
夢を語る。
「夢を語る」
10代の頃。
やりたいことがたくさんあって
それが叶うと信じて
そこに向かってまっすぐに生きていた。
20代の頃。
10代の頃の将来やりたいことを
1つ諦めたことをきっかけに
やりたいことはぜんぶ「夢」に変わる。
いつか、きっと。
「夢」だけはみてる。
10代からの友達たちは全員有言実行の人。
自分だけが「夢」を語る人。
現実から目を背きはじめる。
30代前半の頃。
諦めてた夢の1つに向かって少し動き出す。
離婚して勤めてた会社を辞めて
再婚して北海道から福井県に引っ越して
環境がガラッと変わる。
なんだか10代の頃に戻ったような気分。
だけどなんか枠の中。
まだ「夢」を語ってる。
30代後半の頃。
「夢」の1つだったパン職人。
「夢」に向かってる途中で
小麦アレルギーを発症して諦めることに。
また「夢」だけ語る人に戻る。
その頃、収入も生活も安定してきて
なにも困ってない状態に。
行きたい場所に行ける。
欲しいものが買える。
会いたい人(有名人)に会える。
食べたいものが食べられる。
ある意味充実した日々。
ほんとは虚しい日々。
そうしてるうちに
化学物質過敏症になって
当たり前にできていたことができなくなって
「夢」を追えない理由ができる。
起き上がれない苦しいような日々の中で
ほっとしてる自分がいる。
治らない。
もう普通には生きられない。
だから「夢」は叶わない。
諦めたんじゃない。
だって仕方がない。
私のせいじゃない。
もう「夢」からは醒めない。
そのまま3年が過ぎた頃
なんだか腹が立ってきた。
「もう飽きた!!」
もう十分味わった。
もうよくないか?
よくわからないけど
体の奥の方から怒りがこみ上げてくる。
「ほんとにもういいって!!!」
無性に腹が立つ。
「しつこい!!!もうやめる!!」
そう決めたら
現実が変わりはじめて
化学物質過敏症を治せるよっていう
漢方の先生に出会って
3ヶ月後にはずっと通院してた
専門の病院を卒業した。
一生治らないと思っていたのに
また「夢」を追う理由ができた。
だから今度は
他人の「夢」をいっしょに追うことにした。
そのことに夢中になっていたら
原因不明の病気にかかって死にかけた。
心機一転。
今度は自分の「夢」の一つに向かって歩き出す。
引っ越して本格的に自然栽培をはじめる。
気付いたら40歳を過ぎていた。
どこかで思う。
「もう遅い。今から夢を追うのはこわい。」
だからまた他人の「夢」を追う。
じわじわと首を絞められる感じ。
息ができない。
そしたらその後2回死にかける。
首を絞めてるのは誰?
「夢」を語るのは気持ちがいい。
なにもしていないのになにかしてる気になるし
一瞬充実した感じがする。
だけどほんとはモヤモヤするし
心の奥がざらざらする。
そのざらざらこそが
ほんとはやりたいことだと気付いたから
とにかくはじめてみることにした。
はじめ方はわからない。
だけどやってみる。
これで合ってるかはわからない。
だけどやってみる。
違ったら角度を変えてみて
何度もやり直す。
そうしてるうちに
「夢」は語らなくなり
やれることをやるだけの日々になっていく。
目の前の今、自分にできることを
ただ全力でやる。
夢中にはならない。
特別感に浮かれたりしない。
しっかり地に足をつけて
今「ここ」を生きていく。
今は「夢」の外側。
「夢」の中にはもう戻れない。
夢から醒めたら
夢は見るものでも
語るものでも
いつか叶えるものでもなくて
やれるからやるだけってことがわかった。
あの頃、夢見てたことが今は日常になってる。
心の中には「やることリスト」。
今日も全力で特別ではない
希望溢れる大切な1日を
やれることをやって生きていく。