
「資産運用」の冒険に出て1年半が経過→いまどうなってる?
@ささやかな冒険のはじまり
ちょうど2年前、2021年の12月頃に、「資産運用」について真剣に考えたタイミングがありました。きっかけは、自宅に届いた確定拠出年金の通知。会社から毎年届くけど、内容を見てもよくわからないから、いつもそのまま見もしないで捨ててたんですよね。ただ、その年は封筒を開けて、なんとなく通知に書かれている謎の数字を眺めていて、ふと気づいたんです。
なんかよくわからんけど、資産がマイナスになってる・・・?
そうなんです。「拠出額」に対して「資産額」がマイナスになっている。よくわからないけど、たぶん何かがおかしい・・・しかし、その当時、資産といえば銀行預金をしているだけで、このマイナスが何を意味しているのか、まったく想像もつきません。いつもならそのままいいやと思って通知はゴミ箱行きになるところですが、なんとなく気になったので、ネットで確定拠出年金のことを調べてみたところ・・・「なってこった」それが私の感想でした。そこから、私のささやかな冒険(資産運用)が始まりました。
@投資における二つの軸
資産運用には投資が重要な要素ですが、「投資」という言葉について、個人的に2つの軸を持っています。
❶ 金融資産への投資
❷ 労働付加価値への投資
前者ついては「まぁそうよね」というところかと思います。「貯蓄から投資へ」というキャッチフレーズは、ここ数年の日本でも改めて大きなトレンドになり、タクシー運転手がインデックス投資の話をするどころか、その辺の雑木林で冬眠に入るための準備をしているリスでさえ、日本の銀行貯金システムの限界を感じているかのような厳しい顔をしています。

後者については、なんだか掴みにくい響きを持ってます。労働付加価値?なんだかカール・マルクスの資本論に出てきそうな言葉です。私は資産運用を始めると同時に、ある投資関連の本でそのコンセプトに触れて以来、現在もまだコンセプト検証中なのですが、どんなことを考えているのか少しでもお話しできればと思います。
❶ 金融資産への投資
まずこの1年半で私がチャレンジして、現在も保有している金融資産は以下の通りです。※銀行預金は除きます
確定拠出年金の投資信託(株式/債券):保有率 27% 収支↑プラス
積立NISAの投資信託(株式/ゴールド):保有率 44% 収支↑プラス
個別株/テーマ株:保有率 4% 収支↓マイナス
暗号資産(主にBitcoin):保有率 20% 収支↑プラス
NFT/ブロックチェーンゲーム:保有率 5% 収支↑プラス
これは私が手をつけた順番でもありますが、下に行けば行くほど冒険度が上がる・・・つまり、怪しさが増していきます。数字は、それぞれの資産の保有割合で合計すれば100%になります。そして、この5つの資産全てを合わせた投資金額は、銀行貯金を含めた総資産額の約28%ほど。逆に言うと、銀行預金の割合が72%となっていて、もうちょっと投資資産を増やしていきたいなというところです。
プラス、マイナスの表記は、保有を初めてから現在(2023年12月)に至る期間の中で、利益が出てるかどうかです。あくまで現時点の推移であり、利益確定させたわけではありません(長期保有前提なので)。ちなみに、暗号資産なんかは、10月時点だとマイナスでしたが、ここ1ヶ月で一気にプラスに転じてます。またマイナスになる時期もやってくるかもしれません。
・・・ちなみに、私はごく普通の地方都市の郊外に住んでいる、ごく普通の会社員です。配偶者と5歳の子供の3人暮らし。共働き。住宅ローンと中古車。特別な資金力も無ければ、明確な投資スキルもありません。ただただ、冒頭のきっかけを機に、自分なりに情報収集をして、あちこちに頭もぶつけながら、上記のような怪しげな資産ポートフォリオが形成されているだけです。正解を持っているわけでも、お得な投資情報をお伝えできるわけでもありませんが、そんな人間でも、一応「資産運用」ってできるんだよ!ということをお伝えできれば幸いです。
ではここからは、それぞれの資産形態について話していきます。
▶︎ 確定拠出年金の投資信託(株式/債券):保有割合 27% 収支↑プラス
会社の確定拠出年金に加入してるけど、そういえば貯蓄型のまま放置してる・・・という方はいませんか?
