何度も見た夢。何度も想像した世界。 いつか戻れるかな? あの世界に。 けたたましく鳴るアラームに手を伸ばす。時刻は6時。私は目を細めながら現実逃避する。 …
誰も受けない依頼がある。 その依頼は一週間前から掲示板に貼られ続け、誰の目にも留まらなかった。報酬はたったの20マルク。そう、庭の草刈りである。 ギルドの掲示…
冒険者の一日は日雇い労働者のようなものだ。宿で簡単な朝食を摂り、昼は依頼をこなし、夜は再び宿で夕食を頂き、寝る。家でもあれば生活拠点として自由にできるのだが、…
フィナージュ街中心部にある冒険者ギルド。 ギルドに登録した人は冒険者という扱いとなり、依頼を受諾できるようになる。冒険者ギルドの掲示板は常に大量の依頼で埋め…
街の城門の近衛兵を通り過ぎ、道なりに進む。 茶色の地面は踏み固められ、草一つ生えていない。人の往来が激しい証拠だ。先ほど通り過ぎた馬車の車輪の跡も残っている…
ねこまよ
2024年9月28日 18:44
何度も見た夢。何度も想像した世界。 いつか戻れるかな? あの世界に。 けたたましく鳴るアラームに手を伸ばす。時刻は6時。私は目を細めながら現実逃避する。 いつの間にかずり落ちた掛け布団。暑さを感じてベッドの脇へ落としたのかもしれない。気付けば、お腹も出ている。私は皺が寄ったパジャマを伸ばしながら目を擦った。 カーテンの隙間から漏れる光を見つけて、カーテンを両サイドに開いた。途端に飛び込
2024年9月25日 18:39
誰も受けない依頼がある。 その依頼は一週間前から掲示板に貼られ続け、誰の目にも留まらなかった。報酬はたったの20マルク。そう、庭の草刈りである。 ギルドの掲示板に貼られた数々の依頼を一頻り眺めたあと、日焼けして茶色になった依頼に目が留まった。だが、それが何であるか内容を吟味する必要はなく「ああ、アレか」と私の中で合点がいく。受けずの依頼、だ。 依頼は大きく分けて五つある。 討伐、採集、
2024年9月24日 20:45
冒険者の一日は日雇い労働者のようなものだ。宿で簡単な朝食を摂り、昼は依頼をこなし、夜は再び宿で夕食を頂き、寝る。家でもあれば生活拠点として自由にできるのだが、その家を買うお金はいっぱしの冒険者の懐事情では厳しい。安宿で食う寝る依頼しかできない私にとっては夢のまた夢だ。 少し離れた鉱山へ採掘に行き、一攫千金を狙うという手もある。金鉱石が掘れるという噂のラシオ鉱山。ツルハシとスコップを携えた労働者
2024年9月23日 21:31
フィナージュ街中心部にある冒険者ギルド。 ギルドに登録した人は冒険者という扱いとなり、依頼を受諾できるようになる。冒険者ギルドの掲示板は常に大量の依頼で埋め尽くされており、もちろん冒険者たちで賑わっている。私も例に漏れず、掲示板の一端を眺めては依頼を見定めていたところだ。 簡単な依頼の代表格は『民家の雑草抜き』だ。ギルドに依頼することではないと思われるが、日中仕事に明け暮れる家主にとって家周
2024年4月29日 20:40
街の城門の近衛兵を通り過ぎ、道なりに進む。 茶色の地面は踏み固められ、草一つ生えていない。人の往来が激しい証拠だ。先ほど通り過ぎた馬車の車輪の跡も残っている。 とは言うものの、道から少し外れると手入れのされていない草原がどこまでも続く。幸い、草木の背丈は低く、人の姿が隠れるほどではなかった。 草を掻き分けながら奥へと向かう。さて、そろそろ見える頃だが……。 草木の丈が意図的に刈られた小さ