ありがとう宮沢さん
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病気で最高に体の痛みと疲労で、ぴりぴりしてたとき、NHKのラジオすっぴん!(2020年3月13日放送終了)の月曜、パーソナリティが宮沢章夫さんだった。聴覚過敏で、どんな音でも、つんざくように聞こえて、本当に困っていた。
これでは、生きていけないので、何か、大丈夫な音を探して、そこから慣らしていくことはできないかと、いろいろなラジオの声や音を探した。
その中で、宮沢さんは、聞いていて大丈夫な声と内容だった人の一人である。何人か、大丈夫な番組、パーソナリティを見つけて、徐々に慣らしていって、幸運なことに、日常生活に支障が出るほどの聴覚過敏は、克服することができた。
本当に、脱力するような、ゆるっとしたパーソナリティだった。
先日、65歳で、宮沢さんが亡くなった。早過ぎると思った。
とても、悲しい。寂しい。
心よりご冥福をお祈りします。
ある日の宮沢さんのラジオの聞き書き。大雑把な聞き書きはあったのだが、また、宮沢さんのことを思い出しながら録音を聞いて、ほぼ忠実に書き起こした。
2017年11月19日 放送
NHKラジオすっぴん!
・お便りテーマ 文化祭・学園祭
・天気をきっかけにリスナーといろいろおしゃべりをするコーナー
・お天気メンバー電話を繋いでの会話
静岡で海の生き物の勉強をしているリスナー ミウコさん
パーソナリティの宮沢章夫さん
アンカーの藤井彩子さんのやり取り
以下敬称略
(ジングル)
◆
藤井:(笑いながら)えー、次は、お天気メンバー11時のコーナーです。滅多にない話を強制終了させられるという事態が起きました。
宮沢:なんでしょうね。もう、この話を、こいつにさせてもしょうがない感がスタジオの外にありましたね。
藤井:一生懸命考えたのにねえ。
宮沢:考えたのに。
藤井:酷いよー。
宮沢:考えている姿を……少しは見てもらいたいですねって何だろう!
藤井・宮沢:(笑)
◆
藤井:さあ、お天気メンバー11時。全国のお天気メンバーと繋いで、お天気をきっかけにして、あれこれお話をするというコーナーです。
今日のお天気メンバーは、静岡市の方です。
宮沢:ミウコさーん!
ミウコ:はい!
宮沢:こんにちは!
ミウコ:こんにちは! 宮沢さん、藤井さん、よろしくお願いいたします。
宮沢・藤井:よろしくお願いしまーす。
藤井:ミウコさん、いつも聞いてくださってありがとうございます。
ミウコ:はい。いえ、こちらこそ、楽しんでます。
宮沢:ミウコさん、名前がですね。割とシンプルだったので、今回は間違えずに言えました!
ミウコ:はあ……あはははは
宮沢:ありがとうございます。
ミウコ:いえいえ。
藤井:そんなミウコさんから今日も投稿を頂いております。お便りテーマ、学園祭・文化祭なのですが。お便りの書き出しが、文化祭の思い出といえば「秘密結社なんです」という書き出しなんですね。頂いた内容を読んでもいいのですけれど、せっかくですので、どういう内容なのか説明していただけますか?
ミウコ:えーと秘密結社ですか? えーと、高校の文化祭なんですけども、憧れの先輩とか、憧れのクラスメートの個人情報を、本人に代わって聞き出すという……サービスがありました。
宮沢:なるほど。考えたな!
藤井:誕生日とか、そういうことですよね。好きな食べ物とか。
ミウコ:えーえー、そうです。そういうことですよね。あと聞きたい所は、やっぱり、彼氏がいるのか、彼女がいるのか。
宮沢:そー、そこ!
ミウコ:えーえー! そういうことを……
藤井:文化祭のイベントとして請け負ってくれる人たちがいたっていうことですか?
ミウコ:そうですね。クラス単位で、出し物があって、秘密結社をやるクラスっていうのがあったんです。
宮沢:(笑)
藤井:クラス全員が秘密結社?!
ミウコ:はい。そうです! そうです!
宮沢:なるほど……
ミウコ:それで、ばーっと、みんな散って、いろんなところに探しに行くっていう……
宮沢:なるほど。面白いじゃないですか!
ミウコ:そうですね。面白かったですね。でも、私は、あんまり関係無かったんで。
藤井:関係無くはないでしょ。
宮沢:おいおい!
藤井:秘密結社のご担当だったことは無いんですか?