私はまさにそのパターンで資産が結果的に目減りしてましたが、会社の同僚でも同様の状態のまま放置している人が沢山いました。もし放置してる人がいたら、すぐに確認して、資産状況をチェックしてみることをお勧めします。
まず簡単に企業年金制度のイメージを説明すると・・・
・確定給付年金:会社が資産運用して年金を給付してくれる
・確定拠出年金:会社は資産運用の原資を拠出してくれるだけ ←こっち
近年はほとんどの会社が後者の「拠出」型制度を選択しています。つまり、会社は年金の原資を出してくれますが、資産運用をするのは我々、会社員なのです。そして、私の会社では、入社時に自動的に制度へ加入するのですが、デフォルトでは「貯蓄型」の商品に投資する設定になっています。つまり、そのまま放置しておくと、会社から拠出される原資は蓄積されていきますが、それ以上に資産が増えることはありません。それどころか、運用管理手数料を取られるため、じわじわと資産が削られていきます。私の運用実績がマイナスになっていたのもそれが原因でした。
ではどうすればいいか?運用益を得るためには、投資用の金融商品を買うしかありません。貯蓄型のまま放置していても資産は増えませんが、投資信託や債券を買うことで、運用益を得られれば、資産を増やすことができます。実際に私も、貯蓄型→インデックス投資信託+海外債券の組み合わせに変更して1年半で、年間でも、運用期間トータルでも、「プラス」収支に転じることができました(もっと早く気づいていれば・・・)。
さらに、確定拠出年金は、運用益に税金がかからなかったり、所得税の控除対象になったり、など、税制上でかなり優遇されている制度なので、「やらない」という選択肢を取る理由は、多くに人にとっては存在しないのでは・・・とさえ思います。バリバリの投資家にとっては、確定拠出年金の商品は退屈に見えるかもしれませんが、安全面で考えれば、私のようなビギナーにとってベストなセレクションが並んでいると感じます。
自営業や主婦など、会社勤めじゃない方はIDECOという同じような制度が使えますので、ぜひ調べてみてください。とにかく「投資なんてやったことない」「なんだか投資って怖いし」「何からやればいいかわからない」という方は、まずここから考えてみるのが良いと思います!
▶︎ 積立NISAの投資信託(株式/ゴールド):保有率 44% 収支↑プラス
確定拠出年金で初めて投資信託を買った後、つぎに手をつけたのが積立NISAです。どっちかというと、こちらのほうがメジャー感あるので、NISAから投資スタートする人のほうが多いかもしれません。これも、確定拠出年金と同様に、税制上の優遇が大きいため、投資をやるなら、NISAをやらない理由は存在しないのではと思います。
積立NISAの利点として、税制上の優遇はもちろんですが、個人的に一番良いなと思ったのが、いわゆる「ドル・コスト平均法」で投資できるところです。
ドル・コスト平均法とは、価格が変動する金融商品を定期的に定額で積み立てる手法です。定額なので対象の金融商品価格が安い時には多く買い、高い時には少なく買います。積立期間を長くするほど購入価格は平均化されリスクに強い投資が可能となります。
私も例によって、S&P500やオールカントリーなどのインデックス投資商品を、定額積立で毎月購入しています。証券会社の口座にお金を入れて、設定をしておけば、何も作業をする必要がありません。銘柄を選ぶために決算書を学んだり、買うタイミングや売るタイミングを探るためにチャートの見方を研究したり・・・そんな苦労をしなくても大丈夫です。また、このドル・コスト平均法は、立派な投資スタイルとして通用するどころか、プロの機関投資家でも、長期間で勝負したら「ドル・コスト平均法✖️インデックス投資」の回収率に勝つことはかなり難しくなる・・・という実績もあるくらいです。
実際、上記の5つの投資カテゴリの中で、一番安定的に収益を出し続けているのがこれです。「何を買うか?」に正解は無い気がしますが、「どう買うか?」について、時間分散の観点で、このドル・コスト平均法がひとまずの回答になるのではと思います。
また、積立NISAを始めるなら、ネット証券(SBI証券や楽天証券など)がお勧めです。銀行やリアル店舗のある証券会社などでも取り扱っていますが、手数料や銘柄のバリエーションの観点で、ネット証券のコストパフォーマンスに軍配が上がります。少額でも始められるので、まずはここから!
