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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
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#眠れない夜に

〔ショートストーリー〕キャンディ

甘いものは嫌いだ。食べたときの幸福感より、罪悪感が上回るから。だって私は、キラキラしてい…

ネコハル
3日前
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〔ショートショート〕書庫冷凍

屋外型トランクルームの中は、何故か外より寒い。ここは私の書庫、と言っても、ここにある本は…

ネコハル
7日前
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〔ショートストーリー〕灯火

十二月なんて嫌いだ。街中が浮かれてやがる。キリスト教徒でも無いくせに、やれプレゼントだ、…

ネコハル
2か月前
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〔ショートホラー〕霧の朝

霧の朝はいつも緊張する。何かが息を潜めて、こちらの様子を窺っているのを感じるから。 私が…

ネコハル
3か月前
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〔ショートストーリー〕エマ

森の入り口にあるエマの家まで、夢中で自転車を漕いできた。この辺りは夜になるとずいぶん暗い…

ネコハル
9か月前
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〔ショートショート〕真夜中の万華鏡

真夜中にこの万華鏡を覗いてはいけないと、先生は言っていた。物静かで、細い指が綺麗だった美…

ネコハル
9か月前
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〔ショートストーリー〕ミニチュア・トリガー

風車のミニチュアが、机にちょこんと無造作に置いてあった。これはあのテーマパークで、開業10周年の今だけ、記念に配っている物だ。 夫の浮気が発覚し、話し合いの上、別居してお互いに頭を冷やすことになったのは1か月前。電話では何度も話していたものの、何となく顔を合わせるのは気まずい。夫が仕事に出ている頃を見計らい、合鍵を使って春物の衣類を少し取りに行くと、このミニチュアが目に入った。 私たちが結婚して3年と5日。このテーマパークは、新婚旅行に行った思い出の場所だ。3回目の結婚記

〔ショートストーリー〕蛍

蛍が見たい、と紗綾は言った。彼女がいた世界では、全ての人が自分の蛍を持っていたらしい。い…

ネコハル
1年前
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〔ショートストーリー〕She′s gone

とうとう彼女は行ってしまった。足元にじゃれつく子犬のように、いつもそばにいるのが当たり前…

ネコハル
1年前
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〔ショートストーリー〕堪忍袋

愛は犬だけじゃなく私にも注いで欲しい。タロに向ける笑顔を少しでも、私にも向けて欲しい。 …

ネコハル
1年前
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〔ショートホラー〕帰宅

この長い坂道を登り切れば、私の家が見える。坂を半分ほど下ったところにある、白い塀のこじん…

ネコハル
1年前
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〔ショートストーリー〕夜石

また眠れないまま朝を迎えた。悩みがある訳ではない。昼寝もしていないし、体内時計が狂うよう…

ネコハル
1年前
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〔ショートストーリー〕昼下がりの秘密

昼下がり、俺はいつもの女の家に向かう。微かな物音を聞きつけて、女はいそいそと裏口を開けた…

ネコハル
1年前
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〔ショートストーリー〕蒼い夢

海砂糖を知りませんか。いえ、調味料ではなく石の名前です。海のように深く美しいブルーで、枕に忍ばせて眠ると、砂糖のように甘い夢が見られるのです。 どうしても欲しいと、彼女が言うのです。何でも海砂糖は使う度に小さくなっていくので、彼女は使い切ってしまったそうなのです。あの甘い夢が見られないなら、眠っても仕方がないと言っています。そして彼女は、もう2年も眠っていません。 彼女は知らない場所の夢を見ていたそうです。そこにはとても青い海があって、その水を青い小瓶に詰めては、来る日も