ロンドンの外資系金融企業で働いてみた【ビザ取得から生活費まで】
ロンドン在住、社会人三年目の猫ラーメンです。
海外で働く機会を探している就活生、またロンドンで働く環境について興味がある人に向けて、少しでも助けになればと思い、自分の就労経験を記事として書くことにしました。
仕事を見つけたきっかけ&ビザについて:
まずどうやって今の仕事を見つけたかについてですが、自分は大学在学中の4年目にボストンキャリアフォーラムというバイリンガル日本人向けの就活イベントでブルームバーグと面接をしたことがきっかけです。なぜ日本のオフィスではなくロンドンのオフィスで働くことになったかというと、日本時間で夜の間に日本のクライアントをカバーするための日本語スピーカーをロンドンオフィスで必要としていたためです。
多くの人がまず疑問に思うであろうビザについてですが、イギリスで非イギリス人が就労する場合は就労ビザだけでなく、会社からのスポンサーシップが必要となります。ブルームバーグは非イギリス人労働者にはスポンサーシップを負担しており、また基本的には非イギリス人に対してスポンサーシップを負担する意思のある企業は主にラージスケールの多国籍企業のみのようです。しかし、自分の周りでは、以前インターンシップをしたスモール〜ミドルスケールのイギリス国内企業からスポンサーシップをもらったという話もあるので、必ずしも大企業でないとスポンサーシップを出してくれないというわけではないようです。
またHPI(High Potential Individual Visa)のようにイギリス国外で卒業した人向けへのスポンサーシップを必要としないタイプの新しい就労ビザが導入されたりと非イギリス人のハイスキル労働者をイギリスに呼び込む動きへの追い風も最近はあります。
リロケーションの流れ:
またビザの手続きから実際にロンドンへ移動するまでの流れについてですが、ビザに関してはブルームバーグの場合は必要なイミグレーション関連の手続きは全て別途のコンサルタンシーにアウトソースされているため、書類の手続きなどを自分でやる必要はなく、ビザの取得はかなりスムーズに行きました。
また実際のリローケーションのプロセスは、母国からロンドンへのフライト費、最初一ヶ月間の会社の近くにあるアパートメントの家賃、その他引越し費用のためのスタイプドインなどの費用を会社が負担してくれるため、引っ越しへのストレスはかなり少なかった覚えがあります。
その後に住む家探しはロンドンのローカルのハウジングエージェンシーを通して、主に週末に内見を行うなどして探すこととなります。ロンドンの不動産市場は非常に流動的なため物件探しに困ることは殆どありません。ただロンドンの不動産価格は非常に高いことで知られているように、20代〜30代の若者の間では2−5人でアパートの別の部屋をシェアすることが普通です。二人でシェアし、ロンドン市内に住むと家賃は800−1200 GBPほど、一人で住むとそれの1.5倍ほどかかるイメージです。郊外に住めばもっと安くなりますが、そこは会社が完全リモートではない場合は通勤時間・費用とのトレードオフになります。
会社について:
会社についてですが、ブルームバーグは金融情報に特化した所謂金融版Macのような端末を金融機関(トレーダー、アナリストなど)に向けてサブスクリプションモデルで販売するフィンテック企業です。金融ニュースなどで会社の名前を知っている人もいるかと思いますが、メインの収益は端末の販売です。
自分がいたAnalytics Departmentは主にヨーロッパ、中東、アフリカのクライアントに向けてブルームバーグ端末を用いた金融市場の分析、カスタマーサポート、クライアントオンボーディングを担当する部署です。クライアントの話す言語が多岐にわたるため、ロンドンオフィスにはイタリア語、スペイン語、フランス語、ロシア語を始めとする多国籍の同僚で溢れており、社内特にAnalytics部署の環境はかなり国際的と言えます。そのため非イギリス人であることで不便や疎外感を感じたことはありませんでした。
日本人は日本語、中国語、韓国語スピーカーでひとくくりのアジアンスピーカーチームに入社後まず入ります。このチームではナイトアウトやソーシャルイベントも2ヶ月に一度程度の頻度でありました。チームでのイベントがなくても、チームメイトや他チームの同僚と仕事の後にディナーやパブ、また週末にピクニックに行くなど、社内で仲良くなった同僚との関係は仕事外でも続くため、ロンドンに友達、知り合いがいなくとも同僚との関係を軸にロンドンのライフを楽しむといったことも充分可能です。また同期はほとんどが二十代で、最初の1−3ヶ月はほぼ毎日トレーニングプログラムを通して一緒に過ごすため、よくも悪くも大学の延長線上のような環境で、親しい友人を作ることはかなり容易です。
