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アメリカのおじさん

父が亡くなって早5年か。

あの年は雪が殆ど積もらない穏やかな冬だったなぁ

父が亡くなって半年ほどたった冬、
2月とは思えない雨が降る夕刻

家のチャイムが鳴り玄関口に出ると痩せた杖をついた男性が立っている。

ん?誰だろ?

男「Kです。久しぶり」
男「父さんに水をあげに来たよ」

私「あー!久しぶりです!」

母親も呼び招き入れた

Kさん@男性70代(当時60代)

寝たきりになった父親のオムツ取り替えや寝返りなど手伝ってくれたホームヘルパーさんだった。

理容業をしていた両親のお客さんでもあり近所付き合いもしてた。

小さい頃Kさん@の事を兄と一緒にアメリカのおじさんと言ってた事を思い出す。

40数年前、農業を勉強するためにアメリカに渡ったKさん@

帰国した時にアメリカのお土産を貰った記憶、ガタイの良い優しいお兄さんだった。

40数年前に、こんな田舎でアメリカに行く、なんて人は殆どいなかっただろーし、だからアメリカのおじさん(´ω`)


父は寝たきりで、その日も3日に一度のスパンでヘルパーに来てたKさん@

K「いつも手伝ってくれてありがとう」
K「介護の仕事すれば?」

なんて冗談を話ししてた帰り道、彼は交通事故にあったのだ‥‥

膀胱破裂の重体だったと‥‥

老人が運転する軽自動車がノンブレーキで彼に突進して来たのだ。


父親の遺影の前に座り
K「最後まで看てやれなかった」
K「父さんには世話になっ‥‥」
と涙ぐむKさん@を見て目頭が熱くなる。

なみだ、涙、泪

村でただ一件の理髪店だった我が家は若者達のたまり場でもあった。父親はその若者達の良き兄貴分であったのではなかろうかと思う。(考察)

リハビリしてやっと歩けるまでになった、近所と言えど500メートルは離れた距離、車で送って行こうとしたが断るKさん@

痛々しい後ろ姿が涙雨に濡れるのを見て涙が出そうになった‥‥というアメリカのおじさんの話。

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