パンを食べたら飲酒運転?
みなさんこんにちは。
行政書士市川聡子事務所の市川です。
先日中国の中央電視台のチャンネル13(CCTV13)を付けたときに「パンを2個食べたら飲酒運転に??」というタイトルの法律番組を放送していました。
タイトルから推測するに。。。「パンを2個食べてから運転したら、飲酒運転違反になったということで、パンのメーカーを訴えたのか??」と思っていましたが、全然違いましたw。
興味深い内容だったため、30分の番組をほぼ全部(最初の数分は見ていないので残念💦)見たのですが、驚いたこと4つと、納得したことが1つ有りました。
驚いたこと以下4つ;
1つ目;パンを食べて計測すると、本当に飲酒運転の判定が出た
番組中の主人公は上海でネット予約式タクシーの運転手をする男性。
朝、家で朝食を食べてこなかったため、車の中でスーパーで売っていたパン1個と、ティラミスチョコパイ(これはロッテのチョコパイのようなイメージで、中国の面包はよく日本語ではパンと訳しますが、中国では小麦粉を加熱して製造したもの全般の事を言うので、チョコパイも面包に含む)1個を食べたそうです。そのところ、まだ口の中でパンを噛んでいる途中で交通警察に呼び止められ「飲酒運転の検査」をさせられたそうです。
そのところ。。。検査器が「ピピピピピッ」と鳴り「飲酒運転を知らせます」
警察官「你喝酒了,酒后驾车(君、アルコール飲んだだろう?飲酒運転ね。)」
運転手「我没喝酒,吃了两个面包(アルコールは飲んでませんよ。パンを2個食べただけです。)」
2つ目;まだくちをもぞもぞさせながら、飲み込まずに検査する人、させる人。。。
この結果、実は運転手の男性がまだ口をもぞもぞさせて、口の中のパンをまだ飲み込まないうちに飲酒運転をしてるんです。。。
医師の見解だと、まだ口の中にパンが残っている状態で検査をすると「もともと食品の中に入っているアルコール成分や、咀嚼している過程で少なからず生成されるアルコール分がある」ため、アルコール反応を示してと言いますが。。。
ちょっと運転手さん、警官に対してもちょっと失礼すぎやしませんか??
車を止められた段階で口の中のモノを水分で流し込む、ってやらないですかね?だいたい中国人のタクシー運転手さんって、一日の大半を車の中で過ごすのでMyボトルのようなのにお茶や白湯のようなのを入れてますけど。。。
しかもそんな状態で警官も検査させるという。。。
3つ目;行政复议(行政不服審査のようなもの)ができる
この事件、事の一部始終の動画が有りました(もう一人の警官が撮影をしていたようです)が、最後に「意義が有ったら行政复议(行政不服審査)をするように」と言ってから警官が去っていきます。
行政機関が下した罰金や警告だったり、営業停止等。。。について疑義がある場合に訴える制度なんだそうですが、日本の「行政不服審査法や行政事件訴訟法」に似ている制度ですね。こういった法律が中国にも有るとは知りませんでした。
4つ目;飲酒運転を強要していた
この事件、警官が運転手に何度も「有异议吗?(異論はあるか?)」と問い、運転手は「我没喝酒,只吃了面包(アルコール飲んでないよ、パン食べただけなのに)」と言いつつも、最終的に運転手は「没异议(異論はありません)」と言ってしまっている。。。
いわば、強要されたような形。。。やはり威圧的に言われると「異論は有りません」と言ってしまうんですね。。。
納得したこと & まとめ
この事件、実は数年前に発生しています。
そして、何故今頃話題に。。。というと先ほどの行政复议(行政不服審査)をした結果が今年の1月に出たからです。
最終的な結果は「申請人(運転手)の呼気から飲酒運転に値する濃度のアルコールが検出されたが、当時それがアルコールを飲んだことによるものなのかは調べていないので、証拠不十分として、運転免許証の差し押さえの撤回を命じる。」それに加えて
「警察が現場で公務を執行する時は、法律・規範に基づいて行う事」という連絡も行政复议局から該当の公安局に意見を述べているそうです。
と、意外にも一運転手の訴えが認められた形になりました。運転手さんはネット予約タクシーの運転手だったので、免許証の差し押さえが撤回されて「良かった」と思っているとは思いますが、ここ→「警察が現場で公務を執行する時は、法律・規範に基づいて行う事」についての注文が付いたのが最高にスカッとしたんではないでしょうか。
少し長くなりましたが、興味深いニュースでした。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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