それともう一点、入社仕立ての頃に、いわゆるリージョナルヘッド(部長?)に「毎朝会社のために起きるモチベーションは何ですか?」と質問する機会があり、違う上司の二人が口をそろえて人、同僚が毎朝会社に来る理由だと答えていたのが印象的でした。ブルームバーグで働いている人は基本的に良い人ばかりなので、三年経った今、この上司が言っていたことには共感できます。
会社での役割と成長への機会:
会社での役割と成長への機会についてですが、自分の場合はまず入社後、プロダクトアナリストとして主にブルームバーグ端末に関連するカスタマーサポートから始まり、入社半年目以降は金融市場の特に債券市場にスペシャライズし、債券市場に関連したクライアントオンボーディングなど徐々に仕事の幅が増えていくイメージです。二年目以降は債券市場分析のセミナーを開催したり、リサーチレポートを書いたり、社内での債券市場についてジュニアアナリストへ教える講師を担当したりと、専門知識を活かした仕事へと変化していきました。
自分が考えるブルームバーグの良さの一つに充実した教育カリキュラムがあります。自分の場合は大学で経済と金融を専攻していたため、ある程度の金融へのバックグラウンド知識はありましたが、全く違う分野、例えば言語学や政治学を学んだ人であっても、努力すれば約一年間でそれ相応の専門知識知見を得られるほどに1から金融について教えてくれる素晴らしい社内カリキュラムが存在します。特に入社1年目の時期は自分の場合は債券市場に興味があり、コロナ禍でのリモート環境を活用して仕事内外での時間を使い勉強したりと、パートタイムでマスターディグリーを取るような経験でした。また社内で無料でオンラインアクセスできる金融に関する書籍も多数存在するため、専門知識をもっと蓄えたいという人は会社から用意されているリソースも活用できます。CFAを取るための費用も会社が負担してくれます。
それともう一点、基本的に社内でのキャリアの流れとしては、Analytics部署で1〜3年過ごし金融市場とブルームバーグ端末に関する基礎を叩き込まれた後、営業部署へと移動するという流れが8割方です。営業部署では金融専門知識を使って何をするというよりは、会社としてのビジネスにフォーカスした端末営業に重点が移るため、大企業でのビジネスの回り方を一通り学びたい、もしくは、将来例えばグーグルやサイバーエージェントなどの所謂テック企業にて営業の道に進みたいという人にはおすすめです。
ワークライフバランスについて:
ワークライフバランスについてですが、基本は8時から6時までで残業は基本的にないです。ただブルームバーグのデメリットの一つとして、働いている8-6時の間のスケジュールははっきりと決められていて、1時から2時までは何をする、したなどとマネジメントに細かく報告する必要があり、マイクロマネジメントな環境は慣れることができる人とそうでない人がいるかと思います。ただ割り振られた時間の中で何をするかの主体性や選択権はある程度は与えられており、会社自体が自主性を大切にしているため、与えられた仕事をずっとやっているというわけではありません。自分の立ち上げたいプロジェクトのアイデアがある場合は、上司が親身になって具現化のプロセスへのアドバイスをくれることがほとんどです。
生活費:
生活費については、食費は一ヶ月で300−450GBPほど、交際費で100−200GBP、光熱費やCouncil taxなどの固定費で150−200GBPほどです。家賃は先程も述べたようにロンドン市内で二人でシェアし、一人が800−1200 GBPほどです。また上の食費は外食がメインのため、自炊すればもっと削ることは可能です。税金と加入必須の国民健康保険で大体給料の25%が飛んでいくため、例えば給料の30%ほど貯金をしたい場合は、郊外に住んで家賃を削るか、自炊をして食費を削るかの選択になります。
まとめ:
まとめると、バックグラウンドの有無は関係なしに、金融業界もしくはフィンテックに興味があり大学を卒業したばかりもしくは今年卒業する、キャリアパスははっきりとは見えていないが、まずはビジネスの回り方と金融に関する専門知識をバランスよくつけたいといった人には良いフィットな職だと思います。またロンドンに居ながらイギリス人がマジョリティの職場ではなく国際色のある環境で仕事をしたい人にも良い機会だと思います。
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