ミウコ:無いです。はい。
藤井:聞かれたりとか。
ミウコ:は、まったく無いですね。
藤井:わー。すみません! ごめんなさい。すみませんでした。
宮沢:ありがとうございます。
ミウコ:友だちは、その代わり凄く聞かれてましたね。
宮沢:聞かれる人が偏っちゃうんですね。
ミウコ:そうです。もう凄い聞かれてました。毎年毎年。
藤井:なんか、そういうのが人気のバロメーターみたいになるんですね。きっとね。
ミウコ:そうですね。
宮沢:そういうことなんですね。
◆
宮沢:では、静岡市はどんなお天気ですか?
ミウコ:はい、えーと晴れてます。
宮沢:晴れてる。
ミウコ:雲がちょっと出てたんですけど、今はもうぱーっと晴れて、いい感じになってます。
宮沢:少し暖かい。
ミウコ:温かいです。
宮沢:あーそうですか。
ミウコ:20℃くらいだと思います。はい。
宮沢:ミウコさんのうちから見える風景というのは、どんな感じなんですか?
ミウコ:うちからはですね、庭に木漏れ日が射しているような感じですかね。
宮沢:気持ちがいいですね。
ミウコ:そうですね。ちょうどいい気候ですね。風もなく。いいです。
宮沢:あーそうですか。でも、夕方になったりするとも冷えますか? かなり。
ミウコ:そうですね。そんなに冷え込む事はないですけれども。朝晩寒いかなと、一枚着れば大丈夫くらいです。
◆
藤井:ミウコさんは、月曜日を希望されたと伺いました。宮沢さんを選んだのは、何か理由がありますか?
ミウコ:宮沢さんは、最初から聞いてまして。すっぴんは、放送開始ごろから聞いているんですけども。
藤井:あーありがとうございます。
ミウコ:あーいえいえ。宮沢さんが、初めてパーソナリティになられたときに、初めて知ったんですよ。宮沢さんのことを。
宮沢:はい。
ミウコ:凄いドキドキして。もう、なんか話し方とか。話す内容とかも? 凄く冷や冷やしてました。
藤井:(苦笑)
宮沢:あのーですねえ……えーそれはですねえ……取り越し苦労……。
ミウコ:あ、はい。
藤井:いや……違いますよ! ミウコさん、当然の心情だと私も思います。
宮沢:いやいやいや……馬鹿なこと言っちゃいけない。最近でも、ぼくは随分、落ち着いてきたと思うのですが
藤井:(笑)自分で言う……?
宮沢:落ち着いてきたと思いません? あまりこう……
ミウコ:私が慣れたのか、宮沢さんが落ち着いてきたのか……わからないのですけども
宮沢:あー、いやいやいや。うまいこというなコイツ!(笑) うまいこと言うな……その通りかもしれません。
藤井:本当に、あの、なかなか放送メディアで聞かないタイプの話口……
宮沢:ぼくですか?
藤井:ええ。
宮沢:えー?
藤井:唯一無二ですよね。ミウコさんね。
ミウコ:そうですね。
藤井:ほら!
宮沢:え?
ミウコ:だからもう病みつきになってしまうような感じが
藤井:中毒性がある……
宮沢:それ、ちょっと、ぼくは初耳です。
藤井:いや、そんなことないと思うけど。まあいいや……はい。
(中略)
海にまつわる活動。海の生き物を採取して、子どもたちに触れあってもらう活動をしていた。生物の勉強を大学でしていた。海の生き物が好きで、一生海の生き物と関わって、生きていきたいなと、思って、それで、もっともっと、自分も勉強できるようなやり方って、どんなことだろうなと思って……というリスナーさんの話のあと。
宮沢:それは、あのー。そういう事をお考えであれば、僕のラジオを聞くべきじゃないと思います
ミウコ:えええ?
藤井:なんで……? なんで?
宮沢:ちょっと今、藤井さんが物凄い顔をしているんですけど……見たこと……見たことのない……
藤井:そこに何の関係がありますか?
宮沢:いや勉強した方がいいんじゃないかなと思ったんです。
藤井:おあー……せっかく聞いて下さっているのに、聞かなくていいみたいな事やめてもらいます?
