残り声。【ユニコーンオーバーロード】
軽くゆがんだ木製の扉を開けると
人々の笑い声が全身を包んだ。
長年積み重ねた重みを吹き飛ばし、
祝福に包まれた風を浴びたかのよう。
剣士は剣を立てかけ、戦士は斧を置き
あちらこちらで
グラスを重ねる音が聞こえてきた。
薄暗く照らされた辺りを見渡すと
緩みきった表情を浮かべる仲間たちが
テーブルを囲んでいる。
誘われるまま椅子に腰掛け、
仲間たちと労いの言葉をかけあう。
歓声を上げる向こう側で
なにかが焼ける匂いが込み上げてきた。
忘れていたけど、お腹が空いていた。
忙しくしているとついつい忘れてしまうな。
香ばしく焼き上がった湯気が
部屋中を包み込み、空間はさらにしあわせ。
1日の仕事を語らい
これからの目標を口にする仲間たち。
食事はこうも人を饒舌にするものなのか。
そうこうしていると
デザートも用意されていた。
ひとりで取る食事も気軽で好き。
みんなで食べるのもまた好きだ。
仕事先とはまた違う表情を見せるみんなに
驚きと親しみを覚える。
もうそろそろとひとりまたひとりと
家に帰り、ぼくはまたひとりになった。
残されたお皿から
笑い声のカケラが残されていた。
ご飯食べよう!
コケでした〜。
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サポートいただけるなんて奇跡が起きるのかは存じ上げていませんでしたが、その奇跡がまさかまさかに起きました!これからありがたくゲームのオトモ代(コーヒーとかお茶)いただけると大変喜びます。サポート設定ってあなどれないぜ…。