逃げる教科書、夜の底でお気楽Blue
新年初の詩の詰め合わせ、贈らせていただきます。今年もよろしくお願いいたします(´▽`*)
最近は、実在していない「辰」が干支に入っている理由が気になっております。
今回も言葉の添え木様のお題で作った詩5編と、オリジナルお題の詩1編をセットにしました。言葉の添え木様、本当にありがとうございます。
Blue
Blueな星に住んでいます
喜びや楽しさ、怒りの総量より
悲しみの水量が勝る星です
それでも blueな星の人でいたい
悲しみを温かい水に変えたい
Blueな星はスノーラインの内側
水は水のままだから
できるはず
あなたの頬の一滴から
逃げる
すたこらさっさ
逃げるのさ
弱虫だって笑われても
弱虫として堂々生きる
すたこらさっさ
逃げていいのさ
威風堂々逃げるのさ
いつかは
あなたも私もガンジー
のんびり歩く秋の猫と
散歩したりするのさ
教科書
則天去私
国語の教科書を
数学の時間にこっそり読んだ
私のこころに去来する
則天去私
天は教科書を与えず
自我は去らず
私たちは惑うばかり
どうすればいい?
冬空に聞いてみても
雲は去るばかり
とりあえず教科書閉じて
くしゃみした
夜の底
夜の底には
濃い暗闇のマットレス
四肢を投げ出して
沈んでしまう午前2時
緊張が緩んで
静かに速度を落としていく
意識
静かに速度を増していく
また懐かしい場所へ
朝の水面へ
夜の底から
気楽
ラグランジュ点で
気楽に浮かぶ
不安の絶えない心の内に
あの日、飲み込んだ双子星
見えますか
星と星、重力の引っ張りだこ
気楽に浮かべる安心地点
ラグランジュ点
ちょっと、来てみませんか
星と星、間に張った
ハンモック
ちょっとだけ、寝転んでみませんか
水泳(オリジナルお題)
広い水塊を泳ぐ泳ぐ
灰色のビルが沈む海底
光だらけの水面
コンクリートの塊も
いつかは小さな小さな粒になる
それは砂浜になって
ビル風を忘れていく
なんとなく知る無常
切なさを削り取るように記す
石に木に紙に黒板にスマホに
9000年前には壁画を描いた
泳いでる私たちの姿を残した
気がする
どこかがゴールならドラマチック
けれど
ゴールがない遠泳でも
それはそれで
広い水塊を泳ぐ泳ぐ
嵐の日にはサンゴに隠れて
粒になって忘れていく
未来の切なさ
貝殻に記して