【あらためて“保育所保育指針”#04】
こんにゃちは🐈、猫月だんくるおすてうすです。
今回は、保育園を利用している子どもたち、その保護者、
また働く保育者に関わる重要なもの
“保育所保育指針”についてお話ししていきます。
保護者の方の中には、「“保育所保育指針”って、何?😲」と思う方もいらっしゃるかも知れません。
簡単に言うと、厚生労働省が定めている「保育園及び保育士が、子どもを保育することについて、また保護者を支援することについての、具体的な指針」のことです。
保育士も、保護者に保育所保育指針について保護者や子どもたちに説明する機会は、なかなか無いのが現状だと思います。
ということで、保育所保育指針の内容について触れつつ、
私はどう保育を心懸けているか、についてお話ししていきたいと思っております。
以前、保育所保育指針の総則「1:保育所保育に関する基本原則(1)保育所の役割」の記事を書きましたので、こちらも読んでいただけるとありがたいです。
それを前提にして、今回は、
第1章 総則
1:保育所保育に関する基本原則
(4)保育の環境
についてお話ししていきます。
○保育の環境―
まず、保育所保育指針(以下、保育指針)ではどのように記載されているかをご紹介します。
子どもの周囲には3つの環境があります。
・子どもと関わる人的環境
・子どもの生活を支える物的環境
・子どもを取り巻く自然や社会の事象
「人・物・場」とも言いますが、それぞれの環境は複雑に関連し合いながら、子どもたちの成長に寄与していきます。
「保育の環境」として4つの留意するポイントが挙げられていますが、それぞれについて読み込んでいきましょう。
○子どもの主体性を保障する―
保育の根幹は子どもの主体性です。
保育指針には「自発的に活動し」と記載されていますが、
子どもが自分から活動したくなるような環境であることが求められます。
遊具を手に取りやすいとか、
必要な物が見つけやすいとか、
また自分で片付けたくなる、などですね。
急に話が変わりますが、
メガネ量販店の「JINS」はご存じですか👓
JINSのディスプレイは、井形に組まれた棚にメガネが並んでいます。
平場のディスプレイも、メガネ一つ分のくぼみが並んでいます。
メガネ量販店は、平場にメガネをディスプレイしている店舗がほとんどでした。
お客さんはメガネを試着すると、無造作に戻します。
そのため、ディスプレイを整える店員が必要でした。
ディスプレイに人件費が掛かっていたわけですね。
JINSは「人は空間を埋めたがる心理」を活用しました。
井形に組んだ棚からメガネを試着すると、そこは空間になります。
お客さんは、試着が終わったメガネで、空いた棚を埋めたくなるのです。
お客さんが自ずとディスプレイを整えてくれるので、そこに店員を配置する必要が無くなります。
そうなると、その分だけ人件費が掛かりませんから、運営コストを下げられます。
企業にとって最もコストが掛かるのは、人件費です。
コストが下がれば、販売価格を下げられます。
さて、保育の話に戻りましょう。
子どもが自発的に活動する環境を整えるのが、保育指針でも求められています。
保育士に促されて片付ける保育園と、
子どもが自分から片付けたくなる保育園、
どちらが理想的だと思いますか?
理想的な保育を展開するためには、
大人が「自分はどんな環境で自発的に行動しているか?」を見つめ直すのも大事だと思います。
それが、保育の環境を工夫するヒントになるのではないでしょうか。
○衛生的で安全な環境―
衛生的で安全な環境。
これは言わずもがなな要件なのですが、
ただ、「子どもの主体的な活動」を保障した上で、という前提条件が付きます。
つまり、衛生や安全を優先するために、子どもの主体性を妨げていては、保育は成り立たないわけです。
最善は、子ども自身が衛生や安全に配慮できることでしょう。
それが、ゆくゆくは“生きていく力”(自立と自律)に繋がっていくのですし。
そのためには、子ども自身が“衛生”や“安全”を意識できるように、
まず大人が実践すること、そして知らせていくことだと思います。
その上で、一度や二度では身につかないことへの見守りの姿勢を持つことでしょう。
あなたは、歯磨きをしますか?
歯磨きをしないで出掛けると、どんな気分になりますか?
