知る人ぞ知る“絵画版トイ・ストーリー”!アニメ映画『絵の中の小さな人々』とは?
シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭鑑賞作品レビュー.....と思わせて違う記事。
アニメ映画『The Princes Voyage』を観ました
シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭で、『The Princes Voyage』という映画を観ました。
The Princes Voyage
制作年:2019 / 制作国:フランス、ルクセンブルグ
監督:ジャン=フランソワ・ラギオニー、グザビエ・ピカード
ローラン王子とトムの触れ合いを描いたサル人間映画なのですが、セリフが大切なタイプの映画なので英語が得意ではない私は、字幕にゴリゴリ体力削られて辛く、とても感想を添えられるほどの体験ではなかったので、今作の感想は割愛させていただきます。ごめんネ。
ただ、連名とはいえジャン=フランソワ・ラギオニー監督の作品にしては絵的に地味すぎたのが悪い意味で気になりました。
ジャン=フランソワ・ラギオニー監督といえば、オススメの良いアニメ映画があるのですよ。
隠れた名作アニメ映画『絵の中の小さな人々』とは
かつて中国で生活していた頃に、怪しい露天商が売ってるDVDでジャケ買いした一本が『Le tableau』というアニメ映画。
絵の中の小さな人々(原題:Le tableau)
制作年:2011年 / 制作国:フランス
監督:ジャン=フランソワ・ラギオニー
英題は「ThePainting」。邦題は横浜フランスアニメーション映画祭にて
上映された際に『絵の中の小さな人々』という名前が付いています。
本作、“ど”がつくほどの傑作なのですが、なぜか日本では鑑賞困難状態が続いていてもったいないのです。今からでも全然遅くないからどこかが拾ってくれないかと思っているんですよね。
映画の登場人物は“絵”
この映画の登場人物は、“画家の描いた絵”。
まさに手書きで描かれたような登場人物が3DCGでぐりぐり動きます。
この見た目がすでに最高。おもしろいです。
アニメとは絵が動くもの、であることを逆手にとったアイディアに脱帽です。
さらにおもしろいのはこの世界はラフ状態のやつと、大体完成しているやつと、しっかり塗り終わってるやつとで身分が別れているというところ。
ラフのやつは本当に奴隷どころかゴミ扱いのようで、そういう部分がすごく人間っぽいのです。人の営みを客観的に見ることができて、よくできています。
フランスは、日本と同じく手書きアニメーションが発達した国なだけに流石です。
「動いたらおもしろい」というアニメのゴール
これを見た後の気持ちが『トイ・ストーリー』を見た後の気持ちに似ていて、『自分の描いた絵も、実は動いてたりして』なんて思わせられるのが楽しいところ。
絵が動いたらいいなって感動は、“アニメーションに対する欲求”に似ていてアニメ好きとしては非常に特別な衝動にも感じます。
どういうことかと言うと、アニメをどんどんリアルに、リアルに......と進化の方向がアニメにはあって、その進化がいつか本当に写実に成功した時、アニメは消えてしまうのか!?なんてことも『トランスフォーマー』が大ヒットした時には考えたのですが、アニメのゴールってそんなところにはなくて
絵が動いて欲しいという欲求が動機でありゴールだとしたら、どれだけアニメが写実に成功しようともアニメは消える事はないんだな、ってことを
本作を見て実感した次第でございます。
アニメーションって 本物に似せるとかそういうことじゃなくて
『動いて欲しい』
って気持ちが 最も重要な動機なんだなってことを
この映画に教わった気がします。
いろんな画風が混ざり合ってくれたらもっと面白い......かな?
ここまで来ると、いろんな画風のキャラクターが、もっとごっちゃになって欲しかったですね。
“絵”は『トイ・ストーリー』のおもちゃ的に雑多な種類があって、今作に登場するような絵画的な絵だけでも、もっといろんな種類のキャラクターが作れるしシリーズ物にもできるでしょう。
日本だったら萌え絵とか浮世絵とか混ざったりしてそれが一画面に揃ったらすごくおもしろいと思いました。
......なんてことをかつては考えていましたが意外とそれに近い作品が続々と、出てきているのですよね。
『シュガー・ラッシュ』は意図的に異なるキャラクターデザインを混在させた作品でした。
TVアニメ『おかしなガムボール』は完全に絵のタッチの違うキャラクターが混在した作品です。
絵を題材にした作品ですと、『ある日本の絵描き少年』はまさに私が観たかった日本版『絵の中の小さな人々』とでも言うような体験がありました。
ある意味、異なるタッチの絵が混在したアニメブームは来ていると言っても良いんじゃないかと思うので、『絵の中の小さな人々』もぜひ劇場公開ないしせめて日本でもディスクリリースをして欲しいところ。
まだまだ世界には、傑作アニメーションが隠されています。
ちなみに今日の記事は過去のブログ記事のアップデートバージョンとなっております↓
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