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部下の成長のために、上司が守るべきたった一つのこと

昔さ、「理想の上司ってなんだろう?」って考えたことがあってさ。

まあ今にして思えばそんなことどうでもいいことだったんだけど、わりと重要な命題として捉えていたわけ。ほら、俺って絶対出世すると思ってたからさ。


25年前に新社会人として今の会社に入社して、いきなり「上司」や「先輩」というのができた。

もちろん、これまでもずっとバイトしてきたからそういう人たちはいた。パチ屋のバイトで一緒だった先輩の◯島さん、元気かな。最年長で背が高くてキモい挨拶してきてみんなで陰でディスりまくってたけど全く気が付かなかった哀しい◯島さん。一緒に鬼怒川温泉に行ったバツイチのアラフォー彼女と結婚できましたか?

俺が就職した頃はさ、就職氷河期ど真ん中だったから、会社員になれたことだけでありがたかった。周りには大学院に行って問題を先送りしたり、海外に逃亡したり、バイトのシフトを単純に増やしたりしたやつがいた。みんなまだ生きてるかな。

そんなだったから、勤務上の至上命題は「クビにならない」ことだったりする。もちろん労働法上簡単に解雇なんてできないんだけど、そんな法律を盾にする気概もなかったわけ。何しろ会社は神。使用人の立場は絶対正義。俺たちは懇願して社畜にならせてもらってたんだな。志願豚だな。書いてて泣けてきたわ。

だから、上司は絶対だと思ってた。誰に教わるでもなくそう思ってた。バイトの先輩や店長なんかとは次元が違う。いま考えると不思議だけど、自己防衛本能だったんだな。上司に隷属することが最適解。でないとぬ。悲しくて惨めな話だけど、それがスタンダードだった時代。

で、絶対神である上司を観察することになる。当たり前だよ。キーマンに対する警戒を欠かすことなどできないからね。でも、しばらく観察していると、あることに気がついてくる。

「あれ? なんかこの人たち、もしかして能力低くない……?」

支店長以下、数人の上司がいたが、誰もがどうも「???」という感じだった。なんか、これだけプレミアムな立場である「社会人」の、しかも金融機関(当時は大人気)の管理職なのに、どうも様子がおかしい。悪い夢でもみている気になってきてさ。で、そのうち気がついたんだわ。

「あ、コイツら大したことねえんだ。そうか、バカでも会社員になれたバブル以前に就職してたから当然か」

そう気がつくのに半年もかからなかったと思う。いまから思えばクソ生意気な新人だったけど、その時の上司全員より実質的に出世したからあながち見立てとして間違ってたわけじゃなかった。

「コイツらが上がっていけるんなら、俺も出世するわ。なら、上司になる準備をしなければならない」

まわりを観察しても、とても尊敬できる上司はいない。となれば、自分のなかで「理想の上司像」を構築するしかない。そう思った。


随分、考えてきた。それこそ、自社の誰よりも考えてきた。

もちろん実践も繰り返してきたし、失敗もしてきた。

その結果、社内での話ではあるけど、部下がついてきてくれる上司にはなれた。もちろん、出世も早くできた。


理想の上司に必要な、たった一つの役割。

25年間会社員やってきた俺が確信した、恒常的に上司が意識しなければならないたった一つのこと。


それは、「定点」になることだったんだ。



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「理想の上司像」って千差万別でさ、それこそ受け手である部下によってぜんぜん違うじゃない。簡単に切り捨ててしまえば「理想の上司像は無限にある」になっちゃうし、無限にあるってことは無いのと同じだから議論はすぐに終わっちゃうのよな。

でも、それじゃあまともな上司になろうって人が気の毒だと思うし、救いもないよね。だからみんな自分なりの理想の上司像ってやつを追い求めることになる。

本音を言えば「自分の人生なんだから、自分で勝手に成長しろ。上司に左右されんなバカ。依存症のシャバ僧かお前は?」で終わる話なんだけど、こんな答えは誰も求めてないわけ。

仕事ができる人、出世する人、部下から好かれる人、それら優良な結果を出している上司を参考にしながら、自分なりの上司像を作り上げていく。おそらくたいていの人が、自分の中の「憧れ」を「理想」に置き換えていってるはずだ。

部下である自分が目指したいと思う、実際にいる上司。それを理想の上司像として自分のなかに据えていく。

これって間違ってないんだよ。というか、それでいい。

大事なのは一つの指針を持って上司になろうとすることでさ、逆にマズいのはなんとなく上司になってしまったって人。こんな人がまあ結構いるわけ。

なんとなく上司になっちゃうと、非常にマズいことが起こる。何しろなんのガイドラインも持たずに上司になっちゃったから、まず上司としての信念がない。上司になる準備ができてないんだから、「芯」がないんだよな。暫定的な芯すらない。まさにフニャフニャ。

そんな上司の部下になると、これが地獄でさ。自分がどこに向かって仕事させられてるのか、成長の機会を与えてもらっているのかさえわからない。

なんだかよくわからないまま日々が過ぎて、当然に業績は差し迫ってくるから、その場しのぎの指示がフニャン上司からくる。この脱力感ってすごいぜ?

こういう人って、温情昇進で上がった人なんだよな。役員がさ「支店長にしてやるから頑張って一皮剥けろ」とか言って上げてんのね。実際に役員からそうやって聞いたとき気絶するかと思ったよ。なんで部下がンカス成長物語の犠牲にならなきゃいけないのかって。頭きたからソイツを別室に呼び出してゴン詰したよね。ちゃんとしろって。しないんなら俺に全権よこせって。いまも成長してないなあの人は。

なんとなく上司になってはいけない。これは絶対に守るべきことなんだ。

上司は部下に指示を出す任務がある。ならば、その指示には明確な意図を含めなければならない。

それは、単に業務についてだけではなく、その業務の向こうに何を見ているか、そして受け手に何を見て欲しいかまで意図的に発露しないといけない。

例えば、部下に来月のノルマを言い渡すとする。

単に数量を指示するだけではダメで、その数字を追うこと、達成することによって店舗にとってどのような影響があるか、会社にとってどのような影響があるか、そして何より受け手である部下の成長につながるものであるか。それらを表現しなければならない。

そこまでするには、なんとなく上司になってはダメなんだよ。ちゃんと自分の中であるべき上司像がないと、ここまではできない。


理想の上司像は必要だ。でないと会社も、部下も不幸になってしまう。


でもね、実はそれは本質的なことじゃないんだ。


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人ってさ、どうやって成長すると思う? 

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