リニューアルした平和記念資料館が伝承していくもの
2019年広島平和記念資料館の全面改修が完了していたので2020年早々に見学してきました。
東館に入場してすぐに目をうばわれるのは爆心地を中心とした広島市街の模型にプロジェクションマッピングで原爆が投下され、一瞬にして市街が廃墟となる映像が投影される展示です。
円形の市街地の周りの壁には被爆後の廃墟となった写真が展示してあります。
渡り廊下を渡って本館に移動すると、被爆者が描いた原爆の絵と原爆の惨状を生々しく記録した写真、残された遺品などが複合的に展示されています。
市民が描いた原爆絵は1970年ごろ1人の被爆者が自らの体験を描いた絵をNHK広島に持ち込んだことがきっかけとなり、NHKの呼びかけで2000枚以上の絵が寄せられました。
プロの画家が描いた絵画と違い、稚拙さのあるものもあるが、それだけに体験した人だけにしか描けない、目に焼き付いたその悲惨な光景が表現されていて、胸を打つ展示となっています。
特に原爆で命を奪われた多くの子供達の絵や写真や遺品には目を背けたくなるものもありますが、戦争の悲惨さは後世の子供達にどうしても伝承していかなくてはいけないことです。
原爆の絵の作者である被爆者の多くがもう他界されているかもしれませんし、被爆された経験を家族にも多く語ることはなかったかもしれません。
しかしこのように展示されることでその絵や写真が後世に多くを語ることができたと思います。
本館ギャラリーから外を見ると、原爆ドーム、平和の灯、慰霊碑、平和記念資料館が一直線に並んでいるのがよく分かります。
次に東館に戻って核兵器の危険性や被爆前後の広島の歴史について展示しているほか、パソコンをさわって自由に検索できるコーナーもあります。
平和記念資料館の展示、原爆の絵、写真、遺品のすべてがその記憶を後世に伝えようとする意思を強く持っています。
一人でも多くの人に原爆被害の実情が伝わり、核兵器廃絶の願いが伝承されていって欲しいと思います。
全棟保存が望まれる、広島陸軍被服支廠擁壁の一部も展示してありました。