2008年5月28日天使が我が家にやってきた
吾輩は主婦である。
名前はマダナイ、にしようかと考えたこともあるが、夏目漱石にあやかって#猫目宝石とした。
吾輩は猫と暮らしている。
鳥やうさぎ、犬とも暮らしたことがある。
蜘蛛にも話しかける。
つまりは、動物好きである。
しかし、吾輩を"猫バカ"にした猫がいる。いや、いた。
この物語は「彼女」を中心としてすすめていくことになろう。吾輩は猫と暮らしている—
ナゼか猫とは縁がありまして、これまでに何度か猫と暮らしてきたのですが、ある猫と暮らすようになって私の中の「猫観」が変わりました。
2008年5月28日、この日にその猫はやってきました。
やってきた、というと勝手に歩いてきたかのようですね、違います。
この日のひと月ほど前、我が家の先住猫が旅立ちました。
その半年前には犬も旅立っていたので、私は完全なペットロス状態にありました。
そんなある日、知人からある新聞記事のコピーがFAXで送信されてきました。
記事の内容は、とあるところに16匹もの猫が捨てられていたのを保護したというもので、たくさんの子猫が写った写真が大きく載せてありました。
送り主は
「(猫を)もらいにいったら?」
と言うのです。
その方なりの慰めなんだろうと受け取りましたが、当時気持ちが完全に沈んでいた私にとっては、無神経な申し出とすら感じました。
それでも、たまたまその時ちょうど帰宅した我が子にその話をしてみると
「捨てるなんて許せない。貰いに行く」
と立ち上がったので、私は軽く驚きました。
普段そのような強い発言をするような我が子ではなく、どちらかというとのんびり屋さん、言葉を発すると同時に立ち上がるなんていう姿はそれまで見たことがなかったので。
そんな我が子の気持ちを汲んで、猫を引き取るかもしれないと夫に連絡したものの、気が進まないまま新聞記事に載っていた住所へ向かいました。
到着すると、幾人かの引き取り手候補と思しき方々の姿がありました。
通された部屋には、かなりの数の子猫がみうみうと足元に広がっていて、その光景は強いにおいとともに今でも強烈に覚えております。
我が子は子猫を気遣い、棒立ちのままどの猫を引き取るかというようなことを私に聞いてきたので、
「あなたが貰うと言ったのだから、あなたが選べばいい」
というような返事をしたと思います。
すると、子供の足をよじ登ろうとしている一匹の子猫がいました。
よちよちとたどたどしい歩き方で足元をうろうろ、何度もよじ登ろうとしてとても人なつこい。
そのうち、
「この子にする」
と言ったのでその子猫をよくよく見ると、痩せこけて大きな耳が目立ち、細い手足が虫を連想させ、お世辞にも可愛いと言えないご面相。
思わず、
「もっとかわいい猫いるのに」
と言ってしまいました。
ところがこの「虫」さんこそが、天使だったのです。