過誤のselectのきっかけ、斜陽の虹イルカと水切り
こたつと布団の中で暮らしたい…と思う時期になりました。そこで、詩のセットをこたつと布団の中からお届けします。
言葉の添え木様のお題で作った詩5編と、オリジナルお題の詩1編をセットになっております。言葉の添え木様、本当にありがとうございます!
斜陽
お日さまの背の傾きに合わせて
重い影も傾く
春から遠ざかって
足を挫いても
雨にも負けても
優しい羽ばたきだけは
忘れない
忘れない
虹イルカ
小さな小さな水の球
イルカな僕らの傷を包む霧になって
霧を泳げよイルカよ
光線が通りかかれば
七色バームクーヘンが
僕らの頭上に
食べられないから
泳いでしまおう
虹さえ泳ぐよイルカよ
過誤
過誤を押し固めたコンクリート
道路には 正すことの恐ろしさ
降り積もって、動かない
諦めと恐怖 穿つのは
生きる人間の言葉
悔やみ泣く言葉
考え続けること
変わり続けること
今より一寸先を
信じ続けること
Select
正体不明の自我意識
自由意思の幽霊船
それでも迫られる選択
正解不正解スピンして
枯れ葉の裏表
目が回って酩酊ロンド
消え入りそうな声だけをコンパスに
より良い選択を
曖昧に連なる呼吸
確かにするために
切っ掛け
きっかけ、かけっこ
運命と偶然と奇跡が第一走者
きっかけ、かけっこ
何番目の走者なの?
渡すのは本当にバトンなの?
疑問符の雨の中
リレーを続けて
きっかけ、かけっこ
私たち
存在が連鎖してる
あの人が私の
生きる、きっかけ
あなたは誰かの
生きる、きっかけ
水切り(オリジナルお題)
誰の心の底も見えないから
水底を見ようと必死だった
脆いガラスの底の箱を
水中に落として
頭をぎゅうぎゅう
おしくらまんじゅう
覗いて
苦しくなって
早々に脱まんじゅう
なるべく平たい石を集めては
アンダースロー
ひたすらアンダースロー
何回、跳ねるか
勝負よ、勝負
ああ、跳ねた
ああ、跳ねない
気付けば水切り合戦
おしくらまんじゅう
誰の心の底も見えなくて
良かった、良かったと
めでたし、めでたし