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逆光の幕開けは電車のドア

最近、中国語の素敵な曲に出会いまして、また勉強してみようかなぁと大昔に使った中国語のテキストを見返しております。清々しいほど基礎からごっそり忘れている自分に絶望する日々…!

今回は今回は言葉の添え木様のお題で作った詩4編と、Hoshiboshi様主催の140字小説コンテストに投稿した作品を1つお届けします。



逆光

真夏の眩しさは
全ての3Dを強調するのに
海は2Dになってしまう夏休み

逆光のギャラリー夏開催
光と影の境目が
一番強く輝いている

真夏の眩しさが
君の輪郭を強調する
海は2Dになったままで



幕開け

幕開けから今の今まで
ひたすら日めくりカレンダー

薄い一枚に圧縮された今日を
切り離してしまった今日を
飛ばされないように
大切に張り付けて

ひたすらビリビリ日めくって
幕開けから幕の内

それから閉幕の向こうで
君という蓄積は必ず残る



ドア

開けたいドアは夏の陽炎かげろう
手の届かない指揮者だから
歩くことを止められない

溜まる時間が足を重くさせる
リット、リット、リット
開けたいドアはテンポに厳しい
アンダンテ、アンダンテ

歩くよ、歩くよ、開けたいドア
夏の扉へ、夏の果てへ



電車

最終電車はとっくに見送り
あとは静かな真夜中が
大きな大きな電車になって
僕らを運んでいくばかり

どの夢に途中下車しよう
いつも終点は朝
憂鬱な人も夢うつつな人も
真夜中電車は包みこむ

大きな大きな電車の揺らぎ
僕らは隣り合って座ってる



春の星々140字小説コンテスト応募作品(テーマ「細」、水原月として投稿)

時間の単位がとうとう変わってしまった。「秒」は「細麺」に、「分」は「太麺」になった。例えば五分三十秒は、五太麺三十細麺となってしまうのだ。
なんてことだ。ため息をつきながら「細麺の茹で時間は二太麺三十細麺」とレシピ帳を書き換える。ラーメン屋にとっては、ややこしすぎる。



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水月suigetu
お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。