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「ありがとう」のアクセント

 突然ですがnoterの皆さん。「ありがとう」のアクセントって、どこに置きますか?

 標準語では「り」に置く、「ありがとう」。
高知では「あ」と「と」に置く、「ありがとう」。
高知でも西の幡多では「が」に置く、「ありがとう」。
滋賀から来たTちゃんは「と」に置く、「ありがとう」。

 同じ日本でこれだけ違う「ありがとう」。アクセントって重要だなと思う。というのも。

 私は保育園児の頃、高知県でも西の端の土佐清水市に住んでいた。言葉はこれまで使っていた「土佐弁」と全然違う、「幡多弁」。アクセント、イントネーション、単語に至るまで、色々違うのだ。

 ある時友達数人で固まっていると、大人の人からお菓子をもらった。みんな順にお礼を言っていく。「が」にアクセントを置いた「ありがとう」で。

 私も土佐清水の人になりきって、「が」にアクセントを置き「ありがとう」を言う。心の底にもやもやはあるけれど。

 ふいに私の弟が、「あ」と「と」にアクセントを置く土佐弁の「ありがとう」を言った。弟は幡多弁を使わない、土佐弁を頑なに使う人である。

 強烈な違和感が私を襲った。この土佐清水で、土佐弁の「ありがとう」を聞くとは。急に恥ずかしくなって、弟に小声で文句を言った。「あ」りが「と」うやない、あり「が」とうやろ?と。

 なぜこんなに恥の感覚があったんだろう。よく東京で地方の人が方言を恥ずかしいと思って、標準語を話すようなものだろうか。

 ちなみに私、今ではバリバリの土佐弁話者になってしまい、幡多弁はおろか標準語すらほとんど話せない。しかし県外に出た時などは、やはり少しは恥ずかしくなって、標準語チャンポンな土佐弁(?)をしゃべってしまう。

 そもそも方言に恥ずかしいとかダサいとか、そんなものは無いはず。自信を持って自分の言葉を使っていきたい。

 あなたはどの「ありがとう」ですか?

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