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映画館の思い出
初めて映画館で観た映画は、「耳をすませば」だったようだ。というのも、幼かった私は途中で寝てしまったらしく、記憶が全くない。
ただ、映画が始まる前後のことは、よく覚えている。小さなスクリーンで、1番前の左端に母と兄と座った。当時は子供用の上底の椅子などなかったので、小さな私が前の席で見えないことがないように、と配慮してくれたのだろう。
夏だった。スカートを履いていて、母に「寒いかもしれないから」とファイラーのタオルハンカチを膝にかけてもらった。
そして、映画の宣伝などが始まる。大きな音にわくわくした...が、そこから記憶が抜け落ちて、次の記憶は映画が終わってから席を立つときに、母に「ちょっと難しかったね」と言われた。
それが、私の初めての映画館の記憶だ。映画自体は覚えていないが、そんな母との柔らかい思い出がある。
映画館には思い出が多い。
この間、金曜ロードショーで「タイタニック」をやっていたが、そういえばこの映画は立見でみたのだ。
今では信じられないが、中学生くらいまで、近所の映画館は立見制度があった。
予約もなければ、席も早いもの順、満席であれば立見になる。
なので、人気映画を見るときなどは、一日がかりだった。
朝、始発で並んでチケットをとり、今度は席を確保するために、非常階段のところに並ぶのだ。
でも、並んでいる時間も結構楽しくて、おしゃべりしたり、パンフレットを読んだり、そんな時間も含めて、「映画を観に行く」という行為だった。
ちなみに立見だったタイタニックは、通路の階段のところで座ってみていたが、お尻が痛かった。
そんな、映画を見るのに一日がかりだった時代もあったが、今度はふらっと行って映画をみる時代がわたしにやってくる。
中学3年ころだと思う。
それまでは、隣町の映画館にいっていたのだが、自分の住んでいる町に映画館ができたのだ。
ところが、なぜかここの映画館が常にガラガラなのだ。(話題作などは、混むこともあるが)
隣町は繁華街だが、住んでいるところはベッドタウンのようなところだからなのか...或いは、ちょっと映画館の人気が落ち込んだ時期だったようにも記憶しているが...とにかく客がいない。
その結果、時間があいたら、ふらっと映画館に行って、時間的に観れる映画をみる、ということをするようになった。
その時期がとても長く、社会人になってから、友人と新宿で映画をみることになって、「予約する」と言われてびっくりした思い出がある。
その後は、予約していくのが常になったが、あの「ふらっと行って観れる映画を観る」というのは、思いがけない映画との出会いもあったりしたので、予め観る映画が決まっているというのは、どうにも味気ない気がしてしまう。
映画館的には、そんなに空いているのも困るのだろうが。