落ち着かない、気持ち悪い、そんな気分になりませんか。
「習慣付く」というのは、やらなければならないからやるのではなく、
“それをやらないと気持ちが悪い”くらいルーティンになっていることです。
衛生と安全は、「気をつけよう」よりも「そうすることで、心地好い」という感覚を身につけてもらうことだと思います。
自分が心地好い環境を維持できれば、それは自発的な動機付けにもなるでしょう。
衛生的で安全な環境を保持する責任は保育者にありますが、
それと同時に子どもたち自身の生活の場でもあります。
「どうしたら衛生的か」「安全に過ごせるか」、子どもたちと一緒に探っていくのも一つの方法であると、私は考えています。
大人と子どもが協力して整えていけると、more Betterな保育環境といえるのではないでしょうか。
○くつろげる場と躍動的な場―
人が生活していく中で、“静”と“動”の時間があると思います。
それは大人も子どもも、ですよね。
遊びでも、静的な遊びと動的な遊びがありますよね。
静的に過ごしたい時間もあれば、動的に過ごしたい時間もあるでしょう。
そしてそれは、自分で決めたいはずです。
大人だってどうです?
一日中アクティブに活動していたら、息切れしてしまいますよね。
逆に、一日中静的なデスクワークを強いられたら、身体を動かす機会が欲しくなりませんか。
「子どもが自発的に」保育園で生活するためには、
子どもが過ごす環境にくつろげる場と、躍動的な場と、そのどちらもを整えることが求められます。
また、静的な時間帯と動的な時間帯といった時間帯の設定も必要でしょう。
ただし、その時間帯を設定する場合に、子どもの生活リズムや、ヒトとしてのバイオリズムを考慮する必要があります。
例えば、7時に登園する子と9時に登園する子とでは、
起床時間や朝食の時間に2時間のタイムラグがあります。
子どもの生活時間で2時間の差は、かなり大きな差です。
その時間差を考慮せず、「12時だから昼食にする」といった保育を行ったら?
そこに、保育士としての専門性は存在しているでしょうか。
「学校に行ったら、一斉に行動するのだから」といった理由で、
保育園でも同様なデイリーを設定しているのだとしたら?
もう、言わずもがなですよね。
プロフェッショナルとしてのプライドがある保育士なら、
そこは十分に考慮されると思います。
○環境としての“人”―
子どもが自発的に活動する中で、友だちや周囲の大人も、重要な環境の一つになります。
私は「子どもは、子どもたちの中で育つ」を保育の軸に置いていますが、
子ども同士が関わって遊べる環境と同時に、
子どもが生活する中で信頼できる大人がいることも大事にしています。
自分を受容してくれる大人がいることで、子どもは自己肯定感や思い遣ってもらう経験が得られます。
自分を十分に認めてもらうことで、相手のことも認められるようになっていくのです。
それに加えて、子ども同士の関わりを介在するような遊具や遊びも大事です。
ごっこ遊びや鬼ごっこなど、人と関わる遊びを楽しんで経験していきたいですね。
定番ですが、ままごと(飯事)は身近な大人の模倣遊びです。
大人がどんな関わりを周囲としているのかを見て、
それをロールプレイ(役割を演ずる)しているのです。
だから、ままごとを見ていると、ご家庭の様子が透けて見えます(笑)
裏を返すと、保育園ごっこの時に、保育士の姿が露わになりますね。
「子どもは大人の鏡」とはよく言ったものです。
先ほどの安全の環境ともリンクする部分ですが、
子どもは大人の姿を見て学んでいます。
大人が棚の上にある物をいじっていると、
子どもも同じように棚の上にある物を使いたくなります。
「棚に上るなんて危ない!」と思うのであれば、
まず、棚の上で作業するのをやめるべきですし、
棚の上にいろいろな用品を置くのをやめることです。
それも、“環境設定”に含まれているのですよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
環境構成は、とりわけ物的環境の中で“園舎”や“園庭”は大きな比重を埋めます。
一度設定してしまうと、なかなか変更が利きません。
何というか、保育士には“手の付けられない”物的環境です。
もし、そこに支障があると感じたら、他の環境でバランスを取っていくことが大事です。
コンクリートに文句を言っても、思い通りに変わってはくれませんからね。
環境を構成するのは「人・物・場」のバランスです。
特に人と場は流動的ですから、肌感覚で柔軟に対応していく必要があると思います。
「1ドル133円」の為替相場だって、直接的には影響が無いようで、実は自分に影響しているんです。
そういった、一見自分には関係なさそうな潮流に耳目を向けられるかが、
保育士のセンスに関わってくると思いますよ。
少なくとも、経済的な潮流は、保護者の仕事には影響するのですから、結構保育には近しい影響があります。
と、最後にちょっと堅い例えを出しましたが、
あなた自身も“環境を作るひとり”であり、“環境に置かれたひとり”でもあります。
保育の環境が、あなたにとっても子どもにとっても心地好い物となるよう、保育者同士で工夫し合えると良いですね。
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