メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)
ソーシャルVRユーザーのアイデンティティの在り方を調査した定性レポート「メタバースでのアイデンティティ」を公開しました。自由回答による定性データの分析によりメタバースで広がる”自分らしさ”の多様性が解像度高く浮かび上がりました。人類とメタバースの未来に向けたオープンな議論を活性化させるため、全71ページ無償公開します。ぜひ感想をお寄せください。
※English portal here
はじめに
過去2回に渡り「ソーシャルVRライフスタイル調査」と題して大規模な定量調査を実施したところ、レポートを読んだユーザーのみなさんから、回答の割合だけではなく、結果の背景にある理由や原因をより詳しく知りたいという反響を数多く頂きました。そこで今回は、特に注目度の高かった「ソーシャルVRユーザーのアイデンティティ」に着目した定性調査を実施しました。自由筆記形式で「アバターデザインの背景にある動機」「VR生活による影響」「アイデンティティの在り方」について詳しく質問した回答を分析しました。1,012件の定性データの分析は想像以上に困難で、過去の調査と比較にならない作業量になりましたが、仮想世界で広がる人々の新たな生き方や自己の在り方の多様性が解像度高く浮かび上がりました。より良い未来を議論するきっかけになれば幸いです。
Nem x Mila
目次
Part 1. ユーザープロファイル2024
ソーシャルVRサービス・年齢・物理性別・最新の変化
Part 2. アバターデザインの背景にある動機
アバターの種類・性別・年齢・物理世界の自分との類似性、その背景にある動機
Part 3. ソーシャルVR生活による影響
行動の変化の背景にあるもの、良い影響と悪い影響
Part 4. 多様なアイデンティティの在り方
仮想世界と物理世界のアイデンティティの関係性、どちらを主要なものとしたいか
レポート無償配布中「メタバースでのアイデンティティ(Nem x Mila, 2024)」
※レポート形式:pdf、日英バイリンガル対応、71ページ
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読後アンケートのおねがい
レポートをご覧いただきありがとうございます。更なる分析と今後の調査活動の参考にぜひ読後アンケートにお応え下さい。あなたの感想やご意見をお待ちしています。
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YouTube Live 調査報告会
11月30日 (土) 21:00から、調査を実施した研究ユニット「Nem x Mila」がYouTube Liveでメタバースから調査報告会を実施します。視聴者からの質問もリアルタイムで受け付けます。
総評:産総研・大山潤爾博士
『自分らしさとは?』という、誰もが一度は考えたことがあるだろう問いに対して、本調査は、仮想世界で現実と異なる自由な身体で生活するユーザーの体験報告から、新しい知見を提供している。特に衝撃的なデータは、回答者の39%が、ソーシャルVRでの自分のアイデンティティを自分の主なアイデンティティとしたい、または、すでにそうしていると回答している点である。また、ソーシャルVRでは現実よりも活発で社交的になる(15%)、社会とのつながりが広がる(37%)、メンタルヘルスが改善(28%)、価値観や学びが広がる(24%)などのポジティブな回答がみられた。さらに、自分と見た目の性別や年齢が異なるアバターや人ではないアバターを利用する理由や、女性型アバターの利用を好む理由の自由記述の分析結果は、ソーシャルVRでのライフスタイルの多様性を具体的に知ることができる貴重な知見である。今回は、特にアイデンティティが調査テーマであったため、関心の高い回答者の比率が高かった可能性はある。しかし、VRでは現実より自分らしくいられる感覚があるユーザーがいるということは、ソーシャルVRを生活の一部として仮想世界と現実世界を往来しながら生きることで、より自分らしく生活できる、誰もが生きやすい社会の実現に近づけるという希望を与えてくれる。
スーパーバイザー:
大山潤爾博士
産業技術総合研究所 人間拡張研究センター(HARC)
筑波大学大学院 認知インタラクションデザイン学研究室
公式サポーター
今回はNem x Milaがこれまでに実施した調査と異なり、回答のハードルが高い定性調査であるため、メタバース関連のメディアやコミュニティが情報拡散等に協力した。
・IMMERSIVE WIRE
・AXON PARK
・GLITCHES.VR
・VR CLUB AT UIUC
・VIVERSE
・株式会社HIKKY
・PANORA
・メタカル最前線
・VRアジト
・株式会社ブイノス
運営:研究ユニット「Nem x Mila」
「メタバースでのアイデンティティ(ソーシャルVRライフスタイル調査 重点探求シリーズ)」はミラとバーチャル美少女ねむがVTuberやメタバースが人類に与える影響を調査するために結成した研究ユニット「Nem x Mila(ねむみら)」による第5弾大規模調査プロジェクトである。Nem x Milaは昨年2023年には国際連合の国際会議「IGF京都2023」でも登壇発表を行った。
リュドミラ・ブレディキナ(通称:ミラ)
スイスの博士課程在籍の学生。2022年に「バ美肉」「VTuber」に関する修士論文でジュネーブ大学のジェンダー分野の学術賞「プリ・ジャンル」(ジェンダー賞)を受賞。 2024年にはNHK「最深日本研究」で密着ドキュメンタリーが放送。
・X: @BredikhinaL
・学術ポータル
※参考:「バ美肉」に関する論文、学術賞を受賞 ジュネーブ大のジェンダー分野で
※参考:NHK『最深日本研究』スイスの”バ美肉”研究者ミラ氏を密着。外国人博士から見た“バ美肉”と“カワイイ”の可能性
バーチャル美少女ねむ
日本のVTuber/作家で、メタバース文化エバンジェリスト。HTC公式VIVEアンバサダー。2022年に解説書『メタバース進化論(技術評論社)』を出版。「ITエンジニア本大賞2023」ビジネス書部門で大賞を受賞。
・X: @nemchan_nel
・researchmap
※参考:VTuberバーチャル美少女ねむの書籍が「ITエンジニア本大賞2023」を受賞
国連IGF京都2023で登壇
TBWA Worldwide インタビュー
※参考:Nem x Mila、国際メディア TBWA Worldwideドキュメンタリー出演
これまでの大規模調査プロジェクト
メディア掲載歴
VIVE後浪潮(中国語メディア)
PANORA
メタカル最前線
リアルサウンド
バーチャルライフマガジン
TeckPicks.co
VTuber Labo
VTuber Post
株式会社ブイノス(プレスリリース)
感想記事
理系人間の寄り道(グリシンあみの)
https://novelup.plus/story/896948783/184992187