【読書日和】「祈願成就」(霜月透子著)を読んで~願いを考えたら~
この本が発売されたのは、今年(2024年)の5月29日。購入したのも同日。表紙からもわかる通り、ホラー作品だ。私は怖がりで、ホラーは小説だけでなく映画もダメである。だから読むのを躊躇って、2ヶ月経ってしまった。それでも読もうと思ったのは、友人の本だから。読みたいと思ったのだ。この作品のプロローグ。まずはそこまで読んで、「あ、無理」と思った。「プロローグの先」を想像して、背筋が震えた。それでも、「怖くなかった」との感想もある、と言われ、読み進めることにした。
誰しも、大小、「願い」というものはある。5人の友達、そしてその1人の弟。彼らの「願い」。そして、そのための「おまじない」。その「対価」。それが始まり。
彼ら6人の視点で話は進み、自然と私の心に入り込んできた。
「明暗」の「暗」の部分。それは誰しもが持っているもの。その「暗」の思いで「願い」があるのも、人それぞれ。そして、願ってしまった。
子供とは、時に残酷なモノ。それは純粋さゆえに、周囲への影響も考えない「願い」。それを考えずに行う、「おまじない」。
「おまじない」には「対価」が必要。何もせずに、「願い」を叶えてくれるはずはないと思ってのことだろう。それぞれが持ってきた「対価」。「願い」は大小あるが、「対価」は大きさによって違うのだろうか。そして、それは誰が決めるのか。それは、「願い」を叶えるモノ。「願い」をする方ではないと感じる。そして、「対価」は足りるのだろうか。足りなかった場合、相手のモノは、「対価」だけではなく、「代償」を求めるのだろうか? そしてそれを、皆はわかっていたのだろうか? わかっていないからこそ、「おまじない」をしてしまったのではないのか?
少しずつ迫り来る<影>。それを感じたら、皆はどう思うのか。<影>の正体は何だろう。「願い」を叶えたモノだろうか。
そして、子供の頃を思い出していく。「おまじない」をしたことを。「暗」の部分の「おまじない」をしたことを。「対価」を払ったことを。それは誰に「願い」をした? おまじないを叶えるモノ。それは何? そこに、そのモノはいたのか? 成長した彼らは、それを考えただろうか。その<影>を。
そして、叶った「願い」。それを「叶えてくれたモノ」。それぞれの「代償」によって。
最後に「願い」が叶った人。彼は、感謝したのだろうか。「願い」をした人に。「願い」を叶えてくれたモノに。その「代償」が大きくても。
彼らは最期に何を思ったのだろう。
「願い」「おまじない」「対価」「代償」。そんな言葉が頭の中をぐるぐるしている。
「願い」を叶えてくれたモノは、何だったのか。それは人間だった? ドワーフという生き物。ソレは本当にいた? 皆の思い込みではなく、いたとしたら。皆があそんでいるのを見て、どう思った? ソレは、ただ皆とあそびたかっただけなのかもしれない。「願い」というあそびで、仲間に入りたかったのかもしれない。そして、もしかしたら、ただ子供だっただけかもしれない。とても残酷な。
彼らの「願い」。「明暗」の「暗」の部分。そんな「暗」がわかってしまった。私にも「願い」があったと気づいたから。
私の「願い」。私は猫を飼っている。とても大切な猫。もしこの子に何かあったら。私はこの子に迎えに来て欲しいと願ってしまっている。「もし」がやって来たら、私は、その「願い」を叶えて欲しいと思ってしまう。そんな「願い」に、私はどんな「対価」を払うのか。そして、それは「代償」にもなり得るのだろうか。そんなことを考えてしまうのは、この作品を読んで、おかしくなってしまったのか。それは私にもわからない。
最後に一言。怖かったよ!!!