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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 1月30日~2月5日

はじめに

こんにちは。長尾早苗です。今週は定期検診やら趣味のラジオが充実していたり。夜更かしの機会が多くあります。新たに締め切りも来たのでがんばります!

1月30日

今週のカレー。
昨日寝落ちして最後まで聞けなかったラジオを聞きながら。

今日は朝から眠たい一日。
今夜こそは夜更かしして解散コンサートを聞きに行きたい!
ツイキャスコンサートになります。7日後に解散するイケカテ( #解カテ  )、がんばれ!!
朝起きてから和合亮一さん・平川綾真智さん・ikomaさん・大崎清夏さんの「礫の楽音」のアーカイブ(生放送も聞いていたけれど)友人の純文学朗読YouTubeチャンネル(横光利一ほんとうによかった)、アニメの勉強、能、解散コンサート前日の詩の友人たちの「7日後に解散するイケカテ」の配信、小川洋子さんの読書ラジオ、村上RADIOとたいへん忙しい耳です。

締め切りの原稿は少し寝かせて、わたしも夜に向けて眠ることに。
夜中は料理をしながら友人のコンサートを聞いていました。
同時視聴100人、150人突破、解散おめでとう~!

やきそば2食分。冷凍します。
鱈の中華炒め。
ごま油と中華だしで炒めます。


1月31日

睡眠不足気味だけれど、いつもの時間にお腹はすきます。
もう1つ、締め切り。
簡単な連絡事項を済ませてラジオを聞きながら締め切りを2つ練る。
海外文学がわたしの中でアツいです。今日は現代海外文学紹介ラジオ・英会話。
オーシャン・ヴオン/著 木原善彦/訳『地上で僕らはつかの間きらめく』新潮社(こちらは12月に予約済み)
ニューヨーク・タイムズ・マガジン/編 藤井光/ほか訳『デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語』河出書房新社を予約。
アイドルグループが解散してしまったので少し静かな朝でした。
仕事はなんとなく、今まで合評してきたことが成果を出し始めたような。
午前に活動的な日、午後はゆっくり休むの日でした。新作一編。

1月の振り返りとしては、個人的な事も仕事のこともがんばりすぎるくらいがんばってしまって、読者のみなさま、家族や詩友、文学に親しむ友達や恩師、先輩方に応援してもらいつつ、休む日というものを作れずにいました。
これからはちょこちょこオフを入れたいと思います。
1月もお疲れさまです。よく働きました。
在宅フリーランスになってから初めての原稿料のお給料日でした。

2月1日

新月。ゆっくり休みたいところだけど、食材が来たり移動図書館だからがんばらないと。新月と月はじめが重なっていたため、がんばろうと思えました。
睡眠は本当に大事で、締め切り2つも作品群推敲も原稿も進みました。新作一編。川本直『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』河出書房新社予約。

ネットスーパーからの食材。
ブロッコリーとベーコンのコンソメスープ。
ニラもやし炒め!
カットしてあったので楽ちん。
節分に向けて豚汁。


・遊歩新夢『星になりたかった君と』実業之日本社

とてもピュアな恋愛小説でした。
祖父から天文台を受け継いだ秀星、そして心臓に疾患のある那沙。
二人は意図しない出会いで、だんだんと惹かれあっていきます。
星という二人をつないだもの、十代から二十代にかけての若々しく瑞々しい切なさや儚さ。しかし、彼らには「新星」を二人でみつけ、いつか結婚しようと誓いあいます。
ロマンティックで、しかし二人を待ち受ける現実はとても厳しいものでした。天文台の存続、那沙の心臓外科手術。
現実を見つつ、それでも夢を追いかけた若い二人の物語です。

