【本】「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門 (小林真大/小鳥遊書房) #2
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
昨日に引き続き、『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門』の一章を読んだまとめをお送りします。
昨日のnoteにも書きましたが、とてもわかりやすくて、安心して読める本です。よかったらぜひ本を手に取ってみてください♪
■第一章 作品を生み出す「作家」に注目してみよう
〇作家論は近代に誕生
16世紀以降の合理的な精神(デカルト『方法序論)』
〇作家論の主な3つの方法
・伝記的批評
・風土的批評
・作品論的批評
〇伝記的批評の例:『銀河鉄道の夜』
この作品には、作者・宮沢賢治が、親友と歩む道が別れ別れになった体験が書かれているそうです。証拠として、下記のような賢治の母への手紙があります。
宮沢賢治の、絶望しつつ、絶望しきらないような言葉にわたしは胸が熱くなりました。
大衆目当てで書いている次第ではありません。全くさびしくてたまらず、美しいものがほしくてたまらず、ただ幾人かの完全な同感者から「あれはそうですね」というようなことをぽつんと言われるくらいがまずのぞみということです。
〇ロラン・バルトの批評
・ジャック・デリダの脱構築理論
言葉の意味は他の言葉との違いによって定義づけられている、だけでなく、片方が片方を抑圧している。上下/男女
・ロラン・バルトの考え
「作者」と「作品」にも上下関係がある
作品の意味が作者にもとめられている。
「作者」という概念が死んでしまえば、読者は「作者」の呪縛から解き放たれて、作品から様々な解釈を見出すことが可能になる。
〇「作者の死」の後の作家論
1)「作品の意味」とは何?
→言葉の構造(構造主義)
2)作品というものは、社会的なイデオロギーに支配されている
→イデオロギー批評
3)作品の言葉を解釈しているのは、結局のところ読者である
→読者論
〇解釈と批評を区別する(ハーシュ)
アメリカの批評家エリック・ドナルド・ハーシュは、解釈(作品の意味)と批評(読者にとっての意義)の区別を主張した。
〇作家論への4つの非難
1)作者の意図を知らなくても作品は理解できる
2)作品に対する作者自身の考えも時代によって変化する
3)読者は作者ではない、したがって我々が作者の意図を知ることなど不可能である
4)作者自身が、自分の作品の意図について知らない場合もある
〇4つの非難へのハーシュの反論(ハーシュの作家論)
1)作品の意義と作品の意味は異なる
2)作者にとっての作品の意義が変わるだけで、作品は変わらない
3)批判的合理主義(科学的な理論は、つねに新しい証拠によって否定される可能性を含んでいなければならない)の思想。
4)作者の意識/無意識は、作品の意図には関係ない。
〇テリー・イーグルトン
ハーシュの理論は、「作者の意図」を笠に着た権威主義であると批判した。
■本日の一冊:『「感想文」から「文学批評」へ: 高校・大学から始める批評入門 』(小林真大/小鳥遊書房)