▶︎ 個別株/テーマ株:保有率 4% 収支↓マイナス
これが唯一の収支マイナスを叩き出している部分です。
2022年の春頃だったっけ・・・とある証券会社の個別株を買ったのですが、その会社に関係する景気の良いニュースが出て、実際に株価が急上昇し始め、これは!と思って焦って買ったところが、いわゆる「高値掴み」に・・・。その直後で30%ほど急降下し、わりと致命的な含み損を抱えたまま塩漬けの状態で現在に至ります。
この典型的な失敗の経験から、もっと相場のことや、投資のテクニック、企業の情報などを継続的に学んでいかないとダメだな・・・と痛感した反面、そこに足を踏み入れるだけのエネルギーと時間をどこから捻出するんだ?、という大きな課題にも直面。30分くらい悩んだ結果、「個別株には手を出すのは止めよう」というスタンスを確立しました。会社では投資好きの同僚があの株が、この株が、みたいな話を楽しそうにしてるので、そこに加わりたいなーとも思いつつも、身の丈にあった生き方で行くしかないんですよね、結局。
また、同じ理由(エネルギーと時間の捻出ができない)で、FXや短期トレードなどの価格変動が激しくて、スピードが早くて、チャートに張り付いてないとダメなやつにも手を出さないことにしました。「え?でも暗号資産ってもっとやばいんじゃないの?」と鋭い方からツッコミを頂きそうですが、そこはまた特殊な心持ちが働いてまして、この後のパートで説明したいと思います。
▶︎ 暗号資産(主にBitcoin):保有率 20% 収支↑プラス
初めてのBitcoinを買ったのは、2022年の3月でした。1BTC=5,180,000円の時に0.005BTC(約30,000円)を購入。どうして突然そんな怪しげなものに手を出すことになったのか?これは実は投資目的ではありませんでした。シンプルにBitcoinが欲しくてBitcoinを買っただけだったのです。
私が初めて仮想通貨に興味を持ったのは、その1ヶ月前、2022年の2月です。ロシア・ウクライナ戦争が始まった直後のことでした。2月の下旬、ロシアがウクライナに攻め込んで戦争状態となると、数日後にアメリカを主軸とする欧米諸国がロシアに対して次々に経済制裁を始めました。輸入制限、輸出制限、個人や企業の資産凍結、国際決済システムからの排除・・・など。そしてその中で、ある日、こんなニュースを見ました。
・・・欧米諸国による資産凍結などの経済制裁に対して、一部のロシア富裕層は自己資産をBitcoinなどの暗号資産に転換して出金するなどの動きを見せており・・・
暗号資産?経済制裁を逃れられるってどういう仕組み?・・・私は興味を持ち、ネットで調べてみたところ、あっという間にBitcoinのオルタナティブな性質と、アンダーグラウンドな歴史に魅せられてしまいました。Bitcoinがどんな特別な魅力を持ってるかは、この記事にまとめてますので良ければご覧ください。
とにかくBitcoinを保有したいという衝動に突き動かされて、最初の0.005BTCを購入します。そして数ヶ月後には、例のTerra Lunaの大暴落をきっかけとする長い冬の季節が始まります。そこからの約1年というもの、暗号資産界隈は混沌、暗澹としてましたが、私はどちらかというと楽観的に「Bitcoinのバーゲンセールだ」という感覚で、粛々と余剰資金でBTCの買い増しを続けました。そして結果的にはそれが功を奏し、ちょうど先月末から始まった仮想通貨市場の全般的な回復によって一気に、含み損から含み益に移行しました。
ただ、仮想通貨市場は、変化のレンジとスピードが激しく、取引や資産管理も煩雑なため、資産運用ビギナーのメインの投資手段としてはリスクが高く、あまりおすすめできません。ブロックチェーン技術の将来的な社会的実装の意義を想像しながら、余剰資産で、長期目線で、遊び半分でやるくらいがちょうど良いと思います。よく言われることですが、仮想通貨を買うなら「一晩で価値がゼロになっても翌日ちゃんと会社に行けるだけの金額」にしておくのが吉ですね!
