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ババ抜き理論:心の整理と仏教の智慧



1. ババ抜き理論とは?


「なんで私はこんなにモヤモヤするんだろう?」
「何にモヤモヤしているのかわからないのに苦しいのはなぜ?」

そう感じることはありませんか?


✅ なぜか気になる記憶

✅ 理由はわからないけど、嫌な感情

✅ なんとなく引きずっている思い


こうした感情は、名前のつかないまま、心の中に居座り続けることがあります。

それが、モヤモヤの正体。

これを「ババ抜き」に例えて考えてみるのが、「ババ抜き理論」 です。

ババ抜き理論は、スピリチュアルカウンセラー・里の日向さんから教えてもらった例えです。
ババ抜きに例えてお話してくださった事を、仏教的な観点から語り直したのがこの記事です。


2. ババ抜き理論:感情を手放す仕組み


ババ抜きでは、「同じ絵柄のカード」 を揃えることで、それを捨てることができますよね。

でも、ババ(ジョーカー)だけは手放せず、最後まで持っている人が負けてしまいます。
これと同じことが、私たちの心の中でも起こっています。

過去の出来事で生まれた感情が、はっきりと理解されないまま心に残る。
まるで、手札の中にババがあるのに、どうやって捨てればいいのかわからない状態です。

でも、「これって、こういう感情だったんだ!」 と気づいたとき、
その感情は「名前のついたもの・理解できたもの」になり、心から手放せるようになります。


✅ 「これは寂しさだったんだ」

✅ 「私はあのとき怒っていたんだ」

✅ 「ずっと悔しさを抱えていたんだ」


感情に名前をつけることで、ババ抜きの「ペアが揃った状態」になり、手放すことができるのです。


3. どうすれば、心のババを手放せるのか?


では、どうすれば「名前のついていない感情」を見つけ、整理できるのでしょうか?
大きく分けて 2つの方法 があります。


① 誰かの話の中に、自分と同じ感情を見つける


たとえば、誰かが「親に認めてもらえなくてつらかった」と話しているのを聞いたとき、
「あ、私も同じ気持ちだったかもしれない」と気づくことがあります。
この瞬間、私たちは「認めてもらえなかった寂しさだったんだ」と理解できます。
ババ抜きで言えば、「同じ絵柄のカードを見つけた」 状態です。
このとき初めて、「ババ(わからなかった感情)」を捨てることができるのです。


② 自分の経験を振り返り、感情に名前をつける


「私は何を感じていたのか?」を改めて問い直してみるために、紙に書き出してみたり、信頼できる人に話してみたりすると、
「これは悲しみだったんだ」「これは怒りだったんだ」 と気づくことがあります。

名前をつけることで、その感情は「わからないもの」ではなくなり、手放せる準備が整います。


4. 仏教的に見た「ババ抜き理論」


ここまでは、一般的な「ババ抜き理論」として説明しました。

では、仏教の視点から見てみましょう。
仏教には、「ババ抜き理論」に通じる考え方がいくつもあります。
特に関連が深いのが、以下の4つの教えです。


①「無明(むみょう)」=名前のない感情が苦しみを生む


仏教では、私たちが苦しむ原因のひとつに「無明(むみょう)」があると説かれています。
無明とは、「ものごとの本当の姿が見えていない状態」 のこと。真実を客観的にフラットに見ることができない状態です。

無明にはたくさんの深い意味がありますが、このお話の範囲ではこのように考えられます。

✅ なぜか漠然とした不安を感じるけれど、正体がわからない

✅ 昔の出来事が引っかかっているけれど、なぜなのか説明できない

✅ 自分がなぜ怒っているのか、自分でもよくわからない


こうした「わからない感情」は、心の中にずっと居座り、苦しみを生みます。なぜなら、わからないと脳は答えを探そうと自走し続けるからです。

忘れていて思い出せない事があると、ずっと気になったり、やるべき事がたくさんあるとあれもこれも気に掛かって目の前の案件に集中できなくなることがあります。

パソコンのバックグラウンドでずっと更新作業が進んでいると、動きが遅くなりますよね。
脳も限られたスペックで動いているから、同じような事がおきます。

たくさん溜まってくると、処理できない苦しみ故に動かなくなるとイメージして見てください。

でも、この感情に 「こういうものだったんだ」と気づいた瞬間、苦しみは和らぎ、心が軽くなるのです。

まさに、ババ抜きの「ババ(ジョーカー)」を見つけたときと同じこと。

脳のメモリを苦しみの原因探しや、納得いかなかったことの理由探し、なぜこんな目にあわねばならないのか?と問うことに使わなくてもよくなります。

「わからなかったもの」が、理解できたときに、初めて手放せるのです。


②「縁起(えんぎ)」=感情には必ず原因がある


仏教では、「すべてのものごとは、原因と条件が揃って生じる」と考えます。
これを「縁起(えんぎ)」と言います。
「今の感情には、必ず過去の原因がある」 ということ。


✅ なぜか寂しい気持ちになる → 過去に、満たされなかった経験があるのかもしれない

✅ 理不尽なことをされると異常に怒りが湧く → 以前、同じような場面で傷ついたのかもしれない

「感情の因果関係」を知ることで、初めてその感情をコントロールできるようになります。
ババ抜きで「ペアのカードを見つける」ように、
「この感情の正体はこれだったんだ」と理解することが、手放す第一歩になるのです。


③「執着を手放す」=ババを捨てる


仏教では、「執着を手放すこと」が苦しみから解放される鍵だと説かれています。
でも、執着とは「意識していないところで、しがみついているもの」ですね。
だからこそ、「なぜ自分はこれを手放せないのか?」に気づいてなぜなのかを知ることが大事なのです。


✅ 「私はこの感情に執着していたのかもしれない」

✅ 「もう持っていなくてもいい気持ちかもしれない」

✅ 「過去の感情にこだわらなくても、私は先へ進める」

こうした気づきを得ることで、自然と「ババ(過去の重たい感情)」を手放せるようになります。


5. まとめ


✅ 「無明」=わからないままの感情(ものごとの道理がわからなくて感情が暴走している)が、苦しみを生む

✅ 「縁起」=感情には必ず原因がある

✅ 「執着を手放す」=捉え方が間違っていたと気づくことで、不要な感情を捨てられる


「なんとなくモヤモヤする」「理由はわからないけど苦しい」と感じているなら、

まずは

「この感情に、名前をつけてみること」

から始めてみませんか?


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