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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
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#ショートショート

〔ショートショート〕逃亡

奴らの包囲網をかいくぐり、俺は小さなボートで島を離れた。夜明けまでにどこかの無人島まで逃…

ネコハル
11日前
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〔ショートショート〕時代を超えた宴

部屋を見渡して、圭子は激しく後悔した。ハロウィンなんだから、普通の仮装とは違うのに。魔女…

ネコハル
4週間前
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〔ショートショート〕真っ白な未来

俺の人生は真っ白でなければならない。A子、B美、C香の三人と並行して付き合うのもそろそろ終…

ネコハル
1か月前
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〔ショートショート〕夜からの手紙

俺には秘密の習慣がある。毎夜、眠る前に自己催眠をかけるのだ。自分の潜在能力を呼び覚ますた…

ネコハル
1か月前
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〔ショートショート〕残像屋

細い路地を抜けると、その喫茶店はあった。ドアを押して入ると、スーツ姿のマスターが一人。噂…

ネコハル
1か月前
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〔ショートショート〕T高校・残り物には懺悔がある

埃だらけの床と机の掃除を終えると、勝浦が満面の笑みで言った。 「今日からここが俺たちの部…

ネコハル
2か月前
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〔ショートショート〕ときめきビザ

「ときめきが無いんだよな」 T高校の発明部員、勝浦が呟いた。 「何だよ急に」 部長(と言っても発明部は二人しかいない)の吉野が、驚いて勝浦を見る。 「この間、1組の佐藤さんが可愛いって力説してたのに?」 勝浦は遠くを見て言った。 「佐藤さん、バスケ部の大塚と付き合ってた」 「……」 「発明部の俺には、ときめく資格も無いのかな」 「そんな……あ、そうだ!」 吉野が、鞄から桜色の小瓶を取り出す。 「この香り、試してみるか?」 「何だそれ」 勝浦がつまらなそうに聞く。 「最近、香り

〔ショートショート〕ひと夏の舞台

また夏が来た。私の出番だ。遊園地の一角で、人々を涼しくするのが得意な私。みんな、悲鳴を上…

ネコハル
3か月前
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〔ショートショート〕黒幕甲子園

もっと黒く。それが私たちの合言葉だ。初開催の「黒幕甲子園」は、文字通り、幕の黒さを競う大…

ネコハル
3か月前
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〔ショートショート〕復習Tシャツ

「俺、すごい物発明したぞ!次のテストはこれでバッチリだ!」 T高校の発明同好会に、ヒラ部員…

ネコハル
5か月前
40

〔ショートショート〕憧れ

「職業・アイドル」。この響きに焦がれて、憧れて、ここまで頑張ったのに、またなれなかった。…

ネコハル
5か月前
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〔ショートショート〕祈願上手

図書館からの帰り道で考えた。何で昔話や童話に出てくる主人公たちは、願い事が下手なんだろう…

ネコハル
6か月前
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〔ショートショート〕文学トリマー

私の仕事は「文学トリマー」。世の中には偽物の文学作品が多すぎる。仲間を裏切ったり、国家に…

ネコハル
6か月前
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〔ショートショート〕記憶冷凍屋

記憶冷凍庫の中には、色も大きさも様々な花が並んでいる。ここの管理を始めて、もう何年になるだろう。 「ごめんください」 入口付近から声がする。お客様は上品な老婦人だ。 「いらっしゃいませ。冷凍ですか、解凍ですか」 「解凍を」 老婦人はゆっくりと左手を差し出す。その小指の先に埋まったチップを読み取ると、管理番号が表示された。その番号の花は、淡いピンクの桜だ。 「持ち帰られますか」 「いいえ、ここでお願い」 「では、そちらの椅子におかけください」 座った彼女の前で、桜の花に手をかざ