縄張りに活動しています。
こいつらがぶつかり合ったり、時には協力して戦ったりします。ラップで。
「インタラクティブ映画」としてのヒプマイ劇場版の構成
本作の流れについて。
6チーム(+1チーム)がラップバトルで戦って優勝を決めるお話となっています。
一回戦は2チームでラップバトルをして投票で勝敗決定。二回戦は勝ち上がった3チームがそれぞれ持ち曲を披露して投票で1位を決める。最終戦では勝ち残った1チームがボスの【言の葉党】チームとラップバトルをして、また投票で優勝チームを決めます。そんでもって、優勝チームはウイニングライブみたいなのをやる。
通しでは10曲(オープニング、一回戦3曲、二回戦3曲、最終戦1曲、ウイニングライブ、エンディング)聴けます。
計5回ある投票は「CtrlMovie」というアプリを用いて行われます。
映画冒頭で表示されるQRコードをアプリで読み取っておき、投票タイムになったら画面にアイコンが表示されるので10秒の間に投票。すると、リアルタイムで集計が行われて、勝敗の展開に反映されます。
予告で「全48ルート、7つのエンディング、新曲16曲を用意」と謳っていますが、
エンディングはおそらく優勝チーム7種分。
ルートについては、一回戦の結果2×2×2、二回戦の結果3、最終戦の結果2の掛け算で48ルート。
新曲については、一回戦3曲、二回戦各チーム6曲、最終戦6曲、エンディングで16曲でしょう。(オープニングとウイニングライブは既存曲のはず。)
「ヒプノシスマイク」と「インタラクティブ映画」との相性の良さ
ライブ映画として受け身のみでなく積極的に参加できるという点は、もちろんよかったです。ちゃんと評価しなきゃなとラップにより集中できました。
アニメとかでよく見るリアルタイム投票のアレ(女性アイドルアニメではよく見かけます。)に自分がなれたのも嬉しかった。
また、本作は勝敗が客によって容赦なく下されるというのがよかったと思います。
「ヒプノシスマイク」ってキャラクターコンテンツであって、それぞれのキャラクター、チームにはファンがいるわけです。なので、ファンを大事にするために、キャラを大事にしなきゃいけない。
こういう場合、公式が勝ち負けを決めるのに慎重になってしまいがちだったりしますが、勝ち負けを濁していくとバトルものとしての面白みが薄れてしまいます。(アニメ2期は共闘展開が多かったため、メインキャラ同士のバトルが少なく物足りなかった。)
一方で、ストーリーの展開上仕方なく勝ち負けを決めてしまうと今度は「ご都合」に感じられてしまう。(アニメ1期は終盤主人公格の高い奴が勝つ感じがして少しモヤッとした。)
「インタラクティブ映画」という形式はこのジレンマを見事に解決したと思います。
勝敗の判断を下す責任を全て客に丸投げしてしまえば「ご都合」はないし、キッパリ勝敗がつくので緊張感のあるバトルが成立しています。
映画ビジネスとしての良さ
この頃の映画、特にアニメ映画では、リピーターの多さが盛り上がりの大きさに直結している感じがします。売上のことは詳しくないので、とにかく1回観る人が多い方がいいのかリピーターが多い方がいいのかはよくわかりませんが、まあ少なくとも客数が同じならリピートしてくれた方がいいに決まっています。
リピーターの多い作品はコンテンツとしての寿命が長く、何年か経ってもグッズが出たりイベントがあったりして、お金の話なしにいいことだなとも思います。
特典をランダムにしたり週替りにしたりという戦略もありますが、セコさは否めないし、やっぱり本編そのものの力でリピーターを獲得するのが健全だと思います。(受け手が楽しめる形ならそれでいいんですが。私も劇場版メイドインアビスの週替り映像特典のために4回観たし。)
本編の情報密度を上げたり難解にしたりするのも手なんですが、客がついてこなくなるかもしれない。映画館での映画鑑賞って、やっぱりスッキリしたいし……
本作はそもそもライブ映画なのでリピートしやすく、その上で毎回展開が変わりうるので何回も観る動機を自然と生み出せています。
ライブシーンが変わるだけでなく、掛け合いの内容やキャラにも変化がありそうで、周回する人にとってはうれしいことです。
気になった点
本作はとてもよい体験ではありましたが、気になった点も挙げておきます。
以下のことって、それを含めた体験として楽しめる人にとってはプラスにもはたらく要素ではあると思います。
・希望する展開にならない
自分はキャラにそんなにこだわりがないので、どのチームが勝ってもまあ同じくらい楽しめたと思うんですが、希望する展開があって観に来ている人にとっては残念に感じるかも。
あとは、リピートしても見たい展開が見られなさそうなものもあります。
私も観終わった後、言の葉党エンドはどうなるのかなってちょっと気になったけど、ふつうに初見のファンを客席に詰めたらあんまり言の葉党が勝つ気はしないです……
展開が変わりうるからこそ、同じ結果を引いた時には「ダブった」みたいな気持ちになりそう。本気でコンプしたいと思っている人にとっては映画自体がコンプガチャになってしまっているとも言えます。
・投票判断の軸が人により違う
私は今回全てにおいて「ラップが良かったと思った方」に投票しました。

なんでや!
べつに、みんながラップで判断して投票していたならばまあ納得がいくんですが、推しのチームやキャラに投票している人もいるんだろうなと思うと少しモヤッとします。池袋で観たこともあって、多分イケブクロが有利だろうなという気はしていたし。
人気投票でバトルをしたい人がいてもいいし、推しの出番が増えるんだから全く悪いことではないです。チームのファンを集めて望みのエンディングを観に行くという楽しみ方もアリだと思います。そっちの客層からすればニワカの私のせいで推しチームが負けてしまう可能性もあるわけです。
可能かどうかは置いておいて、観客で判断の基準が統一されていた方が納得感はあると思います。
・劇場の場所による有利不利の問題
上記のように、池袋の劇場で観たらおそらくイケブクロ・ディビジョンが有利になるし、大阪で観たらオオサカ・ディビジョンが有利になるでしょう。
こちらのページから各劇場での投票結果が見られます。地域差が見られたりたまに組織票っぽいのがあったりしておもしろい。
逆に、ディビジョンになっている地域の人がフラットな状態で拮抗を楽しむには、少し遠出しないといけないかもしれないということにもなります。
いかがだったでしょうか
いろいろ言いましたが、思ったよりかなり楽しめたので自分としてはこの形式は大満足です。
もう一回ぐらい観に行きたいかも!別の映画館で!