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多重人格商店街 「病の化身」
◆NEFNEに関わる人たちによる自由連載《汽水域の人々》。雑貨屋&フリースペースのお店「NEFNE」で交わるひとびと。多様な執筆陣がリカバリーストーリーをはじめ、エッセイ、コラム、小説など好きなように書いています。
あなたの手は
穢れているね
醜いね
私の首にかけられた手は
腐っているね
疲弊しているね
願いが叶わないからと
自分を恐れてくれないからと
癇癪に震える手では
何も伝えられないね
伝わらないね
何も伝わらない。
私を威嚇し虚勢を張る
毛は逆立って魔物のよう
吊り上がる眦は悪魔のよう
人としての体(てい)を成せないなら
吠えるばかりの犬に成り下がる
なんて憐れで愛しい化け物
シリアルキラー
陰に潜む幽霊
天井裏の暗殺者
お前が私の何を変えられた
価値観か
肉体か
生活か
優しさか
お前は私の何を変える
運命とでもいうのだろうか
私はお前から目を逸らさないし
主導権も渡さない
この目でお前を射殺さんとする
見開いて
手を出さず
対話を捨てた化け物よ
あるいは私をエラーから救い出そうとした
成れの果て
エラーそのもの
死こそ私が逃れる術というなら
生こそ私が挑む術だ
【今回の執筆担当者】
青嵐柘榴(あおあらし・ざくろ)/20代。人生の3分の2ほど思い出しだくないけれど、今は人との縁に恵まれました。偏りがすごい。柘榴は誕生石の柘榴石から。尖ったものからネチネチ系、ほのぼの、祈りまで色々書きたいです。本作りたい!