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猫を診療するための準備は子供とは大きく違った/猫は匂いのコントロール/子供は説明とごっこ遊び//次は猫では慢性腎臓病の原因になるという膀胱炎の話。

共通点があっても、猫の診療をスムーズにするための実際のアプローチは小児科と大きく違う/猫では匂いのコントロールが超大切/方法はいろいろ/小児では説明とごっこ遊び。
次は猫と人の膀胱炎の話/「特発性膀胱炎」は猫の慢性腎臓病の原因になる?/「特発性膀胱炎」という病名は人には使わない。


はじめに。



先ず、この記事を書こうと思ったきっかけです。

前回の「猫の慢性腎臓病の治療薬には私が人に処方すする薬と同成分の薬もあった!!」という記事を書いていた時に猫は思った通りに薬を飲まないだろうなと思いました。

その時に、高校の同級生だった小児科医のクリニックに子供を連れて行った時のことを思い出しました。

先生がおもちゃを動かしたら子供はそちらに気をとられました。その隙に子供を診察したを見て、小児科には独特の技術があるのだなと感心したのでした。

そして、こちらの思い通りにならない猫と子どもには、アプローチに関する共通の考え方があるはずだと思ったのです。

腎臓外科・泌尿器科領域にも手術が必要な先天的な小児疾患は多く、勤務医時代は子供の手術も行っていました。

その時はご両親と子供さん本人に、ちゃんと分かりやすく説明することをこころがけていました。

いざ記事を書き始めるとどちらも本当の専門領域ではないことに気がつきました。でも、せっかくなのでちゃんと調べて皆さんの役に立つ記事にしたいと思います。


「大人の猫」と同程度の知能の「人間の2~3歳児」を比べてみる。


調べてみると、猫への診療アプローチと小児科的診療アプローチを比べた記事が少ないようなので、比べながら考えて行きたいと思います。

「大人の猫」は「人間の2~3歳児」ぐらいの知能程度とのことなので、その両者を比べながら考えることにしました。

総合力では同じ程度といっても、それぞれに得意・不得意があるはずです。

理系と文系の受験生では総合点は同じでも、各教科ごとの得点は違うというイメージです。

「プレパレーション/診療前準備」に絞ります。


猫の診察アプローチと小児科的診察アプローチの前提となる、共通な部分を考えて見ます。

当たり前ですが、まず日ごろからの信頼関係、安心できる環境、飼い主の優しく一貫性のある行動、遊びを通じてのコミュニケーションなどが大切です。

今回、獣医療と小児科医療の両方で「プレパレーション/preparation/診療前準備」と「ディストラクション/distruction/気をそらすこと」という言葉に出会いました。

同級生の小児科医は「ディストラクション/気をそらす」を使ったのだと思うのですが「プレパレーション/診療前準備」の方がより本質的だと思うのでそれに絞ります。

猫の「診療前準備/プレパレーション」では「匂い」が大切。


猫は縄張り意識が強く、環境の変化に敏感であるとのことです。

猫の外界からの情報収集では「聴覚/音」が一番割合が多く、次が「臭覚/匂い」とのことです。

診療で移動する時に一番コントロールしやすいのが「臭覚/匂い」なので、そのコントロールが大切です。

猫は臭覚も非常に鋭く、自分の匂いがついている場所やものに安心するとのことです。

さらに、移動そのものが苦手と考えられるため、キャリーバッグを日常空間において、そのキャリーバッグに自分の匂いが付くと、多少なりとも安心するので通院のための移動がスムーズにいくとのことです。

当然、慣れた匂いのするタオルやブランケットを入れるとなお良いとのことです。

さらに、移動時から猫のフェロモン製剤を使うことも猫を落ち着かせるとのことです。

飼い主の匂いがついたものは一般的には良いが、分離不安を起こすと逆効果なので、観察が必要とのことです。

「聴覚/音」については、猫が安心する猫用の音楽もあるとのことですが、私はまだ聞いたことがありません。

さらに、移動でコントロールが難しい、「視覚情報」はなるべくタオルや毛布で遮断するとのことです。

2から3才児の「診療前準備/プレパレーション」では「説明」と「ごっこ遊び」が有効。


それに対して、人間は社会的な動物であり、2~3才児は言語能力や抽象概念の理解が発達途中です。

社会的つながりを求める傾向があり、親や親代わりの人との密接な関係が発達において重要とのことです。

その年令でも分かる言葉で説明し、さらに絵本やぬいぐるみを利用したごっこ遊びで医療行為の流れを理解させ、心理的に備えさせることが大切とのことです。

次の展開を予測できるようにして、さらに自分で選択させることにより自主性を重んじることが大切なのだ考えます。

人間の子供は成長すると、さらに言語能力や抽象概念の理解力や社会性が発達するので、さらにそのことが重要になってくると思います。

やはり、最終的には人間は社会的で言語的な動物で、猫は単独型の狩猟動物として進化してきたということに行き着くのだと思います。

おまけ


今日の反省を踏まえて、今度は自分の本当の専門領域の話にします。

腎臓外科・泌尿器科的疾患についてお話したいと思います。

人では慢性腎臓病の原因になりにくいが、猫では慢性腎臓病の原因になるということです。

猫で良く聞く「特発性膀胱炎」は、私は人間には付けたことがありません。

猫と人の「膀胱炎」の話から開始します。


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