宮沢:いやー……あの……これからもドンドン聞いてください……
必ず2回は聞いてください。
ミウコ:(笑)わかりました
藤井:聞き逃しもありますから。もし、可能であれば。すみません。いろいろ言いまして、申し訳ありません。
ミウコ:いえいえ。
宮沢:ありがとうございます。
◆
藤井:海の生き物を子どもたちに触ってということになると、ヒトデとか、カニとか、ヤドカリとか、そういうものなのかなと、イメージするのですが。ミウコさんは、どんなものがお好きなんですか?
ミウコ:あ、海の生き物ですか? 海の生き物……あー、アメフラシとか好きですね
宮沢:アメフラシ……アメフラシ最高ですね!
ミウコ:そうですね。
宮沢:あの、ちょっと触ると何かぶぁーとなるじゃないですか。
ミウコ:出てきますね。
宮沢:あれ最高ですよね。
藤井:なんでしたっけ内蔵とか出すんでしたっけ
ミウコ:それナマコですね。
藤井:すみません……
宮沢:(大笑い)
宮沢:あれは何ですか? あれは、敵から身を守るためということですか?
ミウコ:そうです。そうです。なんか、目くらましみたいな
藤井:煙幕みたいなの張るんでしたっけ
ミウコ:ええ…ええ…
藤井:良かった当たってて。二回目間違うと結構恥ずかしんですよね。
宮沢:あれ、海水浴に行って、よく岩場で出会ってですね。遊んだものでした。
ミウコ:ええ、ええ。
◆
藤井:ちなみにですが宮沢さんを海の生き物に例えると何になりますか?
ミウコ:うーんとですね……身近な海の生き物でいうとナマコだと思います。
宮沢:おい! ちょっと待ってください。
藤井:内蔵出す奴ね。
宮沢:いやーあのー。出したいよ! 内臓は!
ミウコ:内蔵出す所じゃないんですけれども。
宮沢:出したいよ。俺も。
ミウコ:力を抜いて生きている感じが物凄く。
宮沢:全くその通りです。力を出さないように……
ミウコ:ナマコは死なないんです
宮沢:え?
ミウコ:うちで飼っているんですけれども。ヒトデとか、カニとか、ヤドカリとか。ナマコが死んだ所、見たことないです。
藤井:え? それは、どんどん分裂して生き続けるっていうことですか?
ミウコ:そういうことじゃなくって。なんか、あのー
宮沢:長寿ってことですか?
ミウコ:あのー、病気とか怪我とかに物凄く強いんです。
宮沢:なるほど。
ミウコ:どんなことをやっても死なないんじゃないかと思うくらい。生命力が。
宮沢:それはうちの父親がよく言っていた事です。
ミウコ:え?
宮沢:うちの父親は、俺は死なないって。よく言ってて。
宮沢:もう死んでしまいましたが。
藤井:なんだよ……
宮沢:俺は死なない……お袋が、その父親に「死なない人の面倒は誰か見ればいいんだ」。とわけのわからない名言を発した話がありますが…………関係ないです。申し訳ないです。
ミウコ:いえいえいえ。
藤井:ありがとうございます。
宮沢:では藤井さん……藤井さんは?
ミウコ:藤井さんは……身近な海の生き物で言うと、タコですね。
藤井:タコ? なぜタコ?
ミウコ:あのですね。タコは……無脊椎動物の中でも、タコは凄く知的なんですよ。もう、状況を瞬時に判断して、的確に対応するみたいな。そういう所があって。
宮沢:あ、全くその通りです
藤井:物凄い獰猛なイメージがあるんですけど。大丈夫ですかね。
ミウコ:……あ、大丈夫です。優しいんですよ卵を生んだらずっとそれが孵化するまで守ってたりしますし。
宮沢:あ、そう。
藤井:シーデビルとか言われてるんじゃなかったんでしたっけ?
ミウコ:え? そういうのありました?
藤井:なんか……ね。特に西洋では、あんまり。
ミウコ:ああ、そうですね。それは……でも、多分……
宮沢:それは深く知らない人が。
藤井:そうですよね。
宮沢:藤井さんの事もですね。
藤井:深く知ると、とても優しくて。
ミウコ:ええ、ええ……
宮沢:その事については言葉を濁しますけども……
藤井:……このくらいにしておきましょうか。ありがとうございます。
宮沢さんはナマコで私はタコだという事がよくわかりました。
ありがとうございました。
じゃあそろそろミウコさんのリクエスト曲をおかけします。
ミウコ:えーと、BUMP OF CHICKENでStage of the groundでお願いします。
そのあと
Twitterからメッセージが、ぴーとさんから。
ナマコとタコのお二人でお送りする軟らかい番組『すっぴん!』
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