桜の睡眠で一時停止
夏なのにタイトルに桜を入れてしまいまして。台風の接近で近所の夏祭りが中止になりそうで残念であります…今年は水風船を思う存分ビヨンビヨンさせようと思っていたのに…!
今回は今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、Hoshiboshi様主催の140字小説コンテストに投稿した作品を1つお届けします。
一時停止
信号で一時停止する時間に
たわいない会話を急いで溶かしてた
あの数分間の一時停止を
繋げて人生全部にできたなら
なんてね
一時停止が怖くなる時間に
不安の岩を急いで溶かしてた
炭酸ガスの寝息を聴きながら
あの一時停止は永遠のダイヤモンド
なんだね
桜
大根をピーラーで剥いて
光に透かしてみると
大根はレースのリボン
人参もピーラーで剥いて
光に透かしてみたら
飛び散る夕焼け
リボンと夕焼けの散乱を重ねたら
それはそれは桜で
甘酢に漬けたら
それはそれは目が覚めるような桜で
睡眠
ネムノキ睡眠
たっぷりの睡眠と涙で
溶けていく悲しみは
細胞で
深く
深く
眠る
ネムノキ睡眠
まったく泣けなくて
忘れてしまった悲しみは
細胞で
鮮やかに
穏やかに
眠ってる
時の流れ
卵の殻の舟に乗って
今日もどんぶらこ、流れます
私たちの時の流れ方が違うこと
考えながら、流れます
海底のさらに下には
万年、億年と生きる私たちがいる
流れながら、考えます
卵の殻の舟に乗って
私の時間はどんぶらこ、どんぶらこ
冬の星々140字小説コンテスト応募作品(テーマ「広」、水原月として投稿)
公園の広場には時々、ピアノが置かれる。寒い冬、特に人が少なくなる曇りの休日、私はこっそり弾きにいく。
蓋を開けて、さぁ今回も英雄ポロネーズの好きな部分だけ。
冷たい鍵盤が私を奮い立たせる。勇ましい英雄に、雷の踊り子になれる束の間。厚い曇の轟音すら、今だけは舞台装置なのだ。
お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。