〔ショートショート〕笛島医院にて
「天ぷら不眠ですね」
医者は真面目な顔でそう言った。私はポカンとしてしまった。
「は?何ですか、それ」
医者はスラスラと説明を始める。
「問診票によると、この1週間、眠れないのですね」
「はい」
「で、昨日の夕食はエビの天ぷら、とありますが」
「はい、そうです」
「一昨日も同じですね」
「はい」
「その前も」
「エビ好きなので。それが何か?」
医者はコホンと咳払いをする。
「これは間違いなく天ぷら不眠です。エビ天不眠と言ってもいい」
私は少しイライラしてきた。
「だから、それ