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〔ショートショート〕僕の選択

ヨシが僕の机の上にドン、と鞄を置く。
「今日もヨロシク!」
続いてタロウ、トシ、フミオも真似をする。
「この鞄、高いんだそ」
「晩メシ奢ってやるんだから、これぐらい当たり前だよな」
「俺らの友情の重さ、感じてくれよ」
どいつもこいつもヘラヘラ笑って言う。
コイツらと晩メシを一緒に食べたいなんて欠片も思わないし、昨日ムリヤリ連れて行かれた店は高いだけだった。もうゴメンだ。
「へえ、この『鞄』の重さが友情の重さか」
「そうだよ…って、お前!」
僕が鞄をひっくり返し中身を机の上にぶちまけると、途端に奴らは慌てだした。怪しげな領収書が散らばるが気にせず、空っぽになった4つの鞄を、僕はブンブン振り回す。
「お前らの友情って軽いなあ!要らねえよ、こんなもん!」
パッと手を離すと、奴らの鞄は好き勝手に飛んで行った。
「オイ!」
奴らは慌てて自分の鞄に駆け寄ると、ごちゃ混ぜになった中身を見て、何やら揉め始める。
勝手にやってくれ。僕はさっさと家路についた。

(完・411字)



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