・町屋良平『坂下あたると、しじょうの宇宙』集英社

しじょう。詩情、至上、紙上。
読んでいてゾクゾクしました。わたしの尊敬している詩の先輩や詩の友人の詩がたくさん引用されていて……。こういうふうに、詩という文藝を現代エンタメ青春小説にしてくれたこと、本当に感謝です。
三角みづ紀さん、最果タヒさん、文月悠光さん、和合大地さん。
みんな、この詩壇を駆け抜けている天才です。
この小説の『現代詩篇』は多分『現代詩手帖』でしょう。
物語のあらすじを言ってしまうと、『現代詩篇』に投稿を続けている高校生の佐藤毅と坂下あたるの友情、そしてガールフレンドをめぐる物語です。
やっぱり現代的だなあと思ったのが、αと呼ばれるAIが小説を書いてしまうところなんですね。そのサイトにあたるも寄稿していました。
書きたいという気持ち、書けなくなってしまうことの怖さ、選外佳作のうれしさ。そういったものを体験しているからこそゾクゾクきた小説でした。

・ジュリア・フィリップス著 井上里訳『消失の惑星(ほし)』早川書房

今取り扱うのにすごく繊細なテーマです。
ロシアのカムチャッカ半島を舞台に、分断の起こる中で喪失を抱えた12人の女性達。
作者のジュリア自身がロシアに興味を持っていたこと、そして研究を続けていたことが背景となりますが、なんていえばいいのか、すごく余韻の残る作品です。
経済的にも精神的にも喪失を抱えてしまった女性、老いも若きも、が連なることにより、そこでもがく姿。
そして、カムチャッカ半島の日常の美しさ。
日常が何かのかたちで壊されてしまう儚さや切なさをひしひしと感じました。

・群ようこ『おたがいさま れんげ荘物語』角川春樹事務所

すごく群ようこさんの文体を欲する時があるんですよね。
なんというか、安定していてほっとするというか……。
この物語には「事件」は起こりません。ただただひたすらのほほんとしています。
収入がほとんどないキョウコという女性がひとり暮らす「れんげ荘」には様々な人間模様があり、それでもキョウコ自身はしっかりと自分の足で立って、日常を淡々と生きている。
日常に何か刺激を求めてしまうのがわたしたちの性だと思うんですが、本当はそうでもないんですよね。
刺激はなくたって明日はやってくるし、身の回りでは日々世界や社会はまわっているんです。
春も近づいてきました。鼻歌をうたうように楽しんでほしい小説です。

・エリザベス・ストラウト著 小川高義訳『オリーヴ・キタリッジ、ふたたび』早川書房

『オリーヴ・キタリッジの生活』の続編になります。
わたしは今月ひとつ齢を重ねるのですが、そういう時に読めてよかったと心から思いました。
齢を重ねていくことは決して悪いことではなく、むしろすべてのしがらみからだんだん解きほぐされていって自由になっていくことのように思います。
このオリーヴという女性はおばあちゃんと呼ばれるほどの年齢ですが、ある時には恋し、ある時に怒り、ある時に滋味深いアドバイスをし、晩年を生きていきます。
人間は生きていると本当に色々なことがあって、落ち着かないことのほうが多いかもしれません。
しかし、たくさん読書をして、たくさんの世界に自ら踏み込み、たくさんの経験を重ねていくと、いい意味で世界のうつくしさもわかるくらいに安定し、穏やかになっていくものなんです。
わたしは、それを体現できるとは思っていませんでしたが、誕生月を一年ずつ迎えるたびに、「あの時はこうだったけど今はこうだな」と体力も若さも時間もあり余っていたころを懐かしく思い出したりします。
きっと、たくさんの喪失とたくさんのご縁、社会とのつながり、そして本当によい恋愛をしたうえで、穏やかな生活を過ごしているからでしょう。
オリーヴという女性は主人公になったり脇役になっているので、どこから読んでも面白い短編です。

2月2日

定期検診その1。今日は朝から夕方までオフです。昨日頑張った甲斐があった!
せっかくの急用の外出なので、バレンタインのチョコレートを買いに行きました。(オンラインショップでは品切れになっていた)

黙食で一人レストランで昼食など。カフェ飯久々です。

お邪魔した猿Cafeさん。
バレンタインももうすぐ!チョコバナナシェイク。
もろもろ落ち着きました、温泉卵とタコライス!

