フードセーフティネットって?~日本の現状と私たちが取り組むこと~
今回のnoteのテーマ
こんにちは、NeighbourFoodのYukoです。今回は、フードセーフティネットについて、そのコンセプト、日本の現状、実現に向けて私たちが取り組むことについてお話します。
フードセーフティネットとは?
セーフティネット、というと、「サーカスの綱渡りや空中ブランコの下にある網」ですよね? それがなかったら、危険な場所まで落ちてしまうところを、安全なところで受け止めるもの。
フードセーフティネットも、危険な状況=食べ物を入手できないになるところを、「安全な状況=食べ物が入手できる」に留めるものです。 これがある社会では、食べ物に困ったときに食料にアクセスできます。
では、フードセーフティネットがない、その構築が必要な社会とは、どのような社会なのでしょうか?それを考えてみると、フードセーフティネットはプライベートなものと、パブリックなものがあることに気づきます。
そもそも、お金がなければ、食べ物が入手できない、ということはありません。
子供のころは、もちろん収入がありませんが、保護者が食事を提供してくれます。
大人になって、病気になって、収入がなくなった、ということがあっても、同居家族が食事を提供してくれることがありますよね。
家族でなくても、ご近所付き合いがあれば、事情を知っているご近所さんが食事を分けてくれるかもしれません。
こんな形で、気づかないうちに私たちはプライベートなフードセーフティネットに守られて生きています。
そんなプライベートなフードセーフティネットがない状況とは、「つながりがない」社会なのです。
困ったときに頼れる人がいない、社会的なつながり不足、社会的孤立が「危険な状況=食べ物を入手できない」、「プライベートなフードセーフティネットがない」状況を作り出します。
ちょっとデータが古いですが、OECDのなかで、日本は「家族以外との交流が全くない」と答えた人の割合が15.3%ともっとも多くなっており、困ったときに頼れる人が家族しかいない人が多い社会であることがわかります。 (出所:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000029cea-att/2r98520000029cit.pdf)
もし、一人暮らしをしていて、家族にも心配をかけたくないけど、食べ物を手に入れるための十分な収入がなかったら、どうしたらよいのでしょうか?
近所との付き合いも、東京などの都市部では希薄になっていますよね。
食べ物に困っている、という事情を伝えて助けを求めることのできる友人も、多くの人がいる、というわけではないですよね。
更に、日本は、低所得者ほど、社会的孤立に陥りやすいというリサーチ結果もあり、 困ったとき(=経済的困窮) に、頼れる人がいない(=社会的孤立) 状況が発生しやすい社会であることがわかります。 (出所:https://www.mizuho-ir.co.jp/publication/contribution/2018/toyokeizai181103.html)
このように、日本はプライベートな形でのフードセーフティネットが不足しており、パブリックなフードセーフティネットの構築がより求められている社会であるようです。
日本の現状
では、パブリックなフードセーフティネットは日本でどの程度構築されているのでしょうか? フードセーフティネットを構築する仕組み、動きとして、セカンドハーベストは以下のものを挙げています。
・フードバンク(施設、団体への食料支援)
・パントリー(個人への食料支援)
・配食サービス
・フードスタンプ(アメリカの低所得者に向けた食料費補助制度)
・低所得者向けの低価格スーパーマーケットの運営
・子ども向け朝食提供サービス、
・バックパックプログラム(学校で生徒が食料を受け取るサービス)
・支援団体・NPOから本人への食品提供
(出所:https://2hj.org/vision/safetynet/)
セカンドハーベストによると、このような食のアクセスポイントは、東京では、40~50か所あるとされており、1か所で30万人程度をカバーすることになりますが、 ニューヨークでは、1,100か所あり、1か所で約8,000人程度カバーしており、最大のフードバンク団体がある東京でも、フードセーフティネットを構成する食のアクセスポイントをもっと増やす必要があることがわかります。
近年では、上記に挙げられた仕組み以外にも、子ども食堂も食のアクセスポイントを担う取り組みとして広がっています。 子ども食堂は、2019年時点で、3,700か所を超えており、全国的には児童館と同じ規模になっているようです。 数として考えると、社会的インフラとして機能しうるものとなっています。
一方、多くの子ども食堂は、活動頻度は月に1度であり、毎回1食を提供しているとすると、緊急食糧支援としてのインパクトは、限定的と思われます。 食の支援というよりは、食を通じた社会的なつながりの醸成を目的にしていると想定され、 フードセーフティネットの構築には、子ども食堂に加えて、フードパントリーのような恒常的に利用できる食糧支援システムが必要です。 (出所:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/syukeikekka.pdf)
NeighbourFoodが取り組むこと
フードセーフティネットの構築には、恒常的に利用できる食糧支給システムが必要です。 その役割を果たす一つの仕組みは、フードパントリー、個人が食品を受け取れる拠点であると考えています。
では、どのようにフードパントリーを増やすことが出来るでしょうか? NeighbourFoodは3段階のアプローチが必要と考えます。
① 周知
・フードセーフティネットの構築、フードパントリー(緊急食料支給拠点)の拡充の必要性に対する認知度を高める
・食料支援が必要な人に対し、得られる支援の一つとしてのフードパントリーの認知度を高める
② 設置
・実際に、フードセーフティネットの構築のために、フードパントリーを設置する
・フードセーフティネットの構築にために、拠点設置場所周辺の個人、企業の方に、食品を提供してもらう
・拠点設置場所周辺に居住する、支援が必要な方に使用してもらう
③ 展開
・私たちの活動に賛同する方に、実際に地域にフードパントリーを設置してもらう
・設置されたフードパントリーを地域の方と一緒に、構築する
・設置されたフードパントリーを地域の方に利用してもらう
まずは、①周知 に対するか活動として、noteの執筆をつづけていきたいと思います。 ②設置 についても、わきしとあつびーとコツコツ進めていますので、徐々にこちらのnoteで活動の記録をシェアしていきます!
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