猫の恩返し-ボブの場合-
No Music No Life
なんて言葉があるほど、人間は音楽が大好きである。
聞くだけでなく、自分で演奏する人間もたくさんおる。
ということで今回は世界的に知名度も高く、本や映画にもなったロンドンのストリートミュージシャンのジェームズさんと、共に暮らす猫の「ボブ」についての話でござる。
ふわっと聞いてくれればよい。
ホームレスと猫
場所はロンドンの路上。
ジェームズさんは道端でギターを弾きながら生活していた。
ミュージシャンに憧れてロンドンに来たジャエームズさんであったが、なかなか芽が出ない。
1本のギターとその日暮らしをしていたジェームズさんだったが、ある時知り合いから勧められたドラッグに手を出してしまい、薬物依存症になってしまったそうな。
夢を叶えるために訪れたロンドンで、ジェームズさんは夢とは真逆の生活をしておった。
そんなある日、ジェームズさんはいつものように寝床にしている住宅の階段に向かった。するとそこには大けがをした猫がいたのだ。
ジャームズとボブ
苦しそうにしている猫を見るや、ジェームズさんはすぐにイギリスの動物虐待防止協会へ。そこで猫を治療してもらうことにしたそうな。
そしてジェームズさんは全財産の$28(3200円くらい)をすべて治療費として協会へ渡した。
3週間が経った頃には猫はすっかり元気を取り戻した。
しかし、新たな問題も発生していた。
猫の引き取り手の問題だ。
その日暮らしのジェームズさんに、猫を飼うほどのお金はなかった。
彼は猫を飼うことを諦めようとしておった。
そんなジェームズさんの気持ちを知ってか知らずか、猫はジェームズさんの後をついて歩く。
バスに乗っても電車に乗っても、ヒョイと飛び乗りジェームズさんの隣に座るほど。
そしてジェームズさんは覚悟を決めてこの猫を飼うことに決めたのだ。
「ボブ」と名付けられたその猫は、寝る時も、移動する時も、路上で演奏する時も、ずっと一緒であった。
写真はdailymail.co.ukよりお借りしました。
ボブの恩返し
いつものようにジェームズさんは路上に立ってギターを持ち、弾き語りをはじめた。
すると彼はあることに気付く。
立ち止まって音楽を聞いてくれる人が増えはじめたのだ。
客足は連日増え続け、猫を連れたストリートミュージシャンはあっという間にロンドン中の噂のマトになったそうな。
噂は止まることを知らず、ジェームズさんとボブを見るために遠方から訪れる人間まで現れるほど。
ボブの人なつっこい性格がさらに人気を高め、多くの人に元気を与えたのだった。
写真はグレイプよりお借りしました。
災難
路上ライブでの売り上げも増えてきたある日、ジェームズさんの前に警察が現れた。
脅迫の疑いで路上演奏を禁止されてしまったのだ。
身に覚えがないジェームズさんが混乱したのも当然、人気者になったジェームズさんを妬んだあるホームレスが警察に「ジェームズさんが演奏を聞きに来たお客さんにお金を払えと強要していた」とデマを流したのだ。
路上演奏を禁止されたジェームズさんはお金に困ってしまう。ジェームズさんはなんとかしてボブと一緒に暮らすため、ホームレスの社会復帰用雑誌の販売員の仕事をはじめた。
写真はグレイプよりお借りしました。
A Street Cat Named Bob(ボブという名のストリート・キャット)
そんな生活をしているジェームズさんとボブの元にメアリーという人間が現れた。
なにやらその人間はとある出版社に勤務する女性。
彼らの噂を聞きつけたメアリーさんは2人の軌跡を本にしてみないかと話してきた。
2人はもちろん快諾、その本は発売と同時にイギリス中で大ヒット!いろいろな言語に翻訳されついには世界中で販売された。
本のタイトルは「A Street Cat Named Bob(ボブという名のストリート・キャット)」
その後
路上演奏が禁止されておったジェームズさんだが、その後命令は取り消され、ミュージシャンとしての生活に戻ることができた。
ジェームズさんとボブのストリートライブはいつものように大盛況、本もシリーズ合計1000万部をこえる大ヒット。
時の人となったジェームズさん、収入もかなり上昇した。
しかし、彼らの生活はそれほど大きくは変化しなかった。
2人で暮らすアパートとボブの健康保険、家族への仕送り以外はすべて動物救済基金に寄付したのだ。
おごらず、大袈裟な生活をするわけでもなく、彼はただ、大好きなボブと幸せに暮らすことだけを選んだ。
「帰ることができる家と、普通の生活さえあれば僕はそれでいいんだ。もちろん、ボブと一緒にね。」
2016年にはイギリスで映画化された。
そんな彼らは今も変わらずロンドンの路上で演奏をしておる。
今回のよもやま話はこれでおしまい。
抜粋して簡単にお話したので、もっと詳しく知りたい場合は本か映画をぜひ観てほしいでござるよ。
吾輩のおすすめは、インターネットのニュースサイトなどで彼らの背景などを調べてから映画を観るというのが良いかなーと思う。
「猫の人気にあやかっただけじゃない?」という声も当時けっこうあったようだが、吾輩はそうは思わぬ。このコンビだからこそ成し遂げられたこと、乗り越えられたことも多いと思う。
また、素晴らしい人間はたくさんおる。それが日の目を浴びるか否かの違いなだけであって、人気者になることが美徳ということではないと思う。彼らはそれを知っておるようだ。
本当に素晴らしいことが自分のすぐそばで起きた時、それを見逃さないよう審美眼を養いながら生きていきたいものでござるな。
吾輩も楽器を弾けるように練習してみようかの...
最後まで読んでくれてありがとう。
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