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ワインによる体調不良の科学的解説と最新の分析結果
赤ワインを飲んで、頭痛がしたり、紅潮したりなどの不耐症が話題になってますね。
私も、赤ワインだけでなく、口の周りに発疹がでたり、頭痛がしたり、下痢したりということがあります。すべてのワインではなく、ある種のワインを飲むと、そうなることが多いのです。
ある種のワインというのは、いわゆるナチュラルワインと言われるものが多いのです。でも、ナチュラルワインという響きは素敵だし、皆さん、美味しいっておっしゃる。私もその仲間に入りたいけど、試しに飲むと1週間体調不良になるということもあります。
なぜなんだろう?
原因は何?
そんな思いがあって、ワインの成分分析の事業を立ち上げたいと思ったのが、起業した一つの目的でした。
1. ワインによる体調不良の症状
よく見られる症状として、挙げられるのは下記の症状です。
頭痛
顔面紅潮
発疹
下痢
動悸
2. 生体アミンとは?
近年、原因として挙げられるのが生体アミンです。
自然界に広く存在する窒素を含む化合物:ワイナリーの土壌に窒素成分が多いと、ブドウに窒素が多くなり、アミンが高くなると報告されています。
発酵過程で生成されます。主に乳酸菌により作られますが、酵母も作ることがあります。また、乳酸菌の種類によっても異なります。
主な種類:
ヒスタミン:アレルギー様症状の原因と言われています。チーズ、味噌、醤油などの発酵食品に含まれています。
プトレッシン:ワイン中に多いと報告されています。そのものの毒性は低いものの、ヒスタミンの毒性を強めると言われています。
エタノールアミン:ヒトでは、体内で作られており、尿中に排泄される成分です。高濃度で皮膚などに接触するとアレルギー症状がでることがあります。
チラミン:ワイン中にはあまり検出されないとの報告もあります。
フェニルエチルアミン:高濃度で皮膚に接触すると有害との報告があります。
3. 最新の分析技術と結果
弊社では、ワイン中の以下の成分の実測値を測定することが可能になりました。
ヒスタミン
プトレッシン
エタノールアミン
弊社が実際に測定した結果
ヒスタミン
多くのワインで測定値以下または非常に低い値でした。
ヒスタミン中毒を引き起こすレベルよりはるかに低い。
高く評価されているワインでは、ヒスタミンが多い。
プトレッシン
健康への影響は小さいと言われています。
濃度が高いと、嫌な香りがすると言われています。
一部のワインで高い値でしたが、香りには全く影響を感じませんでした。
エタノールアミン
毒性が認められる濃度よりはるかに低い値でした。
4. なぜワインで問題になりやすいのか?
アルコールの影響で、量が少なくても影響が出てしまう可能性が言われています。
また、エタノールが生体アミンの分解を妨げるから、少量でも症状が出る可能性も指摘されています。生体アミンへの感受性には大きな個人差があることがわかっています。そのため、ヒトを使った研究でも、はっきりとした結論が得られていません。
ボトル差
保存状態の悪いボトルでは、アミンの成分が高くなることが報告されています。
また、ボトルに入れたワインより、樽のまま出されたワインを3杯飲んで体調に影響が出たとの報告は、論文に掲載されていました。
5. 新たな仮説
ヒスタミン含有量が予想より低いことから、他の要因も考慮する必要があります:
他の生体アミンの影響
製造過程や保存条件の影響
個人の体質や体調との相互作用
生体アミン以外の成分
6. 予防と対策
信頼できる製造者のワインを選ぶ
保存状態の良いものを選ぶ
少量から試してみる
体調の良いときに飲む
まとめ
ワインによる不耐症は、従来考えられていたよりも複雑な現象であることが、最新の分析結果から明らかになってきました。ヒスタミンだけでなく、他の生体アミンや製造条件、個人の体質など、多くの要因が関与していると考えられます。
弊社では、ワインの成分の分析を行っています。お気軽にご相談ください。