トゲアリトゲナシトゲトゲは、もうトゲトゲで、よいのではないか。 〜エピローグ〜
◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》
雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。
みなさんは、「青春の輝き」という歌を、ご存じでしょうか。
この歌は、1976年、アメリカの音楽グループ、カーペンターズによって、発表されたのですが、発表されるやいなや、アメリカでは、とても、ヒットいたしました。
しかしながら、日本では、なぜか、あまり、ヒットいたしませんでした。
ところが、それから、約20年後の、1995年、この歌が、テレビドラマ「未成年」の、エンディングタイトルに、採用されると、すぐさま、人々の注目の的となりました。
そして、この歌が、収録された、アルバムが、発売されると、あっという間に、300万枚以上の、大ヒットとなり、「青春の輝き」は、人々に、広く、知られる歌となりました。
今では、結婚式の、披露宴や、二次会において、しばしば、演奏される、「かくれ定番」のような、楽曲にもなっています。
ちなみに、「青春の輝き」の、英語タイトルは、"I need to be in love."で、これを、直訳すると、「愛の中にいることは必要。」となると思われます。
これを踏まえて、日本語で、タイトルをつけるとすると、「愛さずにはいられない。」などと、なるところですが、なぜか、「青春の輝き」という、美しい、日本語のタイトルが、つけられています。
ひと昔前までは、海外の歌や、映画に、美しい日本語のタイトルが、よく、つけられて、いたものでした。
たとえば、かつて、「夢の降る夜」という、邦題(日本語のタイトル)が、つけられた、アメリカの映画が、ありましたが、この映画の、もともとの、タイトルは、なんと、「ザ・ブッチャーズ・ワイフ(肉屋の女房)」というものでした。
ほんとうに、タイトルひとつで、ずいぶん、イメージが、変わるものですねぇ。「肉屋の女房」という、タイトルが、つけられた映画を、いったい、何人の人が、見に行きたいと、思うでしょうか(笑)。
じっさい、わたしは、「夢の降る夜」という、タイトルに、つられて、映画館へ、この映画を見に行きました。
ほんとうに、「よくぞつけたり。」という感じがしますよね。
しかし、今では、かつてのような、「美しい邦題」には、めったに、お目にかかれなく、なりました。
「美しい邦題」の文化、日本語教師の、わたくしと、いたしましては、いつまでも、大切にしてほしいと、願うばかりです。
【今回の執筆担当者】
こにしいちろう/さすらいのソプラノサックスプレイヤー&孤高のはり絵作家。