月のダンス『ベヨネッタ3』
魔女は月に昇った
現世の楽しみをすべて食べ尽くしたようだ
煌びやかな幻影だけを残して
ショータイムは終わりを告げる
仮初の衣装を纏い
ホンモノであるかのように振る舞い
近づくモノに大胆に媚薬を盛り込み
華やかな夢の向こう側へと誘う
真実を鏡の鏡面にみた
ノロマで哀れなカラスは
魔女のお気に召されず
呆気なく捨てられ 途方に暮れた
『遅い!』
魔女のパートナーは
タフでクールでアツくて蒼い愛
魔女はいつだって
それしか見つめていなかった
いかがわしくて危うげで
幻であるかのように真実を語り
ダイヤモンドと同じく高貴で高飛車
死と隣わせの危険も孕む月を従え
魔力を鱗粉に
優しく微笑む母を演じる
刹那を弄び 妖影に 舞うことをやめない
最高潮に達したその瞬間
唐突に月は 暗黒のベールに包まれた
魔女のトリックだと
熱狂したオーディエンスは踊り続けた
しかしショーの終わりは本当だった
どうやら魔女は 飽きてしまったらしい
たったそれだけだった
『また会いましょう?
あたしは行きたいところが出来たの』
魔女は手短な挨拶を交わし
マヌケなカラスにお別れのキスを投げ
裸で出かけた
今宵 月は
魔女に ダンスパーティの 招待状を送っていた
いいなと思ったら応援しよう!
サポートいただけるなんて奇跡が起きるのかは存じ上げていませんでしたが、その奇跡がまさかまさかに起きました!これからありがたくゲームのオトモ代(コーヒーとかお茶)いただけると大変喜びます。サポート設定ってあなどれないぜ…。