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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
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#毎週ショートショートnote

〔ショートショート〕風を治すクスリ

「俺さ、風を治すクスリが欲しい」 ここはT高校発明部。自称エースの勝浦が、部室に入るなり言…

ネコハル
1日前
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〔ショートショート〕逃亡

奴らの包囲網をかいくぐり、俺は小さなボートで島を離れた。夜明けまでにどこかの無人島まで逃…

ネコハル
11日前
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〔ショートショート〕遠距離恋愛販売中

またLINEだ。付き合って3か月、俺は清美にウンザリしていた。束縛と嫉妬が激しすぎる。 「遠…

ネコハル
2週間前
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〔ショートショート〕供物

彼は退屈していた。実業家として大成功を収めた後、アッサリ事業を手放し、長年の夢だった冒険…

ネコハル
3週間前
43

〔ショートショート〕時代を超えた宴

部屋を見渡して、圭子は激しく後悔した。ハロウィンなんだから、普通の仮装とは違うのに。魔女…

ネコハル
4週間前
49

〔ショートショート〕真っ白な未来

俺の人生は真っ白でなければならない。A子、B美、C香の三人と並行して付き合うのもそろそろ終…

ネコハル
1か月前
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〔ショートショート〕夜からの手紙

俺には秘密の習慣がある。毎夜、眠る前に自己催眠をかけるのだ。自分の潜在能力を呼び覚ますためだが、たまに明日の自分へのメッセージを、手紙にして残すことがある。朝にはすっかりその内容を忘れているので、俺はこれを「夜からの手紙」と呼んでいる。 どうやら俺には僅かな予知能力があるようで、その手紙の通りにすると小さな幸運に出くわすのだ。「1つ手前の角を曲がれ」に従って五百円玉を拾ったり、「青いネクタイを選べ」に従って憧れの小夜子さんに褒められたり。こんな小さな幸運でも、何度もあるとや

〔ショートショート〕残像屋

細い路地を抜けると、その喫茶店はあった。ドアを押して入ると、スーツ姿のマスターが一人。噂…

ネコハル
1か月前
35

〔ショートショート〕T高校・残り物には懺悔がある

埃だらけの床と机の掃除を終えると、勝浦が満面の笑みで言った。 「今日からここが俺たちの部…

ネコハル
2か月前
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〔ショートショート〕ときめきビザ

「ときめきが無いんだよな」 T高校の発明部員、勝浦が呟いた。 「何だよ急に」 部長(と言っ…

ネコハル
2か月前
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〔ショートショート〕ひと夏の舞台

また夏が来た。私の出番だ。遊園地の一角で、人々を涼しくするのが得意な私。みんな、悲鳴を上…

ネコハル
3か月前
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〔ショートショート〕黒幕甲子園

もっと黒く。それが私たちの合言葉だ。初開催の「黒幕甲子園」は、文字通り、幕の黒さを競う大…

ネコハル
3か月前
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〔ショートショート〕リベンジトリートメント

いらっしゃいませ。初めてのお客様ですね?会員カードをお作りしますので、こちらにお名前を……

ネコハル
4か月前
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〔ショートショート〕笛島医院にて

「天ぷら不眠ですね」 医者は真面目な顔でそう言った。私はポカンとしてしまった。 「は?何ですか、それ」 医者はスラスラと説明を始める。 「問診票によると、この1週間、眠れないのですね」 「はい」 「で、昨日の夕食はエビの天ぷら、とありますが」 「はい、そうです」 「一昨日も同じですね」 「はい」 「その前も」 「エビ好きなので。それが何か?」 医者はコホンと咳払いをする。 「これは間違いなく天ぷら不眠です。エビ天不眠と言ってもいい」 私は少しイライラしてきた。 「だから、それ