行くまでに色々あったんだけれども、疲れ果てて帰ってきたけれども、よいオフでした。検診場所がいきなり長期臨時休診になってしまって、他をあたって異常なしです。一か月に二回は検診に行かないといけないのだけど、わたしが悪いわけではなく、昔かかったことのあることが原因なので仕方ない……。
読書は早朝に済ませて、あとはぐっすり眠りました。
(ラジオをやりました……!)


・三浦しをん『きみはポラリス』新潮社

恋愛って経験してみないとわからないことが多くて……。
わたしは昔の恋人にも、今の夫にもたくさんの「異文化」を経験させていただきました。
たぶんそれはわたしが女子校に10年も通っていたせいで、恋に恋することしかできなかったんですね。
わたしは『花より男子』の牧野つくしになりたかったし、『美男(イケメン)ですね』のボーカルになりたかったです。うわー恥ずかしい。
今では他の男性に慣れてしまいましたが、だからこそ大学のサークルで出会う男の子なんて本当に最初はバーチャルでしかなかったんですよ。
それでも、フィクションでない恋愛を楽しませてもらったおかげで今があるので、たいへんうれしいです。
三浦しをんさんがこの短編小説集で描く恋愛は本当に多種多様で、これだけ書けるってすごいと思ってしまいました。
結婚している夫婦の物語、同性同士の恋愛など、確かにバイブルといわれればバイブルかもなあと思ってしまいます。

・マルク・デュガン著 中島さおり訳『透明性』早川書房

うーん、警鐘ですねえ。
舞台は2068年です。すべてを監視下に置くIT企業が一大勢力と化し、人々は「自分で考えることを忘れて」しまいます。
そんな中で拝金主義者の国家が登場し、企業は個人体に機械を入れることで不老不死の新人類を作ることを決意します。
なんだか今の世の中をすごく反映していて、ある意味ディストピア文学といってもよいかもしれませんが……。
今は三週間後にどうなっているのかすらわからない時世になっています。
この瞬間瞬間に書けることももちろん違いますし、政治情勢も移り変わっていきます。
現代を生きるわたしたちが遺せるものとして、何をすればいいのか模索しながら書いている衝撃的な小説でした。

・エリザベス・ストラウト著 小川高義訳『私の名前はルーシー・バートン』早川書房

ルーシー・バートンという女性が、九週間の入院の最中に疎遠だった母と話すことから始まり、ルーシーのその後から振り返って書かれた小説です。
色々な要素があるのですが、日常生活を淡々とおくることでふとした「入院」という事件が起こり、そこで疎遠だった母との関係が濃くなっていくストーリーです。
ルーシー自体は「私」という一人称で語られることもありますが、ルーシーが登場人物となっていたりします。
では、語り手は誰なのか。
英語では一人称はすべて「I」なので、そこが翻訳の難しい所だと思うのですが……。
この作品では成功しているように思いました。

・ヴァネッサ・ディフェンバー著 金原瑞人・西田佳子訳『花言葉をさがして』ポプラ社

孤児のヴィクトリアという女性が主人公になります。
彼女は里親のもとを転々とし、愛することや愛されることを知らないで育ちました。
しかし、里親の中で花を育てる家族と出会い、そこで初めて愛情と呼べる愛情を注がれ、驚いて立ち止まってしまうヴィクトリア。
しかし、彼女自身が花に囲まれているときは素直になれます。
花屋でフラワーアレンジメントなどの仕事をはじめたヴィクトリアは、小さなころから作っていた「花言葉辞典」を生きるよすがにしていました。
そんな中で彼氏ができるのですが、どう愛していいのかわからない。
それでも彼はヴィクトリアに全身の愛をささげます。
読みどころはヴィクトリアが愛を知ったところですね。
読み終わった後少し立ち止まる小説です。