▶︎ NFT/ブロックチェーンゲーム:保有率 5% 収支↑プラス
これらも広義で捉えれば暗号資産の一種ですが、Bitcoinを現物で購入して保有するだけのシンプルな方法と比較して、リスクと煩雑さが上がる分、一歩踏み込んだ資産運用になります。
Crypto PunksやBored Ape Yacht Club で人気を博したNFTは、今では農家がマンゴーを買う権利として売り出すなど、少しずつ認知と実装が進んでいる感じもしてますので、投資というよりは、ブロックチェーン技術の体験として、買ってみたり使ってみるところから始めると良いかもしれません。クリエイティブな方でしたら、イラストをNFT化して、マーケットで販売することも可能です。
BCG(ブロックチェーンゲーム)はまだニッチなところに収まっている印象ですが、Play to earn(ゲームで稼ぐ)から派生して、Move to earn(歩いて稼ぐ)、 Write to earn(書いて稼ぐ)、 Sleep to earn(寝て稼ぐ)・・・など、人間の日常的な行動をBCGでゲーム化し、それによって仮想通貨を稼ぐというスタイルが花開こうとしています。私がユーザーとして参加しているプロジェクトはこのあたりです。
Sandbox(ゲーム内のイベント攻略などでSAND通貨が稼げる)
Sweatcoin(歩くことでSWEAT通貨が稼げる)
SleeFi(寝ることでSLFT通貨が稼げる)
最近、忙しくてSandboxはできてないですが・・・SweatcoinとSleeFiは、歩くこと、寝ることという、日常行為だけでOKなので、無理なく継続できています。特につい先日(2023年12月)にオープンβがリリースされたSleeFiは、ベッドのNFT購入でちょっと先行投資をしましたが、それを補って余りある稼ぎを得られており、このまま推移してくれればちょっとした副業レベルになるかも・・・という状況です。SleeFiの素晴らしさについては、この記事でも触れていますので、良ければどうぞ。
ただ、このNFTにしても、BCGにしても、まだまだ魑魅魍魎が跋扈する魔界のような危うさがあります。詐欺などの犯罪行為もありますし、市場の影響を受けた倒産や、資金難によるプロジェクト閉鎖なども日常茶飯事です。つい先日も、とあるBCGで運営がユーザー資金ごと持ち逃げした事案なども発生したばかりで、SleeFiは大丈夫かな・・・とちょっとドキドキしたりもしました。そのため、これもBitcoin同様に、完全な余剰資金でちょっとWeb3のシステムやテクノロジーを学んでくる(稼げたらラッキー)・・・くらいの感覚が良いかもしれません。
@まとめ
ということで、確定拠出年金の通知書を毎年見ないで破り捨てていた私が、どのようにして資産運用という概念に気づき、どんな試行錯誤をしているか・・・リアルな状況をお伝えしました。
当面の目標としては、投資割合の増加です。現在、まだ自分の総資産の72%ほどが日本円建てのまま銀行貯金として眠っています。別に「円はダメだ」とはまったく思いませんが、一つの形態に資産を集中させるのは良くない!ということは断言できます。もし私が100%銀行貯金のまま直近の1年半を過ごしてたら、円安の影響で資産が目減りするだけで終わってましたが、いろいろと分散投資できたお陰で、むしろ資産を増やすことができました。始める前は、投資は怖い・・・という先入観もあり、恐る恐る手を広げてきましたが、この1年半である確信を得ました。
①長期目線で、②分散しながら、③余剰資金で運用する限り、リスクは最小限に抑えることができる
はい、これも良く言われていることですが、実際に自分で検証できたことで投資への盲目的な恐怖感はだいぶ薄れてきました。この3つを前提として継続的にポートフォリオを俯瞰して見ていけば、自然と何をどうするべきかが見えてくるような気がします。逆を考えたらわかりやすいのですが、FXの短期ハイレバにボーナス全額突っ込む・・・みたいなことは避けましょう!ということですね。
・・・というところで、ここまでで思ったよりもボリュームが増えてしまったため、サブテーマの「❷ 労働付加価値への投資」については、別記事で「後編」として書きたいと思います。それではまた!
#お金について考える