すべては捉え方だったのか!好転反応とは、読んで字の如しだったという発見。
目の前で起こることは、自分の内面の鏡…。
そんなことよく聞きます。良いことも、凹むことも、自分の内面が創り出したもの。実際そうなのでしょうが、なかなか苦しいことに限って、そうは思えない時もあります。
ネガティブなことに実はポジティブなことが隠れている。
よく失敗は成功のもと、と言いますが、それこそまさに、「失敗」のように見える事柄を、“成長”や“経験”と自分の中に落とし込めるか、上手くいかなかったことへの感情やそれまでの努力に固執して、落ち込み続けたり執着してしまうか。
私たちの脳や感情って、ポジティブなものや前向きなものより、ネガティブだったり憂鬱なものへ焦点を向けやすい気がします。
でも、つい先日、それが単なる「捉え方」ひとつでガラッと変わる事に、ハッと気がついたんです。捉え方次第、なんて当たり前じゃん、って思うでしょうが、まあお付き合いください。
物事は、自分の鏡であれなんであれ、ただただ起こります。
私は名の通り“ねこのお母さん”なんですが、我が子に最近ホメオパシーという自然療法を行なっています。
初耳の方もいるかと思いますが、ごく簡単に言うと、ホメオパシーは同種療法を採用した自然療法の一種で、自己治癒力を発揮させ、本質から治していく、というものです。東洋なら、漢方とか馴染みがあるんじゃないでしょうか。
現代医学では、症状を抑える方法が主流で、根本の問題の解決ではなく、症状の緩和がメインになります。
我が子は、なかなか獣医さんのお世話になることが多く、娘の方はパリに来てから喘息のようなものが出て、一度は長期に渡る投薬と注射で収まったかに見えていました。
ところが、あることがキッカケで(これはまたお話しします)、この咳が再発。
私は、以前もホメオパシーを試していたのですが、自分の未熟さから、レメディー(ホメオパシーのいわゆる薬のようなもの)を与えているのに咳き込む娘を見て耐えられなくなり、現代医学に頼ったのでした。
ホメオパシーでは、レメディーを与えた後に、症状がパタリと消えるわけではありません。むしろ、悪化したようにブワーと色んな症状が出てきます。
ホメオパシーをよく知らないまま試したこともいけなかった。従来の薬のように、症状がすぐおさまるものと勘違いしていたのでした。
今回、再発を機に、今度こそ自然療法で治すことを決意。なぜなら、今まで与えたたくさんの投薬や注射も、結局症状を見た感じ抑えていただけで、娘の中には根本の問題が実はずっと残っていたんだと感じたからです。
パリには一つ、ドイツ人の獣医師で、ホメオパシーに限らず、鍼や整骨、フィトセラピーでの治療をする動物病院があります。
現代は便利ですので、一度診察を受けたら、その後の経過をメールで伝え、反応を見て違うレメディーに切り替えるよう指示ももらえます。
6月下旬にホメオパシーでの治療を始めてから今まで、際立った効果が見られなかった中、先週から与え始めたレメディーのせいか、娘が朝だけ数日連続で嘔吐するようになりました。
一度目こそ毛玉かな、と思いつつも、直感で毛玉での嘔吐ではないような気がしていました。その後3日に渡り、朝だけ同じように嘔吐したので、3回目の嘔吐をしたまだ陽も上がらぬ早朝、不安に駆られながら先生にメールをしました。
私には、ホメオパス(ホメオパシーの先生)の友人がいて、ホメオパシーを摂って合わないとかで嘔吐とかの症状が出るものか質問してみました。すると、
「今回の新しいレメディーがヒットしたと思う」とか言う。
ヒット、って、間違ったレメディーでこんな症状が出た意味か、それか根本の問題にピタリと働きかけるレメディーだった…要は正しいレメディーの意味か尋ねると、
「正しいレメディーだったと思う」との答え。
え?娘は連続で嘔吐して、苦しんでんだけど…。と、私はいぶかしく思った。
ホメオパシーのレメディーは、ピタリと働きかけるものを見つけるのが時に困難であるそう。従来の薬のように、頭痛にはコレ、風邪にはコレ、といった選び方ではない上に、娘ねこは自分で説明が出来ない。
友人曰くこの嘔吐は、「好転反応」だと言うのだ。
私はすぐにはこの言葉の真意が理解できなかった。
気持ちを落ち着かせようと湯船に入りながら、色々グルグル考えていた。
苦しいのに、“好転”反応……?
ホメオパシーの原理をおさらいしてみた。
ホメオパシーは、内に眠っている根本に働きかけ、自己治癒力を発揮させる。。適切なレメディーを摂ると、一度は、場合によっては数ヶ月から数年、症状が一気に体面に出現する。
風邪の時に熱が出るのは、体温を上げて体内に侵入したウイルスを退治するため。下痢が出るのは、悪い菌や毒素を排出するため…。
熱冷ましや風邪薬、下痢止めで止めてはいけないものなのだ。
だから、風邪なら生姜を摂って体温を上げ、お布団に包まらないといけない。
うちの娘ねこは私の子どもなので、友人はまっさらな客観視でこの症状を見ている。レメディーがヒットしたということは、娘ねこに眠る症状が炙り出されていることを意味する。
そうか……!
娘ねこは、長年の投薬などで体内に溜まっている毒素を出そうとしている。好転反応とは、読んで字の如く、好い方へ転がる反応だ。熱や下痢も同様に、好転反応の一種であるのだ。必ずしも、即座にキレイさっぱり症状が消え去る訳ではない。友人が繰り返していた「好転反応」の意味が突然腑に落ちた。
私は、娘ねこが嘔吐するのを見て、不安になり、恐怖心が増大し、すぐさま取り除きたいと思っていた。それは、私自身がホメオパシーを真から理解しておらず、また、自己治癒力で頑張る娘への信頼が欠けていて、自分の安心のためにワタワしていただけだったのだ。
これは、以前ホメオパシーに挫折して、現代医学に逃げた時と同じだった。
その事に気がついた。
嘔吐は確かに辛そうだし、可哀想だ。だけど、これが、“好い方向へ向かっている兆し”、まさしく好転反応なのだと捉えれば、母である私がオロオロすることはなく、きちんとした姿勢で娘を見守る事が出来る。
好転反応とは、まさに逆転の発想だったのだ。
ご丁寧に「好転」とあるのに、ネガティブな方向へ意識を向けていた。
人にしろ、動物にしろ、身体に起こる症状や反応には、必ず意味がある。風邪は煩わしいものと認識してしまうけれど、身体からのきちんとしたメッセージなのだ。
生物には自己治癒力がある。だからこそ、生き残ってきた。それなのに、たくさんの薬を服用してきたことで、身体からのメッセージも、自分の直感も、間違った方向で解釈して、処理してしまっている。
あまり嘔吐が続いても脱水症状になってしまうので、別のレメディーに切り替えながら、娘のホメオパシー治療は続けます。動物たちこそ飼い主である私の鏡なので、不安であればそれが伝わってしまう。それを避けたいと、幾度も注意してきたつもりだったけれど、今回もワタワタしてまだまだ未熟なことに気付いたものの、治療に対して新しい姿勢で一緒に取り組めそうな気付きもあった。
不安や恐怖心をなんとかしたい、というのは、娘の身体ではなく、ベクトルが自分自身に向いている上に、娘の体調をコントロールしたいだけなのが分かった。
咳や痰が出る、鼻水が出る、下痢や熱、アレルギーが出る。これらはきちんとした身体からのメッセージ。自分の免疫や細胞が、一生懸命戦っているしるしだ。
今日もたくさん愛らしい顔を見せてくれている子どもねこ。
きちんとした食事や環境は言うまでもなく当たり前で、それ以外で私が出来る最大のことは、きちんと寄り添うことだと知った。この逆転の発想は、私にとってひらめきのような気づきであった。