・ミランダ・ジュライ著 岸本佐知子訳『いちばんここに似合う人』新潮社

岸本佐知子さんの翻訳が好きで読みました。
散文詩的な小説となっています。
出てくる登場人物はどこか抗いがたい奇妙なものを持っているのですが
(それは彼・彼女たちの環境であったり、空想であったり)
そういう意味も含めて、詩的言語によって書かれている小説といっても過言ではないと思います。
ひとつひとつの短編につながりはほとんどないのですが、
映画監督・アーティストとして活躍するミランダ・ジュライの散文詩は心地よかったです。

2月3日

昨日は燃え尽きていました……一気に2日で10冊読むから……
でも、渋谷のポエラジも楽しかったです。
リスナーとして解カテの解散は大きくて、ロスですね……。あんなににぎやかな日々はなかったなあ。
平川綾真智さんもikomaさんも詩の友達ですが、本当にみなさんがんばっていてよかったです。(解カテロスなんてことばを作ってしまったのわたしかなあと思い、ちょっと罪悪感……)
リスナー同士でコミュニティができたり、面白かったです。
声優さんやアイドルを推しているとこんな気持ちになるのかなあ。毎日元気をくれますね。
今日はPodcast日和。よく眠れたので朝に集中して仕事を片付け、新作一編。

来週のカレー。
買い出しに行ってくれた相方さんありがとう!
富士宮焼きそばだそうです。
おいしそう。


2月4日

小松菜のみそしる。
いかのほうれん草とチーズのオリーブオイル炒め。
塩サバのごま油炒め。

昨日は燃え尽きて眠っていたので、深夜に起きて作業していました。
好きなラジオを聴くなど。新作一編。
解カテの音源が期限付きでダウンロードできるとのこと!!
うれしい~
双子のライオン堂さんの『しししし4』でご一緒した宮崎智之さんと、わたしの恩師の一人である谷知子先生がYoutubeで一緒に活動しているご縁があるスケザネさんのスペースラジオが今週から始まりました!!(#宮スケ今週本 というタグだそうです、楽しみ!)


昨日は節分だったので福豆をコーヒータイムに食べ、夕食は恵方巻と豚汁でした。豚汁の素、本当に助かります……。
いつもは体がつらくなってしまう午後、勇気を出してiPhoneでプレイリストを作り、オフラインで聞けるようにしました。作業がはかどる!
ミスチル、バンプ、BTS、チャットモンチー、シシャモ、Superfly,秦基博など。
今日は遠藤周作『侍』新潮文庫高原英理『ゴシックハート』講談社高原英理『日々のきのこ』河出書房新社を予約しました。高原英理さんの本を紹介してくれた宮崎智之さん、ありがとうございます! 予約上限が最高に達しているため、他にも予約したい本が様々……

2月5日

鶏むね肉としめじのミルクコンソメバジル煮込み。
豚の生姜照り焼き。
たらとナスの中華炒め。

3週間後にしめきりひとつ、4週間後にしめきりひとつ、3月には作品群を出版社に持っていきたいので結構大変です……。
ここのところ、それでがんばっていました。
2か月前に初稿は出来上がっていたので、推敲にすっごく時間を使いました。
美味しい料理と音楽、あたたかな靴下や共に暮らす人(相方さんともいう)のサポートでなんとかやっています。
今日からネットスーパーを違うものに変えてどきわく。
あとは配送を待つだけ。献立を立てる。
午後にしめきりの原稿をがんばり、なんとか寝かせられる状態になりました。
応援してくれている合評運営のみなさん、家族、友達、本当に、本当にありがとう!

遠藤周作『侍』新潮文庫高原英理『ゴシックハート』講談社、回送中!

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長尾早苗
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