今更MBTIにハマり、ユングのタイプ論の英語版をkindleで購入し、心理機能について解説されている10章をGhatGPTに喰わせて日本語で読んでいるENTPです。ChatGPTがすごすぎるのが悪い。
ユングはMBTIの元となった『心理学的類型』(タイプ論)をWW1終結後間もない1921年、今から100年以上前に公表しました。当時の社会通念や社会構造は今とは大きく違うので、ユングの書きぶりや思考方法からそのあたりを差っ引く必要はあります。
それでもMBTIの検討にあたっては読んでおきたい文献であるため、今回含め分析を進めていきます。
さてタイトルの内容ですが、ユングがどれだけNeをバカ高く評価しているかは、Neへの熱狂的な書きぶりと、他の外向的機能への悪意しか感じられない書きぶりとを比較するとよくわかります。ということで、この記事ではユングのNe、Te、Fe、Seへの記載ぶりを一部紹介しつつ、どれだけNeが高く評価されているかを一緒に見ていきたいと思います。
1. Ne (The Extraverted Intuitive Type)についての書きぶり
ユングはNeにつき、下記のとおり記載しています。
どう見ても推しやひいきへの愛が強すぎて興奮しすぎたおっさんです。最後の方はユングのテンションが上がりすぎて詩的にすら感じられます。Neについて語るためにタイプ論を執筆したのではないかと邪推したくなります。ユングが生きていればNe持ちを主人公タイプだと主張したかもしれません。
ただ、言っていることはMBTIにおけるNeの説明とそれほど変わりません。物事に最大の可能性を見出す、翌日手放す飽きやすさ、ビジョンの提示などなど。情熱なども非常によくわかります。Neを優勢機能として産まれてきたことを全肯定されている感じがあって嬉しいですね。
しかしユングのNeへの評価の高さはNeの説明文だけでなく、他の外向的機能への説明文との比較からも鮮烈に示されてしまうのです…。
2. Te (The Extraverted Thinking Type)についての書きぶり
まずはTeについて見ていきましょう。
ものすごく長い、長いですが本文はもっと長いです。多分Neの5倍くらいあります。ただ、書いてあることは概ね上記の内容に集約されます。
すなわち、「Teは客観的なデータに基づく思考だが、客観的なデータで思考停止する」とか、「その思考に基づく公式を本人、周囲に押し付け、苦しませる」とか、「その公式が誤っていると指摘されようが、公式自体が誤りを認めるまで、誤りを強硬に押し通そうとする」とかそんな感じです。
人の悪口を言う時の方が雄弁になる人みたいですね。というか個人的な恨みでもあるのかという文量です。「指令に従わないすべてのものから生命が枯渇」とかヤバい能力者みたいになっています。
外向的な心理機能の中ではTeがぶっちぎりで文量が多いです。
3. Fe (The Extraverted Feeling Type)についての書きぶり
次はFeです。
Feについては、周囲や社会が大事にする価値観を大事にする、周りが良いと言っているものを良いと思い込む機能、とユングは考えていたようです。その上で、主観的には良さの分からない芸術品をみんなで褒めたたえる茶番とか、謎儀礼、謎慣習に繋がるというような評価をしています。
目立つのは女性への適用で、現代なら「女なんて男のスペックしか見てねえよ」と匿名掲示板に書き込んでいそうな雰囲気が出ています。当時女性が置かれていた理不尽で抑圧的な社会環境を差し引いても、この章をもってFeを語るのははばかられるなあ、と思ってしまいます。社会が大事にする価値観ってもっと良いものもたくさんあるよね…?
4. Se (The Extraverted Sensation Type)についての書きぶり
最後にSeです。
Seに対するユングの記述は短く雑な印象が強く、N型の人間がS型の人間をあれこれ書こうとして残念な感じになっているアレを彷彿とさせます。刹那的、享楽的とかそんな感じのことを書いていますが、偏見が強すぎるように見えるのは気のせいでしょうか。
なお、直観については「人間の最も高貴(崇高)な贈り物である」とまで言い切っており、直観への入れ込み方はちょっと異常です。心理機能へのジャッジの中立性がだいぶ疑われるところです。
5. 俺たちはMBTIを信じていいのか
MBTIはユングのタイプ論を原点としていますが、見てきたようにユング自身がだいぶこじらせている可能性があり、各心理機能への評価や分析にバイアスがかかっているようにも見えます。
さて、そんなMBTIを礎として様々語っていいものか…とは思いますが、時代の進歩によりMBTI側でユングのバイアスを除外することに成功したと一旦は考えておきましょう。
それはそれとしてタイプ論の記載は面白いので、分析を続けてみたいと思います。