〔ショートショート〕ときめきビザ
「ときめきが無いんだよな」
T高校の発明部員、勝浦が呟いた。
「何だよ急に」
部長(と言っても発明部は二人しかいない)の吉野が、驚いて勝浦を見る。
「この間、1組の佐藤さんが可愛いって力説してたのに?」
勝浦は遠くを見て言った。
「佐藤さん、バスケ部の大塚と付き合ってた」
「……」
「発明部の俺には、ときめく資格も無いのかな」
「そんな……あ、そうだ!」
吉野が、鞄から桜色の小瓶を取り出す。
「この香り、試してみるか?」
「何だそれ」
勝浦がつまらなそうに聞く